- パスワードは、ひ・み・つ―パソコン通信探偵団事件ノート〈1〉 (講談社 青い鳥文庫)/松原 秀行
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「パスワード探偵団シリーズ」などとも呼ばれている。児童向けのミステリ作品。
児童向け作品は、何より倫理や常識に気を払わなければならない。作中で倫理に反した行為があっても、それをいけないと頑として主人公たちに否定させることで、子どもたちに教訓を伝えることができる。だがこの作品は、それらが一切無視されている。
一例として、女性のマラソン選手が怪我をしてしまい、精神的に挫折しかけているところに、選手の彼氏が「RUN」というプラカードをもって大会に乱入し、カメラ越しの彼女を勇気づける、という事件がある。
作中では、画面の中の男性の意図を巡って推理がなされる。やがて解答に行きつき、美談としてまとめられるが、常識で考えれば、男性の行為は他の参加者には迷惑極まりない。女性がまともな選手ならば、男性を許すことはできないだろう。この傾向が随所に見られる。
この作品は、ミステリとしての一面に気をとられ、最も大事な部分が蔑ろにされているのではないか。巻数は多いが、それ故に機械的になり、雑になっている。児童に見せられない児童文学に、何の価値があろう。