三石巌の書籍で、現在絶版して読むことができない物の中から、その内容を少しずつですが皆様にご紹介させていただきます。
夜型人間は実在するか
夜にならないと調子がでない、というような話をもちだす人はめずらしくない。あたりが騒々しくて、ふつうの生活の人が寝しずまったあとでないと、落ち着かないという解釈ができるという意味なら、筋はとおるだろう。
しかし、静かな環境にいる人が、こんなことをいいだしたら、本当はおかしいのである。
ところで、人間の生理現象の一つに、「生体潮汐現象」といわれるものがある。これは、1954年に、労働科学研究所の斉藤一氏らが発見した現象だ。これによれば、人間の活動最適時間は、午前8時から午後6時ごろまでであって、おそいほうにずれこんでも、せいぜい午後10時が限度だという。夜型人間などは、どこにもいないことになった。もしあれば、それは錯覚の産物なのだ。
生体潮汐現象ということばは、血液量の一日中の変化から名づけられたものである。日中は、血中の栄養物質が細胞に送りこまれるために、血液の量がへっている。これは、心臓の負担を軽くし、細胞の活動レベルを高める結果になる。夜になると、血液は量を増やし、栄養物質や生長ホルモンを補給して損傷を修理し、細胞から不要物質を集める。この現象は、人間がネコのような夜行性動物でないことからきている。
〔三石巌全業績−11 健康ものしり事典(絶版)P134より抜粋〕