やって良いことと良くないことの判断基準は、当事者からすると切実な問題でしょう。
「ヘルニアだから走るのは良くない」
「骨の隙間が狭いから無理は禁物」
などという(根拠のない)情報を耳にして、生活に恐怖を感じている方は少なくありません。
しかし、そのような“見かけ上の特徴”を判断尺度にするのでなく、からだの実際の声に耳を傾けてみることの方が大切です。生活場面の中での痛みの反応で良し悪しを判断するのです。
何かをしている最中に、痛みの場所がより足の方へ拡がっていく場合や、痛みがどんどん強くなっていく場合は、その行為は積極的に行うことを控えなくてはいけません。
しかし単発で出る痛みや、繰り返しているうち減って無くなっていくような痛みなら、そこまで心配する必要はないのです。むしろむやみに活動を控えることの方が腰にとっては良くないのです。
画像所見と痛みの程度との相関性は認められないことは多くの論文によって示されており、加えて「このままじゃ将来歩けなくなるよ」などと画像所見によって将来の予後予測をすることは実際には難しいという報告もあります。(Tonosu J, et al. 2017)
もし仮に、あなたが動くことに関するネガティヴな情報を与えられたとしても、それが癌や感染症、脊椎骨折など“レッドフラッグ”と呼ばれる少数で特異的な腰痛でなければ、動くことに対して過剰な恐怖感を持つ必要はありません!
医療従事者としても必要のない活動制限を植えつけてしまうのでなく、良くなる期待を持てるような有益な情報を与えていける存在でありたいものです。
国際マッケンジー協会認定セラピスト
神崎 勝和