6 ビタミンC療法 〜必要量に個体差の問題を発見〜 | 分子栄養学のススメ

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分子栄養学の確立者である三石巌によって設立された会社“メグビー”のブログです。

 文献によれば白内障の原因はビタミンCのふそくだとある。ボクの同級生にビタミンCの製剤などとっているにんげんはいなかった。それなのにボクだけがふそくとはなにごとだ。

 ボクはむずかしい問題にぶつかった。ボクはじぶんなりにこれを解いた。そして、そこからボクの栄養学がうまれ、ボクの健康管理学がうまれた。これが親ゆずりの目のおかげだとすると、親の恩は山よりも高く海よりも深いってことになってくるんだな。

 そのころボクの家には少年雑誌の編集者がさかんに出入りしていた。こどものぎもんにこたえる記事をあちこちに書いていたからだ。

 そのなかに中年の女性がいた。かの女はビタミンCの眼球注射で白内障をなおしたっていうんだ。ボクがからだをのりだしたら、その医者はもうビタミンC療法をやめたという。天然品が手にはいらなくなったからだそうだ。ボクはガクンときた。

 ビタミンCはアスコルビン酸ともいう。酸だから目玉に入れたらいたくてとびあがるだろう。合成品のビタミンCはふつうはこのアスコルビン酸だ。天然品はちがう。インドールと結合してアスコルビゲンっていう中性のものになっている。だからしげきがないから注射ができる。これはボクの見解だがね。

 ボクのそのころの考えはこうだ。白内障っていう眼病は水晶体がすきとおらなくなっておこる病気だ。ビタミンCはからだじゅうにゆきわたっているが、水晶体や副腎皮質や卵巣などにとくにたくさんたまっているものなんだ。本で読んだんだがね。

 というわけで、ビタミンCはひっぱりだこになっている。そうしてそれは、それぞれの持ち場ではたらいている。水晶体でどんな働きをしているかは知らないが、なにかのやくめをはたしているだろう。ボクの目の水晶体はビタミンCの働きがやりにくいんだろう。だからふつうの人よりビタミンCがたくさんいるんじゃないか。

 これがそのときボクの頭にあったことだ。水晶体のなかにはいろいろな化学反応がおこっているだろう。そこにビタミンCがかかわっているはずだ。それでなけりゃ、そこにビタミンCがあつまっている理由はないだろう。その化学反応はビタミンCをまきこんでいるが、ボクのばあいその量がおおくないと、反応がうまくすすまない。ここに、ビタミンC必要量の個体差の問題をみつけたわけだ。

 

本原稿は、1994年2月11日に産経新聞に連載された、三石巌が書き下ろした文章です。