三石巌の書籍で、現在絶版して読むことができない物の中から、その内容を少しずつですが皆様にご紹介させていただきます。
肥満はなぜおきるか
肥満とは、脂肪組織が正常の人より多い状態といえる。この状態が、脂肪細胞の代謝異常からきた場合は、病的肥満、つまり「肥胖症」ということになるが、ある人の肥満が病的であるかないかはわかりにくい。ただ、食事をへらせばやせるような場合は病的肥満でないといえる。病的肥満の場合は、絶食してもほとんど体重がへらず、食いすぎなくても体重がふえる。
病的肥満は血液検査にかなりよく特徴をあらわしてくる。
20時間以上絶食すると、血中遊離脂肪酸が急上昇するのがふつうだが、肥胖症患者ではあまり上昇しない。
肥胖症患者では、脂肪をエネルギー源として利用する割合が、ふつうの人よりも大きい。肥胖症患者では、摂取した糖質はエネルギー源として利用されにくく、脂質の形で蓄積されやすい。
食いすぎると、血中中性脂肪値が上昇するのがふつうだが、肥胖症患者は上昇しない。太った人は、食事の量をへらしてみて、それが病的な肥満であるかどうかをつきとめておくがよい。
〔三石巌全業績−11 健康ものしり事典(絶版)P154より抜粋〕