(つづき)
パペットをはめたナミさんの快進撃が始まります。
ご自分の気になることだけでなく、リコさんやちーさんの家族の悩みも、スラスラと紐解いていくのです。
まずは、ご本人から。
ナミ:私、自分の意見を求められない限りは、絶対に自分の意見を言わないんです。
たとえばAさんとBさんが言い合ってたとして、仮に「Aさんの言い分の方が正しいんじゃない?」と思っても、それを言わない。
後で責められるのが嫌だから。
ナミ:母と祖母に確執があって、子供のころ、とても嫌な思いをしたので。(保身のために)黙っているのが美徳になった。
私:何か責められたりしたの?
ナミ:はい。お母さんに、「おばあちゃん、何してたの?」と聞かれたことがあって、正直に答えたら、後でおばあちゃんから「ナミちゃんがチクった」みたいに言われて。
「ナミちゃんはすぐにお母さんの味方をする」って。
ナミ:私は喧嘩の仲裁のつもりで言ったのに、チクったことになってしまって、それが心のしこりになった。
子供時代の出来事も、過去世と同じように書き換えることができます。
正確には、「出来事」に伴って生じた「感情の書き換え」ですが。
今世の子ども時代のことですから、まだ記憶に残っている場合もあります。
それでも、たとえ架空のストーリーであっても、「よかった!」と思える内容を聞くと、感情が動き、解放が起こるのです。
私:そのときの出来事自体を「A」とするなら、それを「B」に変えればいいんです。
潜在意識に、「どんなストーリーに書き換えたらよいか」をたずねてみてください。
ナミ:はい…。おばあちゃんと会話してます。おばあちゃんが、「ああ、そうだった、そうだった」って笑って、「だからこうなったんだよね」って。「ナミちゃん、思い出してくれてありがとう」みたいに言われた。
私:今のストーリー、自分的にはどうですか?
ナミ:おばあちゃんが忘れていたことを私が伝えられてよかったと思った。
ナミさんのパペットに「今、どんな気持ち?」と尋ねると、
パペット:スッキリした。
書き換えは、実はとてもシンプルな原理です。
「A」だけのままだと、そのとき感じた「嫌だな」という感情が、心に残り続けます。
けれども、「こうだったらよかったのになぁ」と新たなイメージを思い描くと。
その瞬間、新しい感情「B」が生まれ、「A」の感情が自然と上書きされるのです。
私:そもそも感情が発生した時点で、「気にする人」と「気にしない人」がいて、
気にしない人っていうのは、そこに「感情」をポンと置いていく。
私:唐草模様の風呂敷に包んで背負って行くという表現もできます。
私:何度も風呂敷を開いて、過去の感情を反芻したり、他人に言うことで増強したりする。そうやっていつまでも持ち続けるんです。
私:不要な感情はその辺のゴミ箱にポイッと捨てちゃえばいいんですよね。
さて、子供時代からの心のしこりを取ったあとは、いよいよインナーチャイルドの癒しです。
インナーチャイルドは、私たちの心の中にいる「小さな子ども」を指します。
それは子どものころの体験や感情、たとえば、トラウマや傷ついた経験、愛情や承認の欠如、抑圧された感情──
こうしたさまざまな要因が組み合わさることで、生まれます。
そしてそれは、大人になってからの行動や感じ方に、大きな影響を与えていくのです。
子どものころに受けた傷や体験は、自分に対する否定的な感情を生み、自己肯定感を低くしてしまうこともあります。
だからこそ、インナーチャイルドを癒し、自分自身を愛せるようになると、人生は劇的に変化します。
インナーチャイルドを癒していくために、まずは子ども時代の家族関係についてお聞きします。
私:ナミさん、子供時代のあなたから見たお父さんは、どんなお父さんでしたか?
ナミ:怖かったし、理不尽なことで時々怒ったり…。
ああ、そうそう、思い出しました。お父さんとおばあちゃんが喧嘩して、その怒りをおばあちゃんが今度はお母さんにぶつけていたんです。
その様子を見ているのが、とても嫌だった。
ここから予想もしなかった展開が始まるのです。
(つづく)
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