「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」を見て(下) | 松原湖高原☆風だより

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松原湖高原(八ヶ岳・東麓)からお送りする
四季折々の朝風


(同名の前稿のつづき)


 会場に入った。



★ チャプター(章)Ⅰについて。

「イタリア・ルネサンス絵画の収集」だ。

最初の作品が、パオロ・ウッチェロの

「聖ゲオルギウスと竜」、

次が、カルロ・クリヴェッリの

「聖エミディウスを伴う受胎告知」

と続く。

どちらも15世紀後半の作品。

筆者は、その保存状態の良さに

感心した。

とても、500年以上も前の作品とは

思えない鮮やかな色(赤、橙など)。

しかも、ひび割れなどもなさそう。

ちなみに、16世紀初頭に描かれた(らしい)

モナリザの顔の表面には、ご案内のとおり、

多数のひび割れが認められる。


★ チャプターⅡについて。

「オランダ絵画」を扱っている。

目玉は、やはりフェルメールの

「ヴァージナルの前に座る若い女性」。

このほか、レンブラントの「自画像」など。


★ チャプターⅢ

トマス・ローレンスの「シャーロット王妃」の

絹(?)の衣装の光沢がすこぶる

見事だった。


★ チャプターⅣ

カナレットの「ヴェネツィア:大運河のレガッタ」

に惹かれた。

素敵な遠近法。


★ チャプターⅤ&Ⅵ

ターナーの「ポリュフェモスを嘲る

オデュッセウス」は、目を凝らすも、

オデュッセウスがどれか

識別できなかった。


★ チャプターⅦ

筆者が最も好む印象派や

後期印象派。


モネ「睡蓮の池」、

ルノワール「劇場にて(初めてのお出かけ)」、

フィンセント・ファン・ゴッホ「ひまわり」、

セザンヌ「プロバンスの丘」、

など。


ルノワールの「お出かけ」は、ひとめで

ルノワールと分かる。

ドガももちろん。

セザンヌも印象派から離れたことが明瞭。


ゴッホの「ひまわり」の連作は、

世界に7点存在するとのこと。

会場には、7点(写真)を見比べられるように

並べたコーナーがあった。

南仏アルルにて、1888年から89年にかけて、

3回に分けて描かれたらしい。

花の形が微妙に異なっていたり、

背景の色は花に近い薄い黄色であったり、

黄の補色の青系統の色であったり。

違いが判ってよかった。

中では、先年に見たことのある

損保美術館のひまわりが

一番気に入った。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


最後に、余談。

「国立西洋美術館の2019年

収蔵作品について」というパンフが

出口付近に置いてあった。

それによれば、

今回の「ナショナル・ギャラリー展」閉会後、

西洋美術館は、

約1年半の臨時休館に入るのだそうだ。

理由は、二つ。

一つは、企画展示館上部の防水工事。

前回の工事から22年が経過、

耐用年数が経過したため、とのこと。

もう一つは、ル・コルビジェ設計ということで、

世界文化遺産に登録されたが、その際、

当初に比べ、文化的価値が減殺されている

との決議があったそうな。

実は、1999年に、炎暑対策と都の緑化計画に伴って、

前庭に植栽を配置したことがその理由だそうだ。

そこで、今回の工事により開館当初の姿に

近くなるとのこと。




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



<参考>

美術展の概要(再掲)


★ 会期 10月18日(日)まで。

★ 展示の構成は次のとおり。

 全7章、61作品。

 すべて、初来日とのこと。
 

 Ⅰ イタリア・ルネサンス絵画の収集

    ナショナルギャラリーの中核をなす
    16世紀のフィレンツェ、ローマ、
    ヴェネツィア絵画や15世紀以前の
    絵画など。8作品。

 Ⅱ オランダ絵画の黄金時代

    レンブラント、ハルス、フェルメールなど、
    17世紀のオランダ絵画の重要作品。
    8作品。

 Ⅲ ヴァン・ダイクとイギリス肖像画

    レノルズ、ゲインズバラなど18世紀
    の画家の肖像画。
    ヴァン・ダイクを如何に継承/アウフ
    ヘーベンしたか。8作品。

 Ⅳグランド・ツアー

    イギリス上流階級の子弟がイタリアにて
    収集したカナレットらが描いた都市景観図。
    8作品。

 Ⅴスペイン絵画の発見

    スペイン絵画を国外での評価に先鞭を
    付けたのが英国。
    ムリーリョ、ベラスケス、スルバランなど。
    8作品。

 Ⅵ 風景画とピクチャレスク

    18世紀後半のイギリスでは、
    ピクチャレスクな(絵のような)美を尊ぶ
    価値観の流行。風景画がもてはやされた。
    コンスタブル、ターナーなど。9作品。

 Ⅶ イギリスにおけるフランス近代美術受容

    イギリスにおける印象派、ポスト印象派の
    受容は20世紀になってから。
    アングル、コロー、ピサロ、ルノワール、
    ドガ、モネ、ゴッホ、ゴーガン、セザンヌ。
    12作品。



            (以上、展示作品リストより。)





(リーフレット・表)

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展2020.10.06①


(同・裏)

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展2020.10.06②


(展示作品リスト)

ロンドン・ナショナル・ギャラリー展2020.10.06③






                      <以上>




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唐突に交換スマホが半初期化振り回されてひと日が過ぎぬ

                   詠み人:樺風




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