三石巌の書籍で、現在絶版して読むことができない物の中から、その内容を少しずつですが皆様にご紹介させていただきます。
覚醒レベルとは何か
われわれ人間の脳は傘の開ききれないキノコの形に似ている。傘は大脳であり、軸は脳幹である。脳幹の中心部を貫いて「網様体」がある。この部分は神経が網の目のようには入り組んだもので、イソギンチャクなどの下等動物の神経系の遺物とみなされる。イソギンチャクのからだのどこかに遺物が接触すれば、すべての触手が動きだすが、網様体の動きはこのようなものである。全身の知覚神経は脳幹にはいるが、そこで網様体に側枝を出している。感覚器に刺激が加われば、その情報は側枝から網様体にはいって、これが興奮する。これが「網様体賦活系」である。
網様体の下部は「網様体抑制系」となっている。網様体賦活系の活動は、抑制系によって適当に制御され、大脳活動を誘発する。
網様体賦活系は、交感神経系からでてくるノルアドレナリンによって賦活され、網様体抑制系は、セロトニンによって抑制される。網様体の賦活のレベルが高ければ「覚醒レベル」が高く、頭がさえる。これが低ければ覚醒レベルが低く、睡眠が導かれる。覚醒レベルを高める化学物質には、カフェイン、ニコチンなどがある。
〔三石巌全業績−11 健康ものしり事典(絶版)P46より抜粋〕