笑いは世のため人のため~健康長寿との関連性~ | 分子栄養学のススメ

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分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

年末年始の行事や食事には、旧年が無事に終わったことへの感謝、そして自然への畏敬の念と五穀豊穣、不老長寿や家内安全といった願いが込められています。

現在は、人生100年時代といわれ、長寿が珍しいことではなくなりつつありますが、平均寿命が50歳を超えるようになったのは、第二次世界大戦以降です(下表)。

長生きは大変おめでたいこととされてきた長い歴史があり、たとえ時代が変わっても、健康長寿は人々の願いであることに変わりはありません。

寿命を延ばすための条件

笑ってNK細胞を増やせば長寿になる

これは三石巌の著書『からだの中から健康になる長寿の秘密』の一節です。

三石は「寿命を延ばすための条件の第一は、科学を知ることである」とした上で、これを知らない人では、それに代わって、笑いが第一条件となる、と書いています。ただし、「すきっ腹では意味がない」とも付け加えています。

近年、笑いの研究では、NK細胞が活性化され、免疫力が向上することが多数報告されています。

笑いで病気を治してしまった例としては、ジャーナリストのノーマン・カズンズが有名です。過労から発症してしまった重篤な膠原病を治すために、薬での治療を止め、ビタミンCの大量療法と滑稽な映画を見て笑って過ごすことにしました。すると、8日目には痛みを感じなくなり、自然に眠ることができたと『ニューイングランド・ジャーナル』に発表し、著書『笑いと治癒力』にもまとめました。

日本では、糖尿病患者に漫才を聞かせ、血糖値に劇的な改善が見られたとの報告や、歯周病やリウマチでの改善報告、面白くなくても笑顔を作るだけで免疫力が活性化されたという研究報告もあります。

そもそもNK細胞(ナチュラルキラー細胞)とは?

NK細胞は、白血球・リンパ球の一種です。常に身体中をパトロールして、がん細胞やウイルス感染細胞を最初に発見し、それらを攻撃・破壊します。加齢によって免疫力は低下しますが、その原因はNK細胞の働きが低下するためといわれています(下図)。

私たちの身体を病気や不調から守る免疫には「自然免疫」と「獲得免疫」がありますが、まず、第一段階として、生まれつき持っている自然免疫系が働いて防御します。NK細胞は、自然免疫系に属しています。

笑うことによって脳の前頭葉が活発になると、間脳を刺激し、情報伝達物質(神経ペプチド)の生成が促進されます。情報伝達物質は、血液やリンパ液を通じてNK細胞にたどり着き、その働きを活性化すると考えられています。

NK細胞には、抗ストレスホルモンのレセプター(受容体)があることも分かっています。これは、些細なことにこだわり悩んでいると、NK細胞は抗ストレスホルモンに捕まって働けなくなってしまうことを意味します。笑いはこの逆ということになります。

 

脳と免疫系とのクロストーク

脳 (中枢神経系) と免疫系は、相互に情報を出しあいながら生体防御機能を担っています。

免疫系の細胞は、ステロイドホルモン ・成長ホルモン ・インシュリン ・エストロゲン ・ エンドルフィン ・カテコールアミンなど数多くのホルモンや神経ペプチドを受けとるレセプターをもっています。

その一方で、刺激されると甲状腺刺激ホルモンや成長ホルモン、エンドルフィンなどのホルモンを自身で産生することも分かっています。

アトピー性皮膚炎がストレスで悪化したり、蕁麻疹が出たりすることが知られていますが、その背景には脳と免疫系とのクロストークがあるのです。

 

栄養的ストレスがあっては意味がない

「栄養的ストレス」とは、三石巌が「栄養不良」に対して提唱した言葉です。

笑いにはNK細胞を活性化し、寿命を延ばす働きがありますが、「栄養的ストレス」があっては意味がありません。

良質タンパク、ビタミンB群、ビタミンCを土台に、免疫力の向上には、ビタミンA、ビタミンD、ミネラル(亜鉛、鉄、銅、ヨード)、EPAなど、様々な栄養素が関わっています。これらの栄養素を不足のないように摂取し、健全な免疫システムを維持することが大切です。

 

笑いが苦手な場合は・・・

いわゆるリフレッシュや気分転換と呼ばれることでも、NK細胞が活性化することが分かっています。 

笑い以外の気分転換のコツとして、三石巌は、頭脳労働が一番で、特に知的緊張感を呼び起こす本を読むことがお勧めと書いています。

皆さまのお好みは、笑いでしょうか?読書でしょうか?

健康長寿への第一歩です。

 

<参照>