今、シークと青い瞳の花嫁を読了しました。
総ページ数379ページのかなり分厚い本でしたが、何と1日と少しで読めてしまった。
とても面白かったです。
ヒロインのサラはアメリカのボストンからオスマン帝国に遊びにきていました。
そこで従兄の家に滞在していたのですが、コンスタンティノープルの
スルタンの娘の家庭教師としてハレムで暮らすことになりました。
ところが、スルタンの元を訪れていたオスマン帝国の総督カリードに見初められ
ます。
法外な値段でスルタンからカリードに売れられてしまったサラは
カリードの熱心な求愛も頑なに拒み続けます。
サラをイクバル愛妾、寵姫としてハレム後宮に閉じ込めようとするシーク。
育ち方、考え方の相違から互いに強く惹かれ合いながらも
反発してしまう二人。
素直になれないサラ。
やがて、自分の中にあるカリードへ愛を認め、彼と結婚することにしたサラですが、
結婚式の直前で、カリードが従兄のジェームズが彼女を必死に探して訪れていた
ことをサラに知らせたなかったことを知り、ショックを受けます。
彼との結婚式を取りやめ、去ったサラ。
彼女を必死に追いかけていくカリード。
しばらく従兄の家に滞在していたサラはやがてカリードの子どもを妊娠していること
を知ります。
アメリカに渡る船に乗る直前、サラにやっと追いついたカリード。
二人はもう互いに離れられないと知るのでした-。
ラストか゛とても良かったです。
一国の王様といっても良いカリードが最後は何もかも振り捨てて、
何ふり構わずにサラを求めて引き留める姿には感動すら憶えました。
人を好きになることは、その人のすべてを受け容れることなのだと、
今まで後宮の従順な女たちしか知らなかったカリードは初めて
知った、そこが良かった。
サラは民主的な国で育ったアメリカ人女性ですから、カリードにまず
奴隷や品物のように品物で買われたというのが我慢ならなかった。
何度も反発やすれ違いを繰り返しながらも、強く求め合い惹かれ合っていく
二人の姿にはドキドキして、ページを繰るのがもどかしいくらいでした。
でも、飛ばしてしまったら、その部分も勿体ないので-笑。
まるで読んでいる私もサラと一緒にオスマン帝国のハレムに滞在しているようで、
本当に作品の世界に入り込んで楽しめました。
ブクログで既にレビューを書かれていた方は☆二つでしたが、私はもちろん
☆五つです
![](https://img-proxy.blog-video.jp/images?url=http%3A%2F%2Fwww.dhcblog.com%2Fimage%2Femoji%2F01.gif)
最後に訳者あとがきに書かれていた印象的な言葉を紹介します。
これまでにノンフィクションやヤングアダルト面の
パラノーマルも含め、四〇冊以上の本を世に送り出してきたドリーンだが、
読むのも書くのもいちばん好きなのはロマンスだそうだ。
辛い現実から逃避するのにもってこいだから。ロマンかの世界といっても、
すべてがおとぎ話ではない。現実の枠組みの中のお話で、登場人物たちには
仕事があり生活があり、問題も抱えている。だが、読者がこうあって欲しいという
形のハッピーエンドが約束されている。だから、ロマンスは休暇のようなもの、
と彼女は言う。
確かにそのとおりです。
この小説がとても夢中になれたのは、ただのロマンスじゃなくて、19世紀後半の
歴史的背景や時代設定、当時のオスマン帝国の風俗などをとてもこまやかに
リアルに描き出しているから。
立派なヒストリカルの小説でもあるからだと思います。
そういう丹念に描き込まれたリアルさがあたかも読んでる私まで
当時の時代にタイムトリップしたような感覚にさせてくれたのかもしれないなと
思います。
読んでいる途中は何もかも本当に現実を忘れられましたから!
ロマンスでも、おとぎ話なだけでは読者は満足してくれないんですね。
やはり、そこには人物たちのちゃんとした設定が書き込まれていて、
作品の背景からは(生活感)が滲み出てないと。
絵空事ではないロマンスを描かなければ、所詮、それは作り話で終わってしまう
のかなと思いました。とても良い勉強になりました。
これはアマゾンで見つけたのですか゛、
ざっと内容を読んで買うと決めたときから、いけるんじゃないかと思った。
その予感がラッキーにも当たりました。
歴史小説的な要素もあるので、本格嗜好の方にもオススメです。