36 がん細胞 〜大量の活性酸素で“一人前”に〜 | 分子栄養学のススメ

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分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

 ボクが保証人になっていた人がとうとう破産しちゃった。ボクはあたまをかかえての金策だ。ねむれない夜がつづく。心身ともにくたくただ・・・。

 このストレスで、ボクの体内では活性酸素がひっきりなしに発生いしている。だが、ボクはこれがもとでいくらがん細胞の卵ができたって、心配はしない。それが一人前のがんになるまえに、ボクはお墓ににげこむ予定なんだ。これはジジババの特権なのさ。ワイロも何ももらえない特権だ。ひとにゆずることのできない特権だ。

 若いもんじゃそうはいかん。自前のスカベンジャー(老化などの元凶とされる活性酸素をしまつする物質の総称)があるにはあるんだが、活性酸素の大量にやられたらあぶないもんだ。

 植物にはいろんなスカベンジャーがあって、それを人間さまがよこどりしているってことは、まえに書いた。そういうわけで、植物はいくら紫外線がきても大丈夫なんだが、農薬パラコートをかけられたら、おしまいだ。活性酸素の洪水がおきるからだ。スカベンジャーの分子数が活性酸素の分子数におよばなかったとすれば、これはあとりまえの話さ。

 若者よ、おごるなかれってことさ。

 ここでちょっと、前のことのおさらいがいる。鼻からはいった酸素はミトコンドリアへゆく。ここで燃料を燃やすわけだ。このとき酸素の二%が活性酸素になるっていったはずだが、おぼえているかな。

 パラコートは、このパーセンテージをあげる農薬なんだ。これをかけられると植物はたちまち命をとられる。パラコートは自殺につかわれているが、これは活性酸素のはたらきだ。中性洗剤も、パラコート同様に活性酸素の増産剤だ。だからこんなものを飲んじゃいかん。

 ここいらで金策、いやストレスの話にもどるとしよう。

 活性酸素がじゃんじゃんできるから、あちこちにがん細胞の卵がうみつけられる。きずのついたDNAをもつ細胞ができるってことだ。

 まえに書いたことだが、ある細胞のDNAの一ヵ所が電子ドロボーにやられただけだと、それはがん細胞の卵だ。おなじDNAが、二カ所も三カ所も四カ所もドロボーにやられなければ、一人前のがん細胞にはなれないんだ。

 これはなかなかやっかいな仕事だ。よっぽどたくさんの活性酸素がなけりゃならん。一人前のがんができるのに、十九年も二十年も二十五年もかかるってのもむりはないさ。

 

 

本原稿は、1994年9月23日に産経新聞に連載された、三石巌が書き下ろした文章です。