




同じ絵ばかりに見飽きた市民から、もう少し絵の趣向を変えたらどうだという意見も聞かれます。それを反映して最近は津軽藩の藩祖・津軽為信や川中島の合戦などが描かれるようになりました。2003年に運行された右写真の鬼沢ねぷたでは、百姓一揆が描かれていてとても新鮮に感じました。
最後にねぷた絵は骨組みから剥がされるのですが、戦前は喧嘩ねぷたと言って町内会でねぷたを突き合わせて壊し、川に流していました。さすがに現代ではねぷたを壊す風習もなくなり、骨組み自体も鉄になって保存されるようになりました。
某町内会のねぷた絵は、オークションに出して売るそうです。ねぷたを運行している団体は、弘前市から5万円以内の運行補助資金が拠出されます。でもそれだけでは経費が足らず、絵を売って経費の足しにする団体もあります。
基本的に団体の運用資金は、ねぷた参加者からの費用で賄っています。某町会では、祭り期間中に一人当たりの参加料が2000~3000円かかります。各家庭から徴収する団体もありますが、参加意思が無ければ徴収されません。
そのお金で運行に参加してくれた子供たちに運行終了の都度、お菓子やジュース等を配ります。他に絵師のお礼や備品・諸経費等に使われます。運行中は大量の汗が出るので、本ねぷたのバッテリー裏に置いてある水を飲んでいます。あらかじめペットボトルに水を入れて凍らしたので、とても美味いです。
弘前大学が運行するねぷた絵は、毎年大学が表具師に依頼して1964年の初出陣以降、全ての鏡絵と見送り絵と袖絵が裏打ちされ当時の状態のまま保存されています。それは弘前大学の学祭で毎年展示されるので、往年の古いねぷた絵も確認できます。古いねぷた絵は、今と違って限られた色使いが逆に真新しいです。

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