ボクが使っているスカベンジャー(成人病や老化の元凶とされる活性酸素をしまつしてくれる物質の総称)は低分子化したフラボノイドだけじゃない。がんにも脳卒中にも心不全にも腎不全にもなりたくないし、なりゆきの老化はいやだ。
だから活性酸素にたいしては万全のそなえをしているつもりなんだ。その中心になっているのがフラボノイドってことさ。
そんなとくべつなものでなくたってフラボノイドがとれるといいんだけれど、そうもいかないんだな。カシをかえるほうがりこうだと思うね。つまり、フラボノイドでないものに目をむけろってことだ。
たとえばお茶だね。お茶のしぶみのもとはタンニンだ。それはポリフェノールのなかまでカテキンともいう。こんな用語をならべるのは、新聞や雑誌にそういうことばがでても気分をわるくしないためだ。老婆心みたいなものさ。
お茶のカテキン分子は温度がたかすぎるとあつまって大きくなる。そうなったら腸のかべがとおりにくくなっちゃう。こんなことになったらせっかくのスカベンジャーがだいなしだ。けっきょく、あついお湯でだしちゃいかんってことなんだ。茶道でもそんなこというんじゃないかな。
これはいいお茶の話だ。ほうじ茶や紅茶にはカテキンはないんだから、熱湯でどうぞ、といっておく。
ポリフェノールはゴマにもある。ゴマのポリフェノール分子はほうじるとふたつにわれる。だからゴマはほうじるにかぎる。スカベンジャーの分子数がふえるわけだ。
活性酸素とスカベンジャーとの戦いは分子と分子の一騎打ちだ。スカベンジャーの分子数は活性酸素の分子数よりおおくなければまずいんだな。
このことをあたまにおかずに、ニンジンをたべています、ゴマをとっています、お茶をのんでいますなんていっても、だめなんだ。活性酸素にやられないためには量でまけないようにしなけりゃ。
ボクはどうしているかって?フラボノイドとポリフェノールをまぜたものをじぶんでつくって使っている。活性酸素のでそうなときにはたくさんとるってぐあいにだ。
まえにかいたことだが、ボクは活性酸素のことを知らないときからメガ(大量)ビタミン主義だった。それがよかったんだ。ビタミンはAもB2もCもEもスカベンジャーなんだ。
本原稿は、1994年6月17日に産経新聞に連載された、三石巌が書き下ろした文章です。