※この日記はクレトトケイの偏見で書かれております。その点を留意のうえ、ご覧ください。
パート①はこちら→オフ会って来ました!!2020!! パート①
パート⑭はこちら→オフ会って来ました!!2020!! パート⑭

 

ついに最終回です。やっとと言った方が良いのでしょうか。とにもかくにもマスキさんとのお話はこれで終わりになります。

それでも私はできるだけ、といっても自分の負担にならない程度にはこのような執筆活動を続けていこうと思っています。なので、良ければこれからも応援宜しくお願い致します。

 

ということで、またお会いしましょう。

 

横並びに座った私はマスキさんがこちらを向いてくれていても目を合わせることができなかった。というよりも顔を見ることもできなかった。ずっと時計を眺めていた。何を話していたかもあまり覚えてない。

 

ただ、あと3分。あと2分。とカウントをしていた。

 

それでも最後の会話が何だったのか覚えている。何故なら私は逃げたから。

『時間ですよ!!』と、立ち上がり、逃げるように距離をとった。獲物を逃したかのような黒髪の男の表情を私は知ってる。

 

昔、私に一番踏み入ってきた人間の表情にそっくりで、あの人だったらこの次には……と考えたしまった。再び囚われたいという気持ちが騒いだ。

 

でもこのマスキ&.という男は誠実だと思った。時折、彼が見せていた動作は女性を喜ばせるような匂いを感じさせたが最後までその動きをすることはなくて、むしろ、簡単に私に触れないようにずっと気を使っていた気がする。それは男同士や日常である範囲であってもだ。

 

もちろん私が妖怪で、ナメクジな異物であったから単純に気持ち悪くて接触を避けた可能性は大いにある。というか本人の口から語らせればそういうに違いないだろう。

が、きっとこの人は正しい関係でないかぎりはみだらに異性には触れない。そういう風に気を付けているのだと妖怪は感じた。なんてことを書くと少し営業妨害になるだろうか。

 

私としては実際にぱいおつがあるのかないのかを確かめさせるためなら、10秒くらいなら触らせても構わないと思っていたということは伏せておこう。私の見当違いで再び相まみえることがあり、山で60秒間揉みしだかれたらたまったものではない。

 

そんな余談は置いておいて、私が逃げ出した会話。

それは「くれちゃんの小説読ませてよ」だ。

 

たしかに私は沢山の小説を書いている。書き始めたのは15年ほど前になる。だから昔の作品など目が当てられず、第一、私がずっと小説を書き貯めていたサイトは閉鎖してしまったのだ。なので、ここだと教えられる場所がない。

 

見て欲しい気持ちと、見て欲しくない気持ちで揺れ動いていたから私は逃げつつも、答えを教えた。同時に理由も伝えた。

マスキ&.、28歳男性、主に雑談枠やってますの枠主の返事はこうだ。

 

「だったら、待つよ」

 

世界の色と夜の闇が混じり始めていた中、再び彼の瞳を中心に世界に色が戻っていくのを感じた。それは正しい色でも、美しい色でもなかったけれど、色が吹き抜けていく。

 

配信中にマスキさんはSUPER BEAVERのらしさを歌った。あのときもマスキさんは踊っていて、そして一度だけ歌詞を「クレトらしさってなんだ」と歌った。

瞬間的にはツッコミを入れたけれど、今でもあの声が、歌がその場にいるかのように聞こえてくる。

 

クレトらしさなんて簡単にはわからない。ひねくれてて、空気が読めなくて、恐がりで、でも変なところで度胸があって、素直じゃないのに馬鹿正直で半妖で……でも変えられない大切なものを私は取り返した。生活はどんどん変わっていく。それでも、クレトはクレトでしかないから私は自分の大切なものをまた見失わないようにしたい。

 

改札をくぐる前にマスキさんはさっと右手を出してきた。

 

一瞬ドキリとしてしまったのは、配信中に「手を出したときに、すぐに握手を返せる人間とそれがわからない人間がいる」という話題を話したせいと今まで一切、彼は私に触れないようにしていたからだ。

 

慌てて私は手を握り返す。男性の強い握力。この際、野球は関係ないだろう。

ちょっと意地になって強く握り返したことを実は後悔しているが、そのときのマスキさんはとても良い笑顔をしていたので間違いではなかったと信じたい。

 

改札をくぐりながらも私達は別れの言葉を交わす。そしてもう戻ることが出来ない、まるで国境を挟んだかのような場所で出会ったときのように敬礼をして、マスキという名の人間は去っていった。

 

再び、こんなことをいったら営業妨害になりそうだがマスキさんはこちらが望む形になってくれる。瞬時に読み取り、マスキというブランドを付けたまま周りが望む形を演じる。

だからこの敬礼という挨拶は私が彼に作り出させたものなのだと後々に理解した。

 

それでも、私達の姿の見える旅は敬礼に始まり、敬礼で終わったのだ――

 

高身長男子が消えて、私は少しの時間動けなかった。ただただ人が行きかう改札を見ていた。もう誰の目にも私は映っていないと感じ、妖怪が完全に妖怪に戻ったのだと悲しさのようなものがこみ上げる。胸は痛いが、涙は出ない。

 

急に寒くて仕方がなくなった。コートのボタンを閉める。

行きは2人、帰りは1人なんて言葉を長いエスカレーターに乗りながら反対側を眺めた。

 

何もない天井を見上げ最初にこぼれた言葉は『人間なんて嫌いだ』である。

 

だって、あんな人間と合わなければ、私の世界は痛いとつらいと苦しいで、あとは灰色の箱で過ごす日々だけだったのだから。もう二度とない輝いた時間が夢に出ることも、もしかしたらまたこんな幸運があるかもしれないと希望を持つこともただの妄想で終わるのだから。

 

私は人間が好き。人間が大好き。でも人間と一緒には生きられない。一緒に生きれないから、人間は嫌いで、恐い。楽しい人間であればあるほど、瞬きしている間にその人は消えてしまう。

 

オフ会が終わったすぐあとからマスキさんはツイッターで絡んでくれた。それでも私は一週間程度ここに書き連ねた、または書き切れなかった事情から挙動がおかしくなってしまった。

正直、今でもブログを更新するたびにビクついているのだが、マスキさんはリアルであったときの方が嘘だったかのように変わらずに接してくれている。

 

なのでもちろん仲良くなれたら嬉しいけれど、私は今まで通りの妖怪として応援させてもらおうと思っているわけで……名前、マスキ&.。年齢28歳、男性。主に雑談枠やってます。を推していきたい。

 

さて、実はこの帰り道に私は久方ぶりにマックを食べて帰ろうと思い事前に調べておいた24時間営業の店に立ち寄った。

するとその日に限ってメンテナンスで24時間営業ではなかったという悲劇に遭遇したのだ。

始まりもある意味でのメンテナンス休園で始まり、終わりもこれかとよくできた人生であると思ったクレトでした。

 

おしまい!!

 

 

【⑮回に渡る掲載にお付き合いくださった皆様、誠にありがとうございました。

今後も様々なことを文章にしていきたいと思っていますので、よければ応援宜しくお願い致します。 クレトトケイ】

 

余談