(つづき)
黒装束の男が一瞬出てきたと思ったらすぐに消えて、今度はK氏の背後に、ギョロリと睨み付けるような目をした大コウモリのようなものが姿を現わした。
「あなたは誰?」と何度聞いても沈黙を貫き、結局、正体はわからなかった。
今回、B氏との過去世を見ている中で再び出てきた黒装束の男性は、「人をマインドコントロールすることができる」と言った。
しかし、その正体は「憑依」ではなく、K氏自身なのだという。
彼の強い罪悪感、その心の闇が具象化したものなのだと。
そして、あのコウモリのような翼をもった化け物も同様なのだと。
ママが、
「だったら、今、みんなを光に返してあげるから出てきて」と呼びかけてみたけど、返事はなかった。
セッションが長くなったので休憩をとることにした。
ママがこの先の展開をどうしたらいいんだろうと考えていたら、ミエさんが涙目で、
「私、B氏の悲しさとか後悔の気持ちが胸にぐっときて、涙が出そう」と言った。
「自分は許されない、許されない、って・・・。その悲しみが自分の感情のように、伝わってくるんです」
ママ:そっか! じゃあ、先にB氏の解放をした方がいいのかも!
ミエさん、書き換えを見に行ってくれる?
ミエ:はい(目を閉じる)
しばらくして・・・・
ミエ:マサコさん、さっきの17~18歳の修行僧が出てきて、「自分はそんなこと(書き換え)で許されるべきじゃない」って言って、書き換えのイメージを見せてくれません。
「経典を持ち出さなかった、罪は犯さなかったなんて、そんな安易な書き換えで許されることじゃない。自分はそれほど罪深いことをしたのだから」って。
ママ:そうなんだ・・・。どうしよう・・・・・
そのとき、ママは閃いた!
ママ:じゃあ、そのときのB氏の師匠だった人、出てきて下さい。
現れたのは、仙人みたいなおじいさんだった。
ママ:(師匠に)私たちは転生し、ここで再会しました。
彼を助けたいと思っています。
でも、彼は自分を責め続けていて、自分を許そうとしない。
この状況に対して、あなたから彼に何か言葉をかけていただけませんか?
すると、師匠は、
「おまえが経典を盗むことさえも、最初から(シナリオに)組み込まれていたこと。起こるべくして起きたことであって、おまえのせいではない。
しかし、おまえには非常につらい思いをさせてしまった」と言った。
ママ:何のために組み込まれていたの?
師匠:命のはかなさや尊さを教えるため。
命は、はかないからこそ大事にしなければならない。
経典を盗んだことによって殺戮が繰り広げられることはわかっていた。
破滅に見えたかもしれないが、それさえもひとつの学びであって、その学びのために必要な過程だった。
ただ、おまえはそれをやったことによって、自分が(破滅の)きっかけを作ったと思っているから、ひどい罪悪感を抱くことになってしまった。
ママ:たくさんの人がこの出来事によって命の尊さを知ったと思います。
でも、そのきっかけを誰かが作らなければならなかった。
誰もやりたくなかった役だと思う。
その役を引き受ければ、人間として自分を責め続け、罪悪感にさいなまれる、つらい人生になるのは、最初からわかっていたのだから。
それでもB氏(の過去世)は引き受けた。
それは彼の意思ですか?
ミエ:5次元的に言えば、そう。
でも、3次元的にはそのことを覚えていないから、人間としての彼にはすごい罪悪感が芽生えてしまった。
ママはその修行僧に語りかけた。
ママ:今の話を聞いていましたか?
あなたがやらなかったとしても、誰かがこの役をやらなければならなかったそうです。
あなたはこの大変な役を、自ら買って出てくれました。
あなたのおかげで、たくさんの人が多くのことを学んだ。
もう自分のことを許してあげてもいいんじゃないですか?
