

藤田さんによると、1966(昭和41)年に放送されたNHK朝の連続テレビ小説「おはなはん」に弘前ねぷたまつりのシーンがあり、後藤清蔵さんや須藤清さん、松山定之助・廣さん親子、福真信夫さんら各地の笛名人が、同年5月の弘前ロケに出演した。まだ10代だった藤田さんも笛の奏者として参加した。
同音声はロケに向けた練習やロケ後の反省会で藤田さんがオープンリールの磁気テープに記録し、その後カセットテープに移したもの。太鼓のリズムに合わせ、名人らの軽やかな笛の音が幾重にも重なって響いている。須藤さんによる祇園囃子など、笛の独奏も録音されている。
「廣さんや福真さんの笛は今聴いても分かる。音量が違うもの。細かいテクニックもすごい。間違いなくプロ並みの腕前だ」と藤田さん。現在の一般的なねぷた囃子よりテンポが速いのは、当時は担ぎねぷたが大半だったので、担ぎ手の歩くテンポに合わせていたとみられる。音源の一部は、弘前市立図書館に寄贈されている。
藤田さんら出演者は同年5月21日、ロケ反省会の場で「ねぷた囃子研究同好会」を結成。後藤さんが初代会長、松山廣さんが2代目会長を務め、まつり囃子講習会などを開いて若手らを指導してきた。多くの会員が他界したため、現在は休会中だ。
藤田さんは「これからも、志を持つ若い人たちに私たちの囃子を伝えていきたい」と話し、未来の名人に思いをはせていた。
Yahoo!ニュース
より写真と記事を引用
