早めの対策で花粉シーズンを乗り切りましょう。 | 分子栄養学のススメ

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分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

■2021年の花粉飛散予想

2020年春との比較で見ると、九州から関東にかけて多く、四国や東海、北陸、関東の所々で非常に多くなる予想です。
昨年は花粉症の症状が弱かった人も今年は注意が必要です。
 

■花粉症の症状

この時期に体調を崩してしまうと、まさか新型コロナウイルスに感染?と不安になる方も多いと思います。
花粉症は、主にくしゃみ、鼻水、鼻づまりといった鼻の症状と、目のかゆみ、涙、充血といった目の症状を引き起こします。
またアレルギー反応を起こす花粉の種類によってはのどや皮膚のかゆみ、咳やたん、食欲の減退、微熱といった症状を引き起こすこともあります。
 

■花粉症はなぜ起こるの?

  1. 花粉が鼻や喉に入ると、白血球(とくにリンパ球)がそれを異物と判断します。
  2. 花粉を排除するために、リンパ球は肥満細胞などの表面に抗体(IgE抗体)をつくります。
  3. 再び花粉が入ってくると、抗体が反応し、肥満細胞などからヒスタミンなどの化学物質が分泌されます。
  4. このヒスタミンなどの働きで、くしゃみや鼻水が生じ、花粉を外に追い出そうとします。

■三石式栄養対策

花粉症の栄養対策について、三石巌は著書「医学常識はウソだらけ」で次のように述べています。
一部を抜粋してご紹介します。

アレルギーとは、簡単に言えば免疫システムの異常によってひき起こされるものです。
通常、免疫はウイルスや細菌に対する防除力として働き、いつも食べたり触れたりするようなものに対しては働かないようになっています。
これを「免疫寛容」と言います。
たとえば花粉は、季節がくればかならず空中に撒き散らされるものですから、人間はそれに触れずにはいられません。
しかも人体に害を及ぼすものではありませんから、免疫寛容の対象になります。
ところが花粉症にかかった人の免疫システムは、花粉を害のある異物として、防御力を発揮してしまいます。
このように免疫が過剰に働いてしまう状態を「閾値が低い状態」と言います。
花粉症の人は、花粉に対する閾値が低いため、同じ量の花粉が鼻や喉の粘膜に付着したときに、花粉症の人は鼻がグズグズしたり目がショボショボしたりするのです。
したがって対策としては、その閾値を上げてやればいいことになります。
そのために必要なのは、タンパク質とビタミンAです。
免疫という生体防御の仕組みには、病原体を直接、攻撃して殺す方法と、抗体というタンパク質を病原体に結合させ、虜にした後、処理する方法があります。
また、体内には炎症を起こす物質を蓄えたマスト細胞というものがあります。
異物が入り込んだことを察知すると、抗体はそのマスト細胞にくっついて刺激を与え、起炎物質を放出させます。その働きで中心的な役割を果たすのが、ヒスタミンという物質です。
そのため「アレルギーにヒスタミン剤」というのが常識になっています。
ただし、ヒスタミンは脳内では必要な情報伝達物質ですから、全部を力ずくで抑え込むのは問題です。


では、薬に頼らずにヒスタミンを抑える為にはどのような対策をとれば良いのでしょうか?
弊社では下記対策をおすすめしております。


●粘膜組織の正常化
良質タンパク、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンA、ミネラル(亜鉛、カルシウム、マグネシウム、鉄)

花粉の侵入経路となる鼻・目・喉などの粘膜組織の状態を正常化するためには、代謝をスムーズにして、身体の機能を整える必要があります。
粘膜の表面は粘液で覆われていますが、この粘液の分泌が低下すると粘膜が乾燥してバリア機能が低下しやすくなります。
そこで、粘膜を粘液で保護し、粘膜の細胞自体を強化するためには、粘膜や粘液の材料であるビタミンAの摂取がとても大切です。
また、粘液が粘膜を覆う為には、レシチンが必要です。
 
