(つづき)
2週目になると、Tちゃんから「プリンセスのお話がいい」とリクエストされたのだそう。
ハナさんは(それって、Tちゃんの過去世なのかな?)と思いつつ、
ハナ:プリンセスのどんなお話がいいのかなぁ?
Tちゃん:プリンセスが、ぴかーって空から光を照らすの。
ハナ:(なるほど)
(プリンセスを出すにはお城かな?)
昔々、お城がありました。
とってもきれいなお城で、お日様がキラキラお城を照らしています。
(と、リラクゼーション風にゆっくりとした口調で語ります)
ハナ:風もそよそよ、雲ももくもく、きれいに光っています。
そこにプリンセスがいます。
プリンセスはお城のみんなに愛されていました。
プリンセスもお城のみんなが大好きでした。
みんなで楽しく平和に暮らしていたところ、お空の向こうから黒い雲がもくもく流れてきました。
私:(そっか、ハナさん、潜在意識に繋がってやっているから、ストーリーが降ってきているのね)
私が講座中に生徒さんを誘導するときも同じやり方です。
「森へ」「海で」「宇宙へ」など場所を設定すると、その先のイメージがどんどん視えてくるので、それをそのまま誘導文に使っています。
「黒い雲がもくもく」と聞いて、Tちゃんが(うーん?」みたいな顔になったそうです。
ハナ:お城の皆は、固唾を飲んで見守っていました。
(さて、ここからどうするかなぁ・・・・)
そのとき、
Tちゃん:プリンセスは金のネックレスを持ってるの。
ハナ:(そうなのか!)
お姫様がネックレスを握りしめて見つめていると、空から光がピカッとお姫様を照らしました。お姫様はその光をペンダントに集めて、祈りました。
ハナ:お城のみんなと、この国を助けてください。
そのお姫様の姿を見たお城のみんなも、お姫様を応援しました。
ハナ:すると、そのペンダントからキラ~ッと光が煌いて、お城のみんなとお姫様を包みました。
その光がどんどんどんどん大きくなって、お空の雲をどんどんどんどんケチらしていったのです。
ハナ:その雲はきれいな輝く虹になって、お空の向こうへ飛んでいってしまいました。
その辺りでもうTちゃんは眠ってしまいました。
で、ハナさんは
「その光がお城のみんなを明るく照らし、お姫様も愛情に包まれて、ますます元気に暮らしました」と締めくくったそうです。
3次元で「眠っている」状態でも、潜在意識ではちゃんと聞いているので、このように最後まで語ってあげるのがお勧めです。
ハナ:その日からほとんど毎日プリンセスの話をリクエストしてくるんですよね。
あるときは魔女が出てきて……。
こんな感じです。
ハナ:その魔女は良い魔女? 悪い魔女?
Tちゃん:悪い魔女
ハナ:その魔女は何をしたの?
Tちゃん:王様を隠しちゃった。
ハナ:じゃあ、どうしたら、王様がみんなの前に出てくるかなぁ?
Tちゃん:いい魔女が出てくる。
ハナ:良い魔女が助けられるかなぁ?
Tちゃん:できない。
ハナ:(え?) じゃあ、どうしたらいいかなぁ?
Tちゃん:プリンセスがお勉強するの。
ハナ:そっか、プリンセスに魔法を教えてくれるのね?
