お肌の乾燥注意報発令中! | 分子栄養学のススメ

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太平洋側の乾燥

 

日本の本州の真ん中には北から南まで背骨のように連なっている山脈があります。冬になると中国大陸からの風が暖流の流れる日本海で水蒸気をたっぷり含み、日本列島に上陸してきます。この風が山脈にぶつかると、上昇気流が起こって雲をつくり、日本海側に大雪を降らせます。
山脈の西側で雪を降らせた風は、高い山々を乗り越えて、太平洋側に吹きおろしてきます。含んでいた水蒸気はほとんど雪として降らせてしまったので、この風は乾いています。
関東地方に乾燥注意報が多いのはこのためです。


お肌と乾燥


空気が乾燥すると気になるのはお肌の乾燥ではないでしょうか?
乾燥からかゆみが起きたり、マスクや服による擦れで炎症を起こしたりとトラブルも多いのではないかと思います。
皮膚の一番外側にある皮脂膜と角質層には外からの刺激や細菌から身体を守るバリア機能が備わっています。しかし、乾燥や刺激などによりそのバリア機能が正常に働かないと細菌やアレルゲンの侵入が容易になり、炎症や痒みが起こりやすくなります。

皮脂膜は角質層の表面(皮膚表面)を覆っている天然の保護膜です。 皮脂腺から分泌される皮脂と汗腺から分泌される汗が混ざりあってできています。 皮脂腺の脂質は脂肪酸、スクワレン、リン脂質、コレステロールなどです。
角質層は角質細胞と細胞間脂質で構成されています。角質層は人体の一番外側の細胞で15~25層あり、手のひらや足の裏では200層にもなります。
セラミドなどの細胞間脂質と角質細胞内の天然保湿成分(NMF)が皮膚のうるおいを保つのに大きな働きをしています。細胞間脂質は、角質の細胞の隙間をうめるセラミドを中心とする脂質です。天然保湿成分(ナチュラル・モイスチャーライジング・ファクター、NMF)は、角質細胞内のアミノ酸や尿素や乳酸などの水溶性成分です。この2つが皮脂膜と一緒に皮膚のバリア層を作って、サランラップのように体をおおい守っています。



お肌を守る栄養対策

それでは、どうすれば肌を乾燥から守れるのでしょうか?
まずは、角質層のバリア機能を構成している細胞の機能を正常化する必要があります。
血管の通っていない表皮には真皮から酸素や栄養が供給されています。そのため、真皮の細胞も正常に機能していなければなりません。
角質細胞をはじめ皮膚を構成する細胞の機能を正常化するためには良質タンパク、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンA、ビタミンE、ミネラルなどの栄養素が必要です。
また、角質細胞内の天然保湿成分(NMF)は半分がアミノ酸やアミノ酸由来成分で構成されていますので、良質タンパクは不足なく摂ることが重要です。
細胞間脂質は脂質ですが、合成されるまでに多くの酵素が関与しています。酵素はタンパク質でできていますので、ここでも良質タンパクが必要となります。
角質細胞は表皮細胞から分泌されたケラチンという硬いタンパク質で満たされています。ケラチンは硫黄を含むアミノ酸「システイン」を多く含くんでいるため、含硫アミノ酸の摂取も大切です。


おまけ:ウイルスと乾燥

理化学研究所と厚生労働省が連携した研究で湿度の違いによって飛沫・エアロゾルの飛散のしかたがどのように変化するかについてのシミュレーション結果が発表されています。
その結果では湿度が高いほど飛沫は下に落ち、湿度が低くなるにしたがって、小さな飛沫となり空気中に漂う量が増えることが明らかになりました。このことより、乾燥する冬の時期は夏以上に空気喚起を頻繁に行い、発生したエアロゾルをできるだけ早く室外に逃すことが重要です。
また、加湿器などで乾燥を防ぐことで空気中を浮遊する飛沫の量を減らすことも可能と考えられます。

理化学研究所計算科学研究センターHPより
https://www.r-ccs.riken.jp/jp/topics/pickup2.html