三石巌の書籍で、現在絶版して読むことができない物の中から、その内容を少しずつですが皆様にご紹介させていただきます。
ガンはなぜこわいか
ガンがこわいのは、とにかく命とりになるからである。原発ガン一つが命とりになることもあるが、転移でいくつかの臓器がおかされて命とりになることもある。
転移ガンがあっても、なお生命の灯をあかあかとともしている人も、むろん少なくはない。
ガン患者を死に追いこむ原因は、腫瘍によって、生命の維持に必要な臓器が、破壊されたり圧迫されたりすること、腫瘍が宿主の栄養物質を横取りすること、代謝を阻害する物質が腫瘍からでてきて血液を悪液質化することなどである。
腫瘍の重量が体重の10%以下にとどまる時期では、腫瘍が要求するタンパク質は食事でまにあうので、栄養上の問題は大きいとはいえない。
腫瘍の重量が体重の10%をこすと、腫瘍は体タンパクを血清タンパクに変えることを要求するので、肝臓はこの過重な負担のため肥大する。
このとき、貧血、血清鉄欠乏、免疫能低下があらわれる。
最後には、全身のタンパク質が動員されるので、肝臓も小さくなる。脂質はエネルギー源として消費され、悪液質のために代謝が全面的に阻害される。体重の減少や顔色の悪さなどはここからくる。
〔三石巌全業績−11 健康ものしり事典(絶版)P139より抜粋〕