薬剤師が教える新型コロナウイルスの感染予防対策 | 分子栄養学のススメ

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分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

4月のメルマガで栄養対策についてお伝えいたしました。健康自主管理はしっかりされているのではないかと思います。
今回は感染予防対策の基本(標準予防策)についてお話させていただこうと思います。3密(密集、密室、密接)を避け、基本の感染予防対策を行って、新型コロナウイルスから身を守りましょう。

 

コロナウイルスの特徴 

ヒトに感染するコロナウイルスは従来、風邪のウイルス4種類と重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARSCoV)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)の合わせて 6 種類が知られていました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因病原体である 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2) はこれらとは異なるウイルスであり、主に呼吸器感染を起こし、病原性は MERSやSARSより低いレベルと考えられています。新型コロナウイルスは、飛沫および接触でヒト−ヒト感染を起こすと考えられていますが、空気感染は否定的です。

写真:国立感染症研究所HPより

私たちができる感染予防対策とは・・・

できるだけ外出しない、3密を避けるというのは前提となりますが、下記3点を徹底することが重要です。

 

1、マスクをする

マスクはあくまで、『感染した人がウイルスを拡散するのを防ぐもの』と考えましょう。マスクをしたからといって自分を守ることはできないと思っておいた方がいいと思います。また、口や鼻からだけでなく、目の粘膜から感染する可能性もあります。症状が出ていなくても、感染している人はいるという報告もありますので、自分自身が感染しているかもしれないという意識を持って行動することが必要です。

 

2、手を洗う

飛沫、接触感染を予防する基本は手洗いです。ウイルスが付いた手で無意識に目、鼻、口などを触ってしますと感染する可能性があります。

イラスト:厚生労働省『新型コロナウイルスについて』より

 

アルコール消毒でないとウイルスには効果がないと思って、一生懸命アルコール消毒剤を買い求める方もいらっしゃると思います。しかし、流水のみの手洗い、アルコール消毒、ハンドソープでの手洗いでウイルス除去効果を比較した実験では、アルコール消毒よりもハンドソープでの手洗いの方がウイルス除去効こい果が高いとの報告もあります。流水のみ15秒間の手洗いとアルコール消毒ではウイルス量は手洗いなしの時と比較して100分の1程度に減少し、ハンドソープを使用した手洗いでは10000分の1にまで減少すると言われています。
外出時などで手洗いができないときにアルコールを使用するのは有効だと思いますが、手を洗うことができる状況にあるときにはハンドソープでの手洗いをお勧めします。
 

(参考:森功次他:感染症学雑誌.80:496-500(2006)) イラスト:厚生労働省『新型コロナウイルスについて』より

3、共用部分の消毒をする

新型コロナウイルスが流行して店頭から姿を消したものはマスクとアルコール消毒剤でした。しかし、環境の消毒は一般家庭にある身近なものでできますので、ご安心ください。消毒薬によって使用できる場所と使用できない場所がありますので、ご注意いただきご使用ください。
ドアの取っ手やノブ、冷蔵庫の扉やスイッチなどは多くの人が触る部分のため、ウイルスが付着しやすい部分でもあります。感染拡大防止のために共用部分の消毒を行いましょう。
コロナウイルスはエンベロープという脂質2重膜に糖タンパクが挿入された膜で守られています。エンベロープをもつウイルスは消毒薬によってエンベロープを破壊され感染力を失うことから、消毒薬の効果が出やすい特徴があります。
 

消毒薬の作り方

①次亜塩素酸ナトリウムを使用した消毒薬

次亜塩素酸ナトリウムという難しい名前ですが、漂白剤としてはどこの家庭にもある一般的なものです。商品名としてはキッチンハイター(花王)やブリーチ(ライオン)などがあります。

 

希釈方法

0.5%(500ppm)の消毒液を作る場合

500mLのペットボトルにペットボトルのキャップ1杯(5mL)の次亜塩素酸ナトリウムを入れる。

 