●ヒスタミン対策 
ビタミンC、ビオチン(ビタミンB群)、イチョウ緑葉エキス

ビタミンCには、痒みや炎症などのアレルギー反応の元となるヒスタミンを抑える働きがあります。ビオチンやイチョウ緑葉エキスには、アレルギー反応の軽減作用があります。
ビオチンは、卵黄やオートミール、大豆、エンドウ豆、落花生、鶏肉、豚肉、バナナなどにも含まれています。
 
●炎症対策(免疫機能の正常化)
ビタミンC、ビタミンE、植物ポリフェノール、ビタミンA、ビタミンD、EPA、DHA、γリノレン酸、水溶性食物繊維、オリゴ糖

花粉症の症状には、炎症反応が関わっていますので、抗酸化作用のあるビタミンC、ビタミンE、植物ポリフェノールなどの摂取が必要になります。
さらに、炎症を引き起こす1つの要因となっているのが、免疫異常です。
免疫の調節には、ビタミンA、ビタミンD、EPA、DHA、γリノレン酸などが働きかけます。
また、免疫の大半は腸で担っているため、腸内環境の乱れが、免疫異常を引き起こし、アレルギーの根本原因になっているケースが多いといわれています。
乳酸菌の摂取や善玉菌のエサとなる水溶性食物繊維やオリゴ糖の摂取が腸内環境改善につながります。
 
●ストレス対策
良質タンパク、ビタミンC、ビタミンE

アレルギーなどの免疫異常は原因不明で起こるといわれていますが、その背景にはストレス(自律神経)との関連性が指摘されています。
ストレス時には、抗ストレスホルモン合成が促進して、良質タンパク、ビタミンC、ビタミンEなどの栄養素を多量に消費しますので、摂取を強化する事が大切です。
 

◎その他の対策
・外出時の服装

マスクや眼鏡を着用し目や鼻への侵入を防ぐことは大切ですが、花粉を室内に持ち込まないためには、外出時に花粉がつきにくい服を着るのがポイントです。
ウールなどの繊維は、木綿や化繊よりも花粉が付きやすいと言われています。
ポリエステルやナイロン素材、革製品など、表面がツルツルしている素材を使った服を着るのがおすすめです。
織物における花粉の付着傾向を調べた研究では、合成繊維や加工糸を使った表面の凹凸が小さい織物ほど、花粉の付着が少ない傾向が認められたことが報告されています。
出典:笠原敬子「繊維工学」2003:56(4):22-25
 
・換気の工夫
窓から入ってくる花粉は、どう防げばいいのでしょうか。
花粉の飛散量の多い日には、花粉の侵入を防ぐため、窓や扉を閉める方が効果的ですが、
新型コロナウイルスの感染を予防するためには換気も必要です。
この季節の上手な換気法は、窓を細めに開け、レースのカーテンを通して風を入れることが良いとされています。
3LDKのマンション1戸で窓を全開にして1時間の換気した場合、侵入する花粉は約1000万個ですが、窓を10cm幅程度に開いてレースのカーテンを通せば約4分の1に減らせることが報告されています。
出典:環境省「花粉症環境保健マニュアル」
 
・空気清浄機
室内への花粉の侵入は、約4割は衣類や洗濯物への付着によるもの、約6割が換気によるものとされています。
空気清浄機を使うことで室内の花粉は軽減できますが、置き場所にも工夫が必要です。
窓から室内に侵入した花粉の動きをシミュレーションした研究によると、空気清浄機を窓と反対側の壁の近くに配置した場合に、捕獲する花粉の量が最も多くなることが報告されています。
一方、窓の直下に空気清浄機を配置した場合には、乱気流が発生して室内に花粉を多く引き込んでしまうという結果が報告されています。
出典:中川翔太朗ほか「室内環境」 2016;19(1):1-10
 
今年は早めの対策でつらい花粉シーズンを乗り切りましょう。