Tちゃん:そう
で、ハナさんは、そのストーリーを取り入れつつ、
「プリンセスは王様を助けようと一生懸命勉強しました」みたいな感じでまとめて、プリンセスは王様を助けることができたのですが……。
ハナ:それだけで終わらせずに、悪い魔女も助けようと光を送ったんです。
その言葉を聞いて、うるうるしてしまった私。
講座では過去世を書き換えるときに、登場人物全員を救済してねとお伝えしています。
たとえば、
「手塩にかけて育てた娘の結婚式前夜、泥棒が入って結婚式の費用を盗んでいった」という過去世の場合に、
「すぐに警察に見つかり、泥棒は捕まってお金は無事に戻ってきました、メデタシ、メデタシ」ではダメなのです。
父親の無念な気持ちは書き換えられますが、この泥棒が罪を犯したことには変わりなく、罪悪感を抱いたまま転生してくるからです。
技法しか学んでいないと、このように主役の感情だけを書き換えて終わりにしてしまいがちです。
しかし、
「なぜ泥棒はお金を盗んだのか」に焦点を当てると、
「同じ年頃の娘がいて、病気で苦しんでいたが、高価な薬が買えず、どうしても助けたい一心で」という理由が出てくるかもしれません。
あるいは、その後に焦点を当てると、
「出来心でお金を盗んだものの、娘の結婚が破談になったことを噂で聞き、罪の意識に苛まれるようになったが、言い出すこともできず一生苦しんだ」かもしれません。
あるいはまた、その人生のうちは何も思わなかったとしても、中間世に焦点を当てると、
「ああ、俺はなんてことをしたんだ!」とそこから罪悪感が始まり、それを持ち越して転生しているかもしれません。
いずれにしても起きたことはシナリオであり、誰かの体験のために、誰かが悪役を引き受けているのですから、その「しくみ」を前提に、登場人物全員の感情を「清算(=解放)」してあげるのが望ましいと思います。
そうでないと、過去世を視た本人(=父親)も、「こいつは悪い奴だ」とインストールしてしまいます。
だからこそ、「技法」だけでなく「真理」を学ぶことが大切なのだと思います。
この世界はパラレルになっているので、書き換えのストーリーも星の数ほどあります。
先ほどの過去世の書き換えであれば、
泥棒は捕まる。お金は戻る。
なぜ盗んだのかと聞かれ、事情を話す。
それを聞いた父親が、娘を想う気持ちは痛いほどわかるので、町の皆に呼びかけてお金を集め、薬を買えるようにしてあげる。
この場合も、娘の病気が治って良かったねというケースもあるし、結局薬を買えても病気は治らず、亡くなったというケースもあります。
それでも、泥棒は皆の優しさに感謝し、娘は天国から、「私もお父さんもみんなからたくさんの愛をもらった、それを体験するためのシナリオだったのよ」と言っているかもしれません。
あるいは、お金を盗んだ直後、夢に娘が現われ、
「仮に盗んだお金で命が助かっていたとしても、私がその後の人生を幸せに生きられるかしら? 別の女性が結婚式費用をなくしてつらい想いをしたと後で知ってしまったら? 私は一生罪悪感を背負って生きることになるのよ?」
と告げる。
または
「長くは生きられなかったとしても、こんなにお父さんから愛された人生は幸せだった。過去には一緒に暮らせない人生もあって、今回は短くてもずっと一緒でいられて、嬉しかった、ありがとう」
と言われ、その言葉に目が覚めて自首し、お金を返すかもしれません。
そのときどきで潜在意識が見せてくれるストーリーは異なります。
大事なことは、「悪い泥棒を懲らしめました」で話を終わらせてしまうのではなく、その裏にあるシナリオを紐解き、互いに必要な経験はしたのだから、それに伴って生まれた「負の感情」は解放しようね、という姿勢です。
人は「体験」するために転生を繰り返しますが、「体験」には必ず「感情」が生まれます。
表現を変えるなら、「感情を体験したくて」転生しているようです。
5次元的にみれば、それは単に「さまざまな感情」にすぎないのですが、人間界は2元性の世界なので、「マイナス感情」「プラス感情」のどちらかに分別されてしまいます。
魂に戻って肉体を脱ぎ捨てたときには、その「マイナス」「プラス」が抜けて、「空(くう)」に戻るようです。
が、転生して再び「肉体」をまとった瞬間、2元性の世界に再上陸して、「空(くう)」だった感情に、「マイナス」「プラス」の「色」が付いてしまいます。
これを「過去世から持ち越した感情」と呼び、「解放」しています。
正確に言うなら、「清算」しているのでしょう。
ハナさんがちゃんとそのしくみを理解し、Tちゃんへの物語に取り入れていたことに思わずうるうるときたのでした。
さて、このあとの物語の展開が面白いのです!
(つづく)
姉妹版ブログ
『聖なる樹のヒプノセラピー物語』も読んでね!