0.1%(1000ppm)の消毒液を作る場合

500mLのペットボトルにペットボトルのキャップ2杯(10mL)の次亜塩素酸ナトリウムを入れる。

 

次亜塩素酸ナトリウムについての注意事項

通常、次亜塩素酸ナトリウムは常温で保管するとゆっくり分解が進むことが知られています。そのため、出荷時には次亜塩素酸ナトリウム濃度6%ですが、時間の経過とともに分解が進んでいる可能性があり、濃度を特定することができません。そのため、できるだけ新しいもの※を使用して希釈することをおすすめします。

希釈したものは時間が経つと分解が進み、効果が減っていくので、その都度使い切りましょう。また、希釈したものをペットボトルで保管するときは、誤飲しないよう、容器に目立つように薬品名や濃度を記入しておきましょう。原液、希釈液ともに、アルミホイルなどで包んで光を遮り、直射日光の当たらない場所で保管しましょう。子どもの手の届かないところに保管しましょう

 

次亜塩素酸ナトリウムは金属を腐食させる作用がありますので金属部分に使用した後には必ず水拭きを行ってください。

 

※ご自宅に購入してから3か月~3年以内の商品がある場合には株式会社花王様のHPを参考に希釈してください。

 

②台所用合成洗剤を使用した消毒薬

新型コロナウイルスと似たウイルスである、2003年に流行したSARSコロナウイルスは台所用合成洗剤の処理に効果が高いことが実験的に確認されています。そのため、新型コロナウイルスにも効果があるのではないかと考えられています。

 

※現在NITE(独立行政法人製品評価技術基盤機構)では台所用洗剤の洗浄成分「界面活性剤」と、塩酸と食塩水を電気分解した「次亜塩素酸水」、除菌ウエットティッシュなどに含まれる「第4級アンモニウム塩」について新型コロナウイルスに対して有効性についての評価を行うことになっています。正式な結果が発表され次第、お知らせいたします。
 

 

希釈方法

1リットルのぬるま湯に5~10mL以上の台所用合成洗剤を入れる。(台所用合成洗剤として濃度0.5%以上)

 

※2003年に流行したSARSコロナウイルスに対して効果が確認されているのは食器・野菜用洗浄用の家庭用合成洗剤であり、成分として直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムもしくはアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムを16%以上含むものです。

 

消毒部位

①ドアの取っ手やノブ、照明のスイッチ、テーブル、椅子、コンピューターのキーボード、マウス、床など

手が触れやすい場所が感染拡大しやすい場所といえますので、よく触る場所はこまめに消毒しましょう。
  • 0.05%(500ppm)の次亜塩素酸ナトリウムで拭いた後、水拭きをする。
 又は
  • 台所用合成洗剤をぬるま湯に溶かしたものを浸した雑巾で2度拭きする。

 

②トイレの便器

ウイルスは排泄物からも検出されていますので、トイレもしっかりと消毒しましょう。

便器以外は①と同じ方法で消毒してください。

また、トイレ用の洗浄剤には次亜塩素酸ナトリウムを使用したものが多く市販されていますので、それを使用していただいても構いません。

  • 市販の家庭用洗剤を使用し、すすいだ後に、0.1%(1000ppm)の次亜塩素酸ナトリウムを使用して清掃する。
 又は
  • 台所用合成洗剤をぬるま湯に溶かしたもので用いて清掃し、5分間置いた後流す。清掃に使用したブラシなどは台所用合成洗剤をぬるま湯に濃い目に溶かしたものに5分間以上漬けておく。

 

 

消毒するときの注意事項

消毒剤は噴霧することによりウイルスが空気中に舞い上がる可能性があるため、消毒する場合には清拭するようにしましょう。

 

上記は感染予防対策となります。感染が疑われる人が家庭内にいらっしゃる場合には下記を参考にしてください。

厚生労働省 新型コロナウイルスの感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項

 

 

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(参考)

国立感染症研究所

SARSに関する消毒

 

厚生労働省

新型コロナウイルス感染症について