Fernandes、破産。 | Honolulu Music Society byなかじー

Honolulu Music Society byなかじー

出自は日本生まれの日本育ち。
米国籍を取得してハワイに在住する音楽家であり実業家。3児の父。

今までの日本人には発想出来なかった独自の視点と解釈を元に展開されるちょっとだけ凄いブログ。
更新不定期。

テーマ:

​Aloha!

フェルナンデス、破産。


なんですって。以前アップしたGibsonの記事で書いたように一般的には破産って言われる手続きって2つあります。『Gibsonって潰れたでしょ?大した事ないよねって言う皆さん。』Aloha!コレ、実は前回もそうだったんですが、『Gibsonのレギュラーラインなんて糞だよと言う誰かさん。』Aloha!ハイクの前のカロリー補給はマラサダ…リンクameblo.jp

会社更生法に基づき企業側が主導で経営再建をしていくやり方と、

企業側が一切の権利を放棄して資産に相当する全てを売却、精算する事で借金から逃れるやり方。


Gibsonは前者でありフェルナンデスは後者です、皆さん。


『だからどうだ』ってことではないですがそもそもフェルナンデスさんは自社工場を持たずに製造は基本的に外部に委託する『ブランド』としての運営だったわけですからヒット商品とそのパテントを売ってお仕舞いという事になろうかと僕は思っています。


フェルナンデスというブランドネームが消失する事を嘆き悲しむ人達も居られるかもしれませんし、ソレを汲んでどこかの企業さんがソレを引き継ぐっていう絵図も無いわけではないでしょう。


ただ、


フェルナンデスさんが『売れた』のは遠い昔。

ヴィジュアル系と言われるジャンルの隆盛に併せて、エンドース契約されたアーティストのモデルを販売して『流行の波』に乗ってきたからなんですよね。



誤解を恐れず言えば、


流行の成り切りグッズ、

憧れのミュージシャンのコスプレアイテムのようなニーズに全振りしていたビジネスを何十年もやって来た会社なわけです。


企業としての資産として目されるのはおそらくサスティナーとZO-3だけで、その他ってほとんどお金の匂いがしません。


前述の通りフェルナンデスは自社生産拠点の無い企業ゆえ、これまで同社が製造を委託していたギター製作メーカーは『得意先』を失って相応の打撃を受けることでしょう。


現在、その大半とは海外(アジア)のメーカーなのでしょうが、日本のメーカーもそれなりにはあるはず。


だからね、コピー商品、模造品、たとえオリジナルの製品とは言っても、結局のところ楽器メーカーとしてのビジネスではなくてコスプレグッズのようなオタ活、推し活ビジネスに準ずる商売をやってりゃいずれはそうなる運命だったと言えるわけです。




だってどれだけ流行ったヴィジュアル系もシーンを牽引するアーティストだって人間です。流行りも有れば当然廃れだってある。


だいたいヴィジュアル系アーティストだって歳はとるし、楽曲がヒットしなけりゃ貧乏にもなるし、見た目だって間違いなくジジイにもなるわけで、その容色の衰えを補う豊かな音楽性が世間に評価されていれば話はまた別ですが、ただ単に金も無いのにカッコつけてばかりのめんどくさいだけのジジイがステージに立って化粧したって寒いだけじゃないですか(笑)



そんなものが流行り続けるわけがない。そういう『波』にはいつまでも乗り続けることは出来ないんですよ。



フェルナンデスさんが契約していたアーティストで10年先まで一線で活躍しているだろうなっていう人居ますか?ちょっと僕にはイメージ出来ないです。


せいぜいあるのは若気の至りで解散したり活動休止した人達がジジイになって金も無くなり再結成とかする程度のハナシが関の山。


その頃にはかつての熱烈なファンだってもはや中高年なのです。世間からはお爺ちゃんおばあちゃんと呼ばれる存在になり、朝に晩にと血圧の薬を飲んで胃薬を飲んであちこちに湿布を貼ってライブに参戦。有り金巻き上げられて終了、なのです。


フェルナンデスのギターを使ったアーティストとそのファンは多かれ少なかれその道を辿るんですよ。



結局のところ、楽器としての機能に資さない『見た目が突飛であるだけ』の『アーティストモデル』なんて、せいぜい使われてもコピーバンドくらいなもので、ソレにすら使われずに、弾いてすら貰えず、インテリアを飾るオブジェで終わるエレキギターのなんと多いことよ。


ちゃんと音楽に資する、音楽の発展と隆盛に資するホンモノの楽器を造らないと『楽器メーカー』というのはもうすぐ終わります。


一説によれば今回の破産の遠接的な原因だとされるのが、中古エレキギターマーケットの活況と躍進によって新品のエレキギターが売れなくなったというもの。


ところでフェルナンデスのギターが好きだ、って言ってるアナタ。

フェルナンデスのギターを新品で買ったのっていつですか?


中古品なんていくら買っても『メーカー』は儲からないのです。

世の中に中古エレキギターを流通させる会社は山ほどあります。


しかしながら、そうした業者が仮に全て潰れたって音楽の世界には損失は何ひとつ無い。

しかし中古品しか流通しないなら『メーカー』の経営は悪化する。


TOKAIだってフジゲンだって他人ごとでは無いのです。



フェルナンデスの破産を他山の石として『真っ当な』楽器メーカーがきちんとした楽器の開発、販売をしてくださるといいなと思いますね。



他人ごとみたいな言い方するなって?


そりゃそうですよ、だって僕アメリカ人ですよ?


僕らにはGibsonだってFenderだってP.R.SだってGretschだって、RickenbackerだってKIESELだって、Music ManだってJacksonだってあるんだもん。


どれも音楽史上に名を残す名曲や名演に使われた『楽器』のメーカーが各社それぞれにオリジナリティを携えてキチンといい楽器を作ってるもん。


エレキギターの本場はアメリカなのです、皆さん。


でも日本のエレキギターの方が素晴らしいと思うならば、皆さん。


せめて新品を買ってあげてください。

クルマでもなんでもそうでしょ。

新品が売れて初めて儲かるのがメーカーです。

中古が売れて儲かるのは中古屋だけなのですよ。


中古屋なんて世の中から無くなったって実は誰も困らない。


だって今は個人間で楽器の売買は出来るんですから。


だけどメーカーが無くなったらもう新品は買えないんですよ?


今回のフェルナンデス破産劇とはソレが突きつけられた出来事だったかと思います。


Mahalo!