B氏はママの説明を聞いても、半信半疑のようだった。
ミエ:さっきの「自分は絶対に許されるべきではない」っていう頑なな感じはなくなったけど、その話を信じてもいいのかな? って迷ってる感じがします。
ママ:(そっかあ・・・・)
よし! じゃあ、それを見せてあげます!
ママはミエさんを誘導して、修行僧(B氏の過去世)が、チベットでの人生のシナリオを作っている場面を見に行ってもらった。
ママ:Bさん、よ~く見ていて下さい。
あなたがチベットでの肉体を持つ前、まだあの世に居て、みんなでシナリオの相談をしていたとき、誰がこの役を引き受けるのか? という場面で、どんなことが起きたのか。
ママは、過去世リーディングをしているミエさんに向かって、
「みんながこの役を引き受けたくて、我も我もと手を挙げていますか?」と聞いた。
ミエ:いいえ・・・。
互いに顔色をうかがいながら、「おまえ行けよ」みたいな雰囲気で、誰も手を挙げません。
だって、その役をやったら、罪が深い分だけ、後で大きなしっぺ返しが来るんでしょう? って、尻込みしてます。
ママ:それで、どうなったの?
ミエ:その若い僧が、「私がやります」って手を挙げました。
自分にしっぺ返しがくるのはわかっているけれども、世界の意識を高めるために役に立てるのなら、それでもいい、って。
ママ:のちにチベットに生まれて、彼の師匠になる人は、それをどういう風に見ていますか?
ミエ: とても誇らしげな、愛に溢れた目で見てる。
「よく言った」って。
ママ:ほかの人たちは?
ミエ:あいつ、すげーなあ、って。
ママ:若い修行僧は今の話を聞いて、どうですか?
ミエ:まだちょっと信じられないみたいです。
「本当に?」って顔をしてます。
ママ:じゃあ、もう少し先を見てみましょう。
あなたは大事な経典を盗みだし、「闇の者」に渡すんです。
で、今度は、経典を盗むようにそそのかす役の人が必要なの。
それを誰が引き受けますか?
地上に降りて肉体に入ったら、修行僧をそそのかし、経典を奪い、力を得て村を壊滅状態に追い込む。
その行為によって、彼もまた罪悪感に苦しむことになるんです。
さあ、その役を誰がやるの?
ミエ:K氏です。
彼はB氏の良きライバル、好敵手。
「おまえが頑張るんなら、俺も負けてらんないぜ」って。
「俺もおまえと一緒に世界に貢献するよ」って。
ほかの人たちが、
「すごいな~! あの二人にはかなわないよな~」って。
ママ:Kさん、今のを聞いてどうですか?
K氏:自分がその役を引き受けた感覚があります。
ママ:みんなが嫌がる悪役を、あなたが引き受けてくれたのね?
K氏:はい
ママ:でも、いざ地上に降りてきてその役を遂行したら、すごい罪悪感に苛まれることになった。
どうですか? 役を引き受けたことを後悔していますか?
K氏:後悔はしてないです。
ママ:(修行僧に向かって)いま、シナリオを見ましたよね?
あなたが大役を引き受けたことで、K氏も「じゃあ、俺が一緒にやるよ」って。そういうシナリオでした。
これを見て、どうですか?
ミエ:彼は泣いてます・・・・。
ママ:あなたたち二人は、誰もが嫌がる役を自ら引き受け、たくさんの人に学ぶチャンスを与えてくれた。
でも、そのせいで本当に長い長い間、苦しみ続けた。
今はもう、それを清算できる時期に来ています。
だから、もうこの場で清算してもいいんじゃないですか?
すると。
ようやく、B氏がこくんとうなづいた。
ミエさんが書き換えをしてくれた。
ママはどんなストーリーに変わるのかと興味津津。
ママ:面白かったよ、エフちゃん。
あのね、『経典』自体が無くなってたの!
師匠がね、修行僧(B氏)に、
「経典なんてものはない。誰の型にも当てはまる、ただそれを読みさえすれば悟りが開けるような、そんなものはない。
おまえがおまえの人生で経験し、その積み重ねで得たものこそが、おまえにとっての極意であり、経典であって、誰の型にも当てはまるようになっている(既存の)ものはないんだよ」
って、諭してるの。
私:そっかあ! 盗むべき「経典」がないんだ!
