(つづき)
ここは夢の世界?
現実のようにも見えるけど、いつもの現実とは違う。
案内人が現われた。
連れて行かれたのは大きな建物の前で、そこには大勢のトカゲがいて、わいわいがやがやしている。
集合場所らしい。
まずはオリエンテーション。
注意事項が告げられる。
トカゲは、カエルの国へ入国するにあたり、カエルの着ぐるみを用意されていること。
ゲートを通る間に、カエルの国で生活できるように調整が成されること。
(*「ゲート」というのは、母親の胎内にいる間を指していると思われる)
カエルと同じものを食べ、カエルの言語を話せるようになる。
カエルとしての経験を堪能できるようにするため、トカゲの記憶は消されるなど。
ただし、この調整の効果は100%ではなく、個人差がある。
90%近い調整効果があった人はよいが、60%や70%だと、トカゲの記憶がぼんやり残ったまま生活することになるので、常に違和感にとらわれるかもしれない。
途中解約はできないからその辺を踏まえて、短期旅行にするか、長期旅行にするか、よく考えて選択してください。
その後、トカゲたちは行先別に各々のゲートへと案内されていく。
いよいよ、そのとき。
ゲートの前にくると、案内人がこう言った。
「ゆっくり目を閉じてください。目を開けたとき、あなたはもうカエルの国に住人になっています。では、よいご旅行を。行ってらっしゃい!」
ワクワクしながら目を閉じた。
……とろとろとろとろ……まどろみ。
赤ちゃんのときは、ここがどこなのか、自分が何者なのかよくわからなかった。
体はカエルになっているけど、まだ「意識」が馴染んでいないので、カエルの世界と夢の世界を頻繁に行ったり来たりしていたのかもしれない。
まどろんでいるときはトカゲの記憶があるけど、目を覚ますと、違う世界がぼんやり見えて、体はこっちの世界にあるような気がする。
再び……とろとろとろとろ……まどろみ。
だんだん「目を覚ましている時間」が多くなってくる。
そして、少しずつこちらの世界に「意識」の焦点を合わせられるようになっていった。
記憶はないが、「輪廻転生」という概念の元、「前世」を経て「今」この世界に来たことになっているらしい。
(カエルの国ってどんなんだろう? カエルって何を食べて、どんなコミュニケーションをとって、どんなふうに暮らしているのかな?)と興味を持ったその世界に、今自分は(存在してい)居る。
確かにカエルの姿で、カエルの言葉を話し、カエルそのもののようにふるまっている。
でも……!
なんだろう、この「違・和・感」!
なんだかみんなと違う気がする……
自分だけ浮いてる気がする……
ここは自分の居場所ではない気がする……
なんで自分はここにいるんだろう……?
なんで空を見ると、「帰りたい」って思うんだろう?
(つづく)
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