眼は無意識のうちに酷使しています。
在宅時間が増えて、テレビやゲーム、映像コンテンツ(YouTubeなど)の視聴時間が増えたという方も多いのではないでしょうか。
私たちの眼は近くを見るときは近くにピントを合わせるため、毛様体筋に力が入り緊張状態になります。そのため長時間近くを見ていると毛様体筋に負担がかかり、眼が疲れます。
眼がゴロゴロしたりショボショボして、まぶたの縁に痛みや眼の奥が重く感じられることはありませんか?このような症状が慢性化すると眼精疲労やドライアイになります。
眼精疲労を放置すると全身の不調の原因にもなります。
●物が見えるしくみ
眼球は、眼に映る映像を脳に伝える役割をする感覚器です。
カメラにたとえると、角膜と水晶体はレンズ、その間にある虹彩は眼に入る光の量を調整する絞り、眼球の奥にある網膜はフィルムの役割をしています。
水晶体を支える毛様体筋という筋肉が伸び縮みし、水晶体の厚さを変えてピントを調節しています。
網膜に映った映像は、視神経を通じて脳に伝わります。
脳がその信号を処理してはじめて「眼が見えた」となります。
物は眼で見ているのではなく、脳で見ているのです。
●疲れ眼と眼精疲労
疲れ眼 と 眼精疲労 は同じものだと思われがちですが、実は違います。
大きな違いは、症状の重さです。疲れ眼 は、一時的な眼の疲れのことを言い、睡眠をとるなどの休息によって自然と解消されるため、身体への影響はありません。
一方、眼精疲労 は、眼痛・視力低下・肩こり・頭痛、イライラ感、吐き気など全身の症状が出て、継続的に繰り返されることになります。
ピントを調節する毛様体筋は自律神経によって支配されているため、眼を使い過ぎて毛様体筋が疲れると、自律神経のバランスが崩れて、全身に症状があらわれると考えられています。
●ドライアイ
眼の表面を潤す涙は、外側から順に、油層・涙液層・ムチン層の3層構造からなっています。いずれかひとつでも不足して涙のバランスが崩れると、涙の安定性が低下し、眼の表面に定着しなくなります。ドライアイは、このバランスが崩れた結果として起こる状態です。
人は普段は1分間に20回まばたきをすることで眼の乾きを抑えています。
パソコンなどの画面を見ている時は、1分間に6回から7回しかまばたきをしないと言われています。
そこで、眼精疲労、ドライアイなどを改善するためには、栄養素の摂取と三石式「目玉の体操」がおすすめです。
●眼精疲労、ドライアイを改善する栄養素
眼の組織づくりには、良質タンパク、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンA、ミネラル(鉄、銅、亜鉛、マグネシウム等)などが必須です。
普段からこれらの栄養素に不足が起こらないよう摂取することで、眼の組織強化につながります。中でもビタミンAには、涙腺の分泌能を正常化する働きと潤い成分を保つ働きがあります。
眼の血流低下が起こると、細胞を新しく造り替える為の栄養や酸素が運ばれず、眼の細胞が弱くなり、さまざまな障害が起こりやすくなります。
血管強化の為には、良質タンパク、ビタミンB群(特にB6)、ビタミンC、ミネラルなどが必要です。血流の確保には、ビタミンEも欠かせません。
ビタミンEは、強力な抗酸化作用により血液の中の過酸化脂質を作らせないように働き、血液の粘度を下げて血栓予防にも働きます。
眼は、紫外線による活性酸素の影響が大きく、これが眼の各細胞を変性(酸化)させて疾患の原因となります。
ビタミンC、ビタミンE、植物ポリフェノール、カロチノイド、ルテイン、アスタキサンチンなどは、特に眼に必要な抗酸化成分です。
●三石式「目玉の体操」※1日おきが原則です。
- タオル等で眼を覆い、眼球が動かないようにその上から軽く手をそえる。
- (無理のない程度に)力いっぱい上方を見るようにして6秒間その状態を保つ。
- 上下左右すべて行う。
- 眼球をゆっくり大きく回し(左右2~3回ずつ)、眼筋を伸び縮みさせて、発生した乳酸 や二酸化炭素を 静脈やリンパ管に流す。
上を向こうとする力とそれを阻止しようと手で眼球の動きを固定することで、眼筋を鍛えることができます。
筋肉が太くなれば、これを養う血管も太くなるため、眼球に供給される血流量が増加します。
筋肉の本領は、収縮にあり、収縮力の大きい筋肉ほど強い筋肉、強い筋肉ほど太い筋肉です。筋細胞は特別な細胞で、生まれた後は分裂して増えることはありません。
そのため筋肉を太くするには、筋肉細胞内の筋原線維を構成するフィラメント数を増やす必要があります。
目玉の体操は、フィラメント数の増加によって筋肉を太くすることを目的としたトレーニングです。
- 1回のトレーニング時間は6~8秒を推奨しています。
- フィラメント数の増加には2日間ほどかかるため、1日おきが原則です。