三石巌の書籍で、現在絶版して読むことができない物の中から、その内容を少しずつですが皆様にご紹介させていただきます。
筋肉の発達とはどういうことか
筋肉の構造をみると、それは筋繊維の集合体の形をとっている。筋繊維の一本一本は、筋肉細胞である。この細胞の数は、生まれたときから一人前になるまで、ふえることがない。むろん、そのあいだに、筋肉は発達するわけだ。そこで、筋肉の発達とは、細胞数がふえることでなく、筋繊維が太くなることだとわかる。
筋肉細胞つまり筋繊維は、太いもので直径が0.1ミリしかない。ところがそのなかに、筋原繊維という名の繊維があり、筋原繊維のなかにフィラメントとよばれる二種類のタンパク質の糸のようなものがならんでいる。フィラメントをたばねて筋原繊維をつくり、筋原繊維をたばねて筋繊維をつくった構造、といってよい。それは、電話線のケーブルに似ているが、その一本一本の電線がさらにケーブルのような構造になっている。
筋肉の発達とは、筋繊維が太くなることであり、筋原繊維が太くなることである。それはつまり、フィラメントの数がふえることにあたる。
20歳をすぎる頃から、フィラメントの数はへる傾向にある。これを防ぐ方法としては、スポーツやアイソメトリックスがある。
〔三石巌全業績−11 健康ものしり事典(絶版)P242より抜粋〕