(つづき)
2024年11月6日放送、NHK『最後の講義』~生物学者 福岡伸一
テーマは「生命とは何か」でした。
ブログに書く前にちょっと調べてみたら…
福岡伸一教授は、子供の頃から虫が大好きで、昆虫学者を目指し 分子生物学の研究者になったそうです。
90年代始めに「GP2」という新しい遺伝子を発見します。
この遺伝子の役割を解き明かすために、「GP2」を取り除いたマウスを作り出し 昼夜観察を続けたそうです。
通常、「機械」であれば部品を一つ取り除くと機械は壊れてしまいます。
ところが、「GP2」を取り除いたマウスには何も異常が起きなかったそうです。
マウスの寿命は2年くらいなので、2年間観察してみましたが、それでも異常は見つからず、血液採取をしてさまざまな検査をしても、すべて正常値だったそうです。
なぜだろう?
壁にぶつかったときにふと思い出したのが、アメリカの科学者ルドルフ・シェーンハイマーの論文の一説。
「生命は機械ではない 生命は流れだ」
ここからはテレビで観た話をざっくりと。
シェーンハイマーは、人間はなぜ毎日食べる続けるのか?と考え、口から入った食べ物が、身体の中でどうなるのか実験をしてみたそうです。
「人間と食べ物」を「車とガソリン」に例えるなら、ガソリンは
車を動かすための燃料(=エネルギー)
ガソリンを消耗したら、また給油する。
そうやって常に車を動かすために燃料を補充し続ける必要がある。
「人間と食べ物」の関係も同じようなもの。
食べ物は、人間が生き続けるためのエネルギー。
食べ物は体内で燃やされ、熱エネルギー(=動物の体温)になる。
全部燃やされ消費されると、新しいエネルギー源(=食べ物)が必要。
だから常に食べ物を摂取する必要がある。
そして、その燃えカスを老廃物として排泄する。
私は、食べ物の栄養素だけが身体に吸収され、不要な食べ物のカスは排出するのだと思い込んでいました。
今調べてみたら、便の約80%は水分、残り20%は、「食べ物のかす」「腸内細菌」「はがれた腸粘膜など」がおおよそ3分の1ずつなのだそうです。
シェーンハイマーをそれを確かめるために、食べ物を原子単位で着色し、マウスの体内でどこへ行くのかを測定してみました。
すると食べた物の50%以上はエネルギーとして燃やされることなく、身体の中に「細胞」として取り込まれることを発見したのです。
マウスの尻尾の先から頭の中、体のいろいろなところに溶け込んで マウスの一部に成り代わっていたそうです。
つまり、車にガソリンを給油すると、そのガソリンが燃やされるだけでなく、タイヤやハンドルの一部にもなっていることを意味します。
しかし、食べ物の50%以上を新たな「細胞」として取り入れているのに、体重が増えないのはなぜか?
それは、身体の細胞が「新たな食べ物の細胞」と入れ替わっているからなのだそう。
「爪とか髪の毛とか皮膚が交換されているのは実感できると思いますが、実は体のあらゆる部分は全く例外なく入れ替わっているんです」
「骨とか歯みたいにカチッとして見えるところでも中身は入れ替わっています」
「脳細胞なんかでも中身は入れ替わっているんです。生命は絶えず作り変えられ、交換されている」
「ですから、ウンチの主成分というのは食べかすが出ているんではないんです。自分自身の細胞がどんどん捨てられているのがウンチの実態で、食べ物から新しい細胞が作られています」
「1年前の自分と今日の自分は(分子的には)ほぼ別人になっている。物質レベルではほとんどが入れ替わっているといっても過言ではないぐらい替わっている」
「自分の体は個体だと思っているが 長い時間軸で見ていると流体なんです。絶え間なく流れている」
ひとことで言うなら、動物は食べ物を食べることで自分自身の体を入れ替え、作り替えている、ということです。
ここから「動的平衡」の話になります。
「シェーンハイマーのコンセプトを日本語では『動的平衡』っていうふうに読んだらいいんじゃないか。
動的とは常に動いているということ。
平衡とはバランスという意味で。
生命は絶え間ない流れの中でいつも合成と分解が何とかバランスをとっているっていうのが我々の体の一番大切な特性」
「常に動的平衡が成り立っているからこそ、私たちの体の中の何かがなくても他のものがピンチヒッターになっている。
仮に「GP2」がなくてもないなりに 何かそれを補うような仕組みで新しいバランスを作り直している」
ということでした。
2011年、教授は理系の研究室を閉じ、文系の教授になったそうです。
興味深い…
1年前、植物学者のユリさんが講座に入られたときに、理系の方でもこういう世界に興味を持つのかなと思い目的を聞くと、「微生物と話せるようになりたい」とおっしゃって驚いたものです。
目的はある意味達成されましたが、生物をミクロの世界で分解して分解して調べていくと、最後には壁にぶつかる。
その壁というのが、人間の知識では計り知れない「宇宙の秩序」に阻まれるということ。
一見秩序があるように見えるので、「秩序ありき」の前提で調べていくと、どんどん無秩序の世界に突入していく。
固体を掴もうとしたらその瞬間、気体となって変幻自在に姿を変えてしまい、手を放した瞬間にはもう個体に戻っているような。
教授のこのあとに続く話は衝撃的なものでした。
(つづく)
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