Wikipediaより抜粋
三味線は太棹を用い、特に「津軽三味線」として独立した楽器と見なされている。
三味線本体の寸法は義太夫の三味線とほぼ同じで、棹材には稽古用として花梨、舞台用で高級なものになると紅木を用いる。後者の方が材質が固い為音質が良く、棹の摩耗(勘減り)が少ない。通常三分割できる構造になっており、継ぎ目に「金ホゾ」と呼ばれる金細工を施してある場合がある。
胴材には花梨を用いる。大きさは五分を標準とし、四分大、六分大のものもあるが、明確な規格はない。内部に「綾杉」という綾目模様が彫り込んであるものが高級品で、この綾杉を施していない胴を「丸胴」と呼ぶ。
金ホゾと綾杉のいずれも、音響工学的には無根拠だが、音質が違うと感じる奏者が多い。市場価格は一概に言えないが、紅木・丸胴・金ホゾなしでおよそ20万円から40万円ほどである。高級なものでは500万円を超えることもあるが、音質よりも工芸品的価値が優越するものも多い。また、一般に運指による棹の摩耗や皮の張り替えによる胴の摩耗が激しいため、ヴァイオリンにおけるストラディバリウスのようなヴィンテージは存在しない。
専業の演奏家では特に消耗が激しく、数年おきに買い換えることが多い。このため、演奏家が舞台で現実に使用する三味線は、おおむね300万円程度が上限であるとされる。
糸巻き
糸を巻き取る棒状の部分(ギターで言うところのペグ)を、「糸巻き」または「かんざし」と呼ぶ。材質には象牙または黒檀を用いるが、最近ではプラスチックやアクリル製半透明のものも多い。
皮
皮に用いるのは犬の皮で、背の部分を用いる。胴との貼り付けは澱粉糊を使用するため、きわめて湿度変化に弱い。材質は秋田犬の雌が最高級とされるが、現在は大半がアジア全域からの輸入品。近年合成品も出回っているが、音質に劣る上、価格がさほど変わらないため好まれない。
撥
撥は先端が鼈甲製の小ぶりのものを使用する。昨今の鼈甲不足のため、代替品も出回っているが音質に劣るとしてあまり好まれない。柄の部分はプラスチック、象牙、水牛の角など様々な材質が用いられる。
糸
糸は太い順から一の糸、二の糸、三の糸と呼ぶ。本来絹糸を用いるが、奏法上非常に切れやすいため、音色は劣るが、二の糸および三の糸にはナイロンまたはテトロンを用いる場合が多い。色は黄色で、これはかつて防虫効果のあるウコンを絹糸に染め込んだ名残、または音に艶を出すために卵黄を染め込んだ名残とされている。
調弦
津軽三味線の調弦は三種類ある。唄い手の声の高さに合わせて一の糸の調弦を変えるのが特徴である。
二上がり 一の糸を基準に、二の糸を5度上、三の糸を8度上に取り、相対音で「ド・ソ・ド」となる。津軽じょんから節および津軽よされ節等で使用される。
本調子 一の糸を基準に、二の糸を4度上、三の糸を8度上に取り、相対音で「ド・ファ・ド」となる。津軽小原節等で使用される。
三下り 一の糸を基準に、二の糸を4度上、三の糸を短7度上に取り、相対音で「ド・ファ・シ♭」となる。津軽三下がり等で使用される。
絶対音は尺八または篠笛を基準とする。東日本においては、主に尺八の長さを示す「尺」と「寸」が用いられることが多い。「2尺」がほぼ絶対音Cに該当し、以降半音上がるごとに1寸減じ、下がるごとに1寸増す。「1尺9寸」がC#、「2尺1寸」がBにほぼ該当する。
一方、西日本においては主に、長唄囃子などで使われる篠笛の音程を表す「本」が使われる。4本がほぼ絶対音Cに該当し、以降半音上がるごとに1本増し、下がるごとに1本減ずる。「5本」がC#、「3本」がBにほぼ該当する。