



太陽系の惑星の中で、最も真円に近い公転軌道を持っている。地球から見ると金星は明け方と夕方にのみ観測でき、太陽、月に次いで明るく見える星であることから、明け方に見えるものを「明けの明星」、夕方に見えるものを「宵の明星」という。
金星には二酸化炭素(CO2)を主成分とし、わずかに窒素を含む大気が存在する。気圧は非常に高く、地表で約92気圧ある(地球での水深920mに相当)。地表での気温は約730K(約460℃)に達する。
金星の自転は非常にゆっくりなものであるが、熱による対流と大気の熱慣性のため、昼でも夜でも地表の温度にそれほどの差はない。
金星の地表は太陽により近い水星の表面温度(平均442 K(169 ℃))よりも高い。金星の地表の気温が高いのは、大気の主成分である CO2による温室効果のため。
金星の厚い雲は太陽光の80%を宇宙空間へと反射するため、金星大気への実質的なエネルギー供給は、太陽から遠い地球よりも少ない。このエネルギー収支から予測される金星の放射平衡有効温度は227K(-46℃)と、実際の金星の地表温度に比べて約500Kも低温の氷点下となる。
それが実際にそうならないのは、膨大な量のCO2によって大気中で温室効果が生じるためで、高密度のCO2による温室効果が510K分の温度上昇をもたらしている。
金星の赤道傾斜角は177度。金星は自転軸がほぼ完全に倒立しているため、ほかの惑星と逆方向に自転している。金星は太陽は西から昇って東に沈む。金星の自転がなぜ逆回転をしているのかは分かっていないが、恐らく大きな星との衝突の結果と考えられている。
金星の自転速度は極めて遅く、地球の自転周期が1日であるのに対し、金星の自転周期は地球時間で約243日、地球の243日をかけて一回転していることになる。
