三石巌の書籍で、現在絶版して読むことができない物の中から、その内容を少しずつですが皆様にご紹介させていただきます。
貧血とはどういうことか
貧血とは、血液不足のことではなく、血液を赤くそめる「ヘモグロビン」不足のことである。ヘモグロビンを「血色素」という。
ヘモグロビンは、酸素をはこぶ役目のタンパク質であって、鉄をふくんでいる。だから、タンパク質が不足しても鉄が不足しても、貧血がおきる。もっとも、ヘモグロビンを合成する代謝では、助酵素として、ビタミンB2・B6・B12・C、葉酸、銅が登場する。どれ一つが不足でも、貧血ということだ。貧血の人は、血の色がうすいわけだから、顔色は青ざめ、眼のふちの結膜に血の気がない。酸欠状態だから、疲れやすさ、めまい、頭痛、肩こり、心悸高進などを自覚することになる。爪が割れたり、縦の線をきざんだり、変形したりするのも、貧血の特徴である。
貧血の診断は血液検査による。血液一立方ミリ中の赤血球数が450万(男)、400万(女)を割っても、100ミリリットル中のヘモグロビン量が15グラム(男)、13グラム(女)を割っても、ヘマトクリットが45%(男)、40%(女)を割っても貧血と診断される。ヘマトクリットとは血液中に占める赤血球の体積のパーセンテージである。
〔三石巌全業績−11 健康ものしり事典(絶版)P63より抜粋〕