


パーサビアランスは今月2日、火星の地表からフォボスによる40秒間の日食を観測した。地球で観測する日食より時間がはるかに短い。フォボスの大きさは月の約157分の1しかない。火星にはフォボスのほか、ダイモスと呼ばれるもう1つの衛星も存在する。
探査機による火星での日食の観測は、2004年の「スピリット」と「オポチュニティー」が初めて行った。19年には「キュリオシティー」が初の動画撮影に成功している。
今回のパーサビアランスはマストに搭載したカメラのズーム機能を駆使し、これまでで最良の動画を提供。米サンディエゴのマリン・スペース・サイエンス・システムズでマストカメラのオペレーターを務めるレーチェル・ハウソン氏も、予想以上にうまく撮れたと喜びを語った。
また太陽撮影用フィルターを使って明るさを抑えてカラー撮影したことで、フォボスの影の形状をより詳細にとらえることができた。フォボスの地形や太陽の黒点も確認できると、コロラド州ボルダーにある宇宙科学研究所の天文学者、マーク・レモン氏は述べた。
フォボスの重力で生じる潮汐(ちょうせき)力に地殻やマントルが引っ張られることで、火星の岩石はわずかに変形している。一方、フォボスも重力によってその軌道を変化させている。
日食の観測で、フォボスの軌道が変化する様子の確認や、フォボスが終えんを迎える時期のより正確な把握が進むことになる。フォボスは今から数千万年後には、火星に衝突するか、粉々に砕けて火星に降り注ぐとみられている。
CNN Newsより写真と記事を引用
