(つづき)
ナミさんには、いったんパペットを腕から外して、もう一度はめ直しもらい、今度は「(亡くなった)おばあちゃん」の役をやってもらうことにします。
私:(おばあちゃんに話しかける)家族のためにしっかり家計を握って、一生懸命やっていたつもりかもしれないけど、それが結果的に息子さんを追い詰め、喧嘩を引き起こし、お嫁さん、つまりナミさんのお母さんまでもがそのとばっちりを受けた。
私:孫のナミさんは、大人になった今なお、その記憶に苦しんでいる。おばあちゃん、それを見てどう思いますか?
おばあちゃん:私が悪かったのかもしれないけど、私なりに一生懸命だったし、それにあななたちは家族がいるだけ、いいじゃない。
私は親から離れて育てられたから、親と一緒に暮らせる孫たちがちょっと羨ましかった。
私:そうだったんですね。
実の親と一緒に暮らせず、寂しい思いをしたかもしれないけど、
その後、息子さんご夫婦と一緒に暮らし、家族として過ごせたのは、とても素敵な現実ですよね?
おばあちゃん:確かにそう言われると、そうかもしれない。そんなふうに考えたことはなかった。
私:けれど、だからといって、子ども時代に感じた「親と離れて暮らした寂しさ」が消えるわけではない。
それはそれとして持ち越されるもの。
おばあちゃん、今、その気持ちを解放しちゃいましょう!
私:「親に育てられなくて寂しかった」という気持ちを、池の隅にひっそりと落ちて漂う一枚の葉っぱにたとえるとしたら、それをどんな光景に変えたらいいかなぁ?
今、パペットが見てくれますよ。
パペット:空は快晴。白い雲がぽっかり浮かび、風が吹いてきて、その雲がすーっと流れていくと、遠くの山々がくっきりと姿を現して。
それが幸せ!みたいな。
私:素敵!
葉っぱは、水の中に落ちた自分にしか意識を向けてなかったけど、その水面には、今ナミさんが描いてくれたような山や、きれいな雲、広がる空が、鏡のように映り込んでいて。
まるで自分がその大きな景色の一部になったような、そんな感覚。
雄大ですね。
どうですか?
おばあちゃん:水の中にもきれいな景色はあったんだと思った。
私:(拍手)じゃあ、こちらに書き換えましょうね。
さて、ここから大事なことが…
私:あなたが家族のために一生懸命尽やってきたからこそ、こうして今、お孫さんが立派に成長し、あなたを助けてくれているんですよ。
本当によく頑張りましたね、そしてありがとう。
安心して光の世界に帰ってくださいね。
ナミさんから何か言ってあげたいことがある?
ナミ:おばあちゃん、ありがとう。
おばあちゃんが泣きながら光に帰っていくのが見えました。
私:(パペットに)おばあちゃんは救われたかな?
パペット:うん、喜んで上に昇っていくのが見えたよ。
私:ナミさんの心は楽になった?
ナミ:はい。
このように、自身の「感情」を解放する際に、その感情の発生に関わった人たちも同時に解放することができます。
たとえば厳しい親に育てられたことによる抑圧を解放する場合は、なぜ親がそれほど厳しかったのかと、その背景を紐解いてみると、もしかしたらその親自身も、さらにその親──つまり祖父母から厳しく育てられていたのかもしれません。
そして、その祖父母もまた……と。
こうして感情や信念は世代を超えて引き継がれていくことがあります。
親子何世代にもわたるインナーチャイルドを一度に癒すこともできるのです。
そのときに、忘れてはならない大切なこと。
それは、「おばあちゃんがそうだったから、こんな家庭になってしまった」といったように、誰かを“悪者”にして終わらせないこと。
おばあちゃんにはおばあちゃんの想いがあったわけですから、そこを尊重し、認め、ねぎらってあげること。
たとえその人が、今この世にいなかったとしても、人はみな、自分の存在を認めてほしいし、愛されたいのではないでしょうか。
それにしても、ナミさんのこの力は凄すぎる!
パペットをはめると、まるで霊能者のようです。
このあと、リコさんの悩みも紐解いてしまうのです!
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