
日本キリスト教団出版局の「新約聖書解釈の手引き」です。
この本は、新約聖書の各書の各章、各節はこういう意味ですよという注解本(解説書)ではなく、いわゆる新約聖書緒論になります。
翻訳されている聖書をそのまま鵜呑みにするのではなく、原典・本来の意味をどのように見比べて精査して原典の意味を追い求めるのか。
その方法が書かれています。
代表的なものとして 本文批評 というものがあります。
これは神学を学ばれた師方はご承知の緒論の1内容かと思います。
どの写本からきているのか、他の写本はないのか、AとBの写本ならばどちらが古いのか、どちらがより原点に近いのか。
4福音書ではどれが最も古いのか、誰が何を参考資料にしたのか、Q文書など。
これは聖書考古学と連動されていきますね。
または社会史的にはどうなのか、民族的にはどうなのか。
そしてそもそも正典とはなんなのか。
このように、今ある聖書の聖句の意味はなんだろう?とデボーション的に考えるのではなく、原典の部分を探り正確なものを知ろうというのがこの批評学になります。
時々見かけますが、クリスチャンとして今自分が手にしている聖書に書いてあることばが絶対であって何一つ間違っていないという確信があるがゆえに、写本では真逆の意味で書かれていることを現在ある文章に適応しようと必死になってしまう現象。
矛盾が生じるのでどう解釈したらいいのか悩む。
または、自分に都合のよい解釈を自分で採用する、などもあります。
答えありきの出来レースな解釈にならないように、一歩下がって冷静な目で、都合のよいフィルター越しではない状態で聖書を見る。
そのために、この本はとても有益です。
これを読んでも説教にはたぶん活かせませんが、自分の考え方を中庸にシフトできるので説教を作ったり聖書解説をするのにはとても役立つ大前提の知識になると思います。
ですから、牧師先生や教会教師、日曜学校の先生など、誰かに聖書がなんたるかを伝える立場にある人は一読されることをお勧めします。
内容的には、めっちゃムズです。
神学部出の先生方ならご理解いただけると思いますが、ものすごく講義です。
所々、ギリシャ語単語出てきます。
私の個人的感想は、本文批評は苦ではなかったのですが、修辞学批評はなかなか読み進められず時間がかかりました。
最近読み始めている本はこちら。

ネストレ・アーラント(28版)です。
新約聖書はこのネストレ・アーラントを原本にして日本語訳されています。
つまり、日本語新約聖書の底本がこの本です。
当然、ギリシャ語です。

メンタルケア心理士®チャプレン…のmy Pick