「トーマの心臓」森博嗣(原作 萩尾望都) | ※この現実はフィクションです。

※この現実はフィクションです。

                                                    物語の核心に触れる記述を含むことがありますので、閲覧は自己責任でお願いします。

トーマの心臓 Lost heart for Thoma (ダヴィンチブックス)/森 博嗣
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 著者の作品は、詩的で美しい言い回しの文章が高い評価を得ている。だが、正直なところ、私は著者の作品が苦手だ。詩的で目が覚めるような文章、というのは理解できる。だが少なくとも今作は、文章のために書かれた小説、という印象が強い。文章云々よりも、私は、ストーリーに中身がないことが苦痛なのだ。
 要領を得ない文章で、ふらふらとどこに向かっているのか分からない。話もほとんど展開しない。根強いファンのいる著者であるから、そこに向けて作品を書く、というのも普通は許されるかもしれない。だが今作は原作つきである。原作のファンを巻き込むのはやめて欲しい。
 また、装飾された文章に関しても、この作品は限度を越している。過剰な比喩や言い回しは、情報を伝えるツールとしての文章、その意義を破壊する。情報を読みとるのに多くの労力を必要とし、ストレスを感じる。 この本を読み、ひとつの極論を見せられた気分になった。何事も、やりすぎはよくない。そういう意味では、読んで良かった。やはり、文章は、基本的には、情報を伝えるためのツールである。ただし、要所要所で効果的な言い回しを行うことで、より効果的に、読者に感情を伝えられる。それを再確認した。