三石巌の書籍で、現在絶版して読むことができない物の中から、その内容を少しずつですが皆様にご紹介させていただきます。
ビタミンAの不足はなぜ悪い
目のふち、つまり結膜にも、鼻の孔にも、口にも、のどにも、骨にも、腸にも粘膜がある。その粘膜を構成する重要な物質の一つに「コンドロイチン硫酸」がある。コンドロイチン硫酸の材料は、ブドウ糖やイオウなどだから、これがなくては正常な粘膜はつくれない。これらの材料からコンドロイチン硫酸を合成するとき、ビタミンAが活躍する。したがって、ビタミンAが不足しても、粘膜は不完全になる。われわれ日本人に胃ガンが多いのは、ビタミンA不足のせいだといわれるが、胃壁が正常でないとすれば、これはもっともなことだ。胃潰瘍や十二指腸潰瘍なども、ビタミンAの不足と無関係とは思えない。
コンドロイチン硫酸が不足の粘膜は粘液が欠乏し、角質化して乾燥する。ビタミンAの不足は鳥目に結びつけられているが、これは、網膜の感光色素「視紅」がビタミンAをふくむためである。ビタミンAには、A1とA2とがあって、視紅のものはA1に限られる。海産魚のものは全部がA1だが、淡水魚のものは大部分がA2である。ビタミンAが不足すると、皮膚の結合組織のコンドロイチン硫酸が不足し、手が荒れたり、ウオノメができたりする。
〔三石巌全業績−11 健康ものしり事典(絶版)P181より抜粋〕