ビルンガ火山群とキブ湖のメタンガス開発 | 迷えるオッサンの老惨禄

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チェンマイ18年の日誌を中心にやってきましたが、2021年9月帰国、タイトルを変更したいました。

 

この記事は722ホットスポット・カメルーン火山及び723ニオス湖の湖水大爆発の続編記事で、いわゆるヤフブロから続く好奇地理博物誌シリーズの一編である。

 

なお、この記事の前編としてグレートリフトバレー(アフリヵ大地溝帯)を書いたので、ご覧になりたい人はクリックしてどうぞ。

 

 

 

マントルの噴出口であるグレートリフトバレー(大地溝帯)がキブ湖上を走るルワンダ西部は地球上で最も地殻変動の活発な場所で、キブ湖北岸一帯には30004000mの巨大火山群が集結するビルンガ火山群列がひしめいている。

 

最高峰はルワンダ最高峰を兼ねるカリシンビ山(4507)で、山腹一帯は世界最大のマウンテンゴリラ棲息地(写真)として知られ、ルワンダ最大の外貨獲得源となっている。

 

 

 

ちなみにカリシンビ火山国立公園でのマウンテンゴリラ入園料はガイド込みで一人1500ドル(16万円超)と大変お高くなってます。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし世界で最も活発で危険な火山として恐れられているのはキブ湖畔にそびえるニーラゴンゴ山(3,470m)で、火口には常時灼熱の地獄の釜のような溶岩湖(写真があることで知られ、しばしば大噴火を繰り返して山麓一帯に甚大な被害を与えてきた。

 

特に20021月のの大噴火では溶岩湖から大量の溶岩が流出、キブ湖畔のゴマ(人口200万=コンゴ領)の市街地や空港に流入、市民35万人が隣接するルワンダのギセニに逃げ込んだ。

 

そしてこのまま溶岩がキブ湖に流入したら湖水に大量に溶けている二酸化炭素の大量噴出が危惧され、1986年のニオス湖同様の湖水爆発でゴマ市民300万人の全滅が懸念されたのである。

 

幸い、溶岩はキブ湖に達する3km手前で冷えて固まったため、死者150人と最悪の災禍は免れたが、以来キブ湖のガス対策が本格化する契機となった。

 

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一方、キブ湖に溶け込んでいるガスはニオス湖のような燃えない炭酸ガス(二酸化炭素)だけではなく、可燃性のメタンガス(天然ガス)も含まれていることで地震や火山噴火どの発生で起こる大爆発の危険性はより高く、それが犠牲者300万人の根拠となっている。

 

しかし、メタンガスがあるならそれを燃料としてガス発電も可能なはずで、キブ湖深層のガスをくみ上げてガス抜きと同時にメタンを抽出すれば爆発による自然災害リスクを減らす一方でエネルギー源として活用するキブワットプロジェクトが発足したのである。

 

ちなみにキブ湖のメタンガス資源は500m3と石油換算で 4000万トンに達し、液化すれば現在ルワンダが全面輸入している石油自給も可能とされている。

 

 

 

 

2009年に発足したキブワット計画は 米国のエネルギー企業Contour Globalに委託、2015年にはキブ湖上建設された水溶ガス抽出バース(写真)から13キロのパイプラインで結ばれた湖畔のキブエにガス発電所が稼動を開始、従来は水力中心だったルワンダの電力生産は115MWから2018年には2・5倍の282MWに急増、うち55%をメタンガス発電が占めて水力を逆転している。

 

なお、水に溶け込んだ炭酸ガスもメタンガスも水深350m以下の湖底深層部に堆積しており、したがってキブ湖の表層部は無毒の淡水湖で魚類は豊富であり、ルワンダはタイ同様にナマズやパーニン(ナイルテラピア)漁業が盛んである。

 

 

 

 

ところでルワンダといえば1994年に大規模な民族対立抗争が勃発してで100日間で100万人が殺された史上最大の大虐殺」(写真)があった国として知られているが、ルワンダ大虐殺の実態及び真相について以下次号で述べる予定である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちゃんちゃん