ヤツと、初めて視線を絡ませたときの。
衝撃を、私たちは覚えている。
息をのみ、呼吸を忘れた。
目を疑い、言葉を失った。
思考が止まり、微動だできなかった。
この世に、こんなにも。
美しい怪物が、存在していたなんて。
美しさの恐怖に、身震いした。
目を逸らせない、艷やかなルージュは。
芳醇な、ボルドーの赤か。
かみ砕いた、深紅の薔薇か。
はたまた、滴る獣の鮮血なのか。
何ものにも囚われない、怪物が。
一か所に、とどまっているはずがない。
安住の地を、もとめているわけがない。
だけど。
目の前から一瞬で、走り去って行った。
ヤツの姿かたちと、あの鋭い眼光を。
私たちは、忘れられないんだ。
まぼろしなんかじゃない。
間違いなくヤツは、私たちの前に現れた。
確かに、存在していたのだ。
囚われてしまったのは、私たちの方だろ。
mayu.
以前 彼のお父さまは
「健人の顔は 若いころの母親に似ている」
と おっしゃっていました
中島くんの お母さまって
どれほど お美しい方なんでしょう
(*´Д`)