修行僧は、彼をそそのかそうとした「闇の者」に、
「(これを読みさえすれば悟りが開けるというような)近道はないそうです。
一日一日を大切に生きていったものが積み重なって経典になるのだから、あなたもズルをしないで一緒に修行しましょう」と伝えます。
ミエ:そしたら、闇の者が消えていなくなりました。
ママ:Kさん、今のを聞いてどうですか?
K氏:いまさらそんなことを言われたって、どうすればいいのかわからない、って感じがします。
ママはなんだか可笑しくなった。
B氏、K氏の過去世を紐解き、解放しているのだけれど、当の(転生した)本人たちがこの場にいて、ミエさんが過去世をリーディングしてくれて、それを聞きながら、ママが解説している図式。
私:でもって、K氏はその過去世を聞きながら、自分も一緒にタイムスリップして、そのときの心情を語る。(笑)
このまま解放をしてしまうと、途方に暮れているK氏は宙ぶらりんになってしまうが、ミエさんが、
「B氏が自分を許していないから、先にB氏を書き換えないと、K氏の書き換えもできない」と言ったので、とりあえずB氏の解放を行った。
ミエ:師匠が現れて、修行僧(B氏)をハグして、「ほんとうによく頑張った。おまえはもう許されていいんだよ」って。
修行僧が大泣きしてます。
そして、ふたりが金色の光に包まれて消えていきました。
ママがB氏に、
「これはデンマークでBさんに行った過去世解放の続きだったんです」と告げると、彼はびっくりしながら、
「え~? ああ、でも、あのときとはまた違った感覚で、なんか軽くなった気がします」と言った。
(注:デンマークでお目にかかったとき、B氏が急に肩の痛みを訴えた。ヒーリングをしていたらチベットの過去世がでてきたので解放した)
B氏:前回は肩が軽くなったけど、今日はハートが軽くなった感じです。
なんだろう・・・・。胸(ハート)のあたりがすごくムズムズして、こう、手から「気」がパーッと出る感じ。なんか、不思議な感覚ですね~。
ママ:エフちゃん、ハートの辺りっていうのはね、「魂」が感じる場所なの。
前回デンマークでは、「罪悪感」を背負っていた肩の痛みを解放し、今回はようやく「魂」レベルでの解放ができたのだと思う。
ママは初めてB氏に会った時、「この人は自分で自分のことを許してないみたい」って思った。
ようやくその謎が解けた。
ママ:Bさんは、自分で自分のことを許してこなかったんです。
今、ようやく自分で許した、そんな感じです。
B氏:不思議ですよね~。
今の自分が覚えていないことが、身体のどこかに残っているって。
ママ:Bさんの今生の人生の中で、チベットで転生したころの過去世が重く影響していたんだと思います。
だから、今生でもすごくチベットに行きたい! って思われたハズですよ?
B氏:その通りなんです。
実は今年の夏に数か月間、チベットを旅行する予定なんです。
ママ:(そっか!)
だから、訪問前にチベット時代の過去世を解放しておく必要があったんだ。
エフちゃん:先に解放を行ってから、旅行に行くようになってた?
ママ:うん、たぶん。
解放前と解放後とでは、同じ地に旅行に行っても、そこで起こるべきこと、受け取る波動、出会う人々、さまざまなことが違ってくるはずなのだ。
B氏はこの年の夏、長期休暇をとってチベットを2ヶ月間旅した。
若い頃からずっと、「○才になったらそうしよう」と決めていたそう。
ちゃんとその数ヶ月前に同じデンマーク在住のY子さん経由で私と出会い、そのタイミングで講座に来ていたK氏と再会して大きな「清算」を行うことになっていたのだろう。
人生は本当にうまく計画されていて、面白い。
ちなみにチベット旅行は最高だったそう。
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