さて、「過去世で経験した感情」が今世で影響する場合の話ですが…。
私たちが現実でショックを受けたり、感情が高ぶったり、パニック状態になったとき、その原因は必ずしも「現実の出来事」だけではなく、過去世での感情があぶり出されている場合があります。
例えば、以前こんなケースがありました。
ある生徒さんが小学生の息子さんを連れて実家に帰ったときのこと。
何かの場面で子供を叱ったら……。
それを見ていたお母様が翌日、発狂しそうになって精神科を受診されたというのです。
その話を聞いたとき、きっと「過去世」が原因だと思いました。
リーディングをしてみると…。
かなり古い西洋の家が出てきました。
当時も今と同じように母と娘でした。
5~6歳の娘は母親にかまってほしくてまとわりつきます。しかし母親は家事に追われ、「そこで一人で遊んでいて!」と常にきりきりしていました。
ある日、母親が石窯でパンを焼いていると…
娘がそばへ来て「お腹が痛い」と訴えます。
手が離せなかった母親は「そこで横になっていなさい」と言い、そのまま家事を続けます。
30分ぐらいして、ふと娘の様子をみると、すでに虫の息で、そのまま亡くなってしまうのです。
母親は発狂しそうになります。
おそらく、今生で娘と孫のやり取りを見ていたとき、このときの感情記憶がスイッチとなって蘇り、お母様はパニックに陥ったのだと思います。
また別の例もあります。
ある生徒Cさんのお父様が突発性難聴になったとき、高齢なので生徒さんが病院に付き添っていました。
Cさんの心配が尋常でなく、一週間経ってもパニック状態が続いたため、さすがにおかしいと思ってリーディングすると、そのお父様と夫婦だった過去世が出てきました。
そのとき、突然夫を亡くし、悲しみのあまり発狂しそうになっていました。
今回、お父様が突然病気になったことが、当時の感情をよみがえらせたのかもしれません。
この過去世を書き換えて「解放」したところ、翌日、Cさんから「うそのように父のことが気にならなくなった」とメールがきました。
また、生徒Sさんのケースでは…。
中学生の息子さんとご主人が二人で映画を観に行こうとしたとき、Sさんは「私も連れて行って!」と玄関に飛び出し、まるで半狂乱のようになってしまったそうです。自分でも異常だっと。
リーディングしてみると、出てきたのは原始時代でした。
まだ人間の数は少なく、あちこちに小さな集落を作って暮らしている時代です。やがて、大陸から(当時は陸続きでした)マンモスがたくさんやってきて、生存競争が始まります。人々は襲われ、集落の人数はひとり、またひとりと減っていきます。
とうとう、Sさんとご主人、息子さんの三人だけになってしまいます。
洞窟に隠れ、マンモスに見つからないように、近くの木の実を採って食べたりしながらなんとか命を繋いでいます。
そのうち近くの食べ物は尽き、少し遠くまで取りに行かざるを得なくなりました。そうなるとマンモスに見つかる危険も増します。
ある日、いつものようにご主人と息子さんが食べ物を探しに出かけようとすると…。
「もし二人が帰ってこなかったら、自分はひとりぼっちになってしまう」という強い不安に襲われたSさんは、「私も連れて行って!」と懇願します。
しかし、「大丈夫、ちゃんと帰ってくるから。おまえは危ないからここで待っていて」と、ふたりは出かけてしまいます。
その日……。
夜になってもふたりは帰ってきませんでした。
不安なまま一夜を過ごしたSさん。朝になっても、お昼になってもふたりが帰ってくる気配はありません。
ああ、自分は一人ぼっちになってしまったんだ。もうどこにも「人」は居ないんだ……
そう思った瞬間、孤独と恐怖に、気が狂いそうになります。
たまらずに、両手で頭を抱え、「わああ~!!」 と叫びながら洞窟から飛び出したSさんは、たちまちマンモスに襲われてしまいます。
私の話を聞きながら号泣するSさん。
このように、現実で起きた何気ない出来事が引き金となって、過去の大きな感情記憶があぶり出され、それが原因でパニックや強い感情が現れるケースは少なくありません。
つい先日も、生徒Pさんに同じようなことが起きたのです。
(つづく)