(つづき)
Pさんから「マサコさん、話を聞いてほしい」と「LINE」がきたのはちょうど一週間前。
電話をすると…。
Pさんはスマホを新しくするために販売店へ行ったそうです。
前回の契約が2年縛りだったので、数か月前からその日を待ちわび、ようやく2年が経って「やっと新しくできる!」とワクワクしていたのだとか。
ところが契約後、保険加入を勧められ、「入ります」と答えたら…。
お店のおじさんがPさんに断りもなく、新品のスマホを勝手に触って手続きを始めてしまったそうです。
目の前で、ピカピカのスマホにおじさんの指紋がベタベタとついていくのを見て、Pさんはショックを受けました。
「解約したい」と申し出たものの叶わなかった、でも「絶対にこのスマホは使いたくない。そんなもの要らない!」と泣いているのです。
最初のうちは「そういうのが気になるんだ」と思って聞いていたのですが、あまりのこだわりの強さに、途中から「ん? なんか変だな?」って。
すると、純白のウエディングドレスがぱっと浮かびました。
ああ、これ過去世の影響なんだわ。
リーディングします。
西洋の中世の時代です。
当時は女性が外で仕事をすることはほとんどなく、大人になったらお嫁に行くのが一般的でした。
良家の子女に生まれたPさんも、子供のころから「素敵なウェディングドレスを着てお嫁に行く」、その日を心待ちにしていました。「ドレスはこんなのがいいかな、あんなのがいいかな」と夢をふくらませながら。
年頃になって縁談が決まり、洋服屋さんがドレスを仕立てて持ってきました。
本当ならPさんが最初に袖を通すはずなのに…
洋服屋さんは同伴してきたスタッフに控室でそのドレスを着せたのです。
そして、その姿をPさんに見せながら、「どうでしょう? 着るとこういう感じになりますが、宝石の光具合や、スカートのふくらみ具合など、いかがですか?」と。
Pさんはショックを受けます。
「私の結婚式のドレスなのに、なんであの人が先に着てるの? もうそんなのいらない!」と泣き崩れてしまったのです。
私:今回のスマホの件で、このときの感情が蘇ったんだと思います。似たような状況ですよね?
さて、通常ならここから「書き換えのストーリー」を見るだけの話。
……なのですが、これはちょっと難しいなと。
「書き換え」というのは、結局「感情」を書き換えているのです。
そのためには本人の琴線に触れるようなストーリーでなければなりません。
「感情」が動かなければ意味がないのです。
ところが今回の場合、潜在意識からいくつかの「書き換えのストーリー」が降ってはくるものの…
・洋服屋さんがスタッフを控室に連れて行こうとしたとき、母親が気づいて「ちょっと待って」と止める。
・洋服屋さんが何度も詫び、徹夜で同じドレスをもう一枚仕立て直す。
・最初からスタッフ用にそっくりのドレスを用意していて、そちらを着せて見せる、等々。
どれもPさんにとって都合のいい「書き換え」にはなるでしょう。
けれども、「ドレスには誰も袖を通さなかった」という形になっても、現実のスマホにおいては、それが新品に戻るわけではありません。
そう思うと、これらの書き換えではPさんの感情はきっと動かないだろうな、と。
う~ん、どうしたらいいんだろう…?
(つづく)