※ご注意ください※
・特殊NPCのアグネスさんをチートでプレイしています。
・アグネスさんの特質を変更しています。
・シムズ3の要素があります。
・デフォシム同士の恋愛があります。
これまでのお話
【アグネス&始祖の恋愛カウンセラー】
【ミラルカの恋】
【上の2つを統合した現行シリーズ】
始祖は死神を連れ、ミラルカとイヴィーに気づかれないよう裏口から家に入りました。
芝居の稽古場と、寝室の間の廊下で足を停めます。
ヴラド「それで、お前さんの望みはなんだ?」
死神「さっきも言ったであろうが。
ミラルカを我が手に取り戻し、あの男の魂を刈りとって、あちら側に放り出してやる」
ヴラド「これは驚いた。死神の世界では、恋だ愛だのの恨みで生死を決めても良いのか。
マッチメーカーとしてよく覚えておこう。死神だけには近づくなと。
もちろんキューピッド・コーナーでも注意喚起をしておき、死神は全員退会処分だな」
死神「私利私欲で言っているのではない。貴様、あの男が何をしてきたか知っているだろう。
『悪のキューピッド』、イヴィー・ヴァレンタイン。
罪もない恋人たちに偽りを吹き込んで別れさせ、自ら言い寄った恋人の前でわざと浮気を見せつけ、
『愛しているよ、恋人になってくれ』と言ったと思ったら『別れよう』と、腐った果物のように捨てる。
そんな男がのさばっているのが我慢ならないだけだ」
ヴラド「……『ブラック・ウイドウ』」
死神「!」
ヴラド「ワシが知らぬと思っていたのか?
ほんのわずかだが、手も貸してやったぞ」
死神「しかし、あれは、ミラルカの二親の復讐のためであって……!」
ヴラド「では聞くが、イヴィーの過去に何があったか知っておるのか?
本部のデータベースを調べれば、イヴィー本人すら忘れていることも、簡単にわかるはずだが」
死神「……」
ヴラド「ふむ。その様子だと、そなたはイヴィーのこのをろくに知らぬまま『女を取られた』と怒りをたぎらせ、同僚にに様子を探らせて証拠まで抑え、魂を奪おうとしていたのか」
死神「……『ずっとゲラゲラ笑ってて、楽しそうだった』と同期に聞かされて、心底驚いたからだ。
Windenbargの家は、ミラルカと下卑たゴーストたちとは顔を合わせずにすむようになっている。アンティークの装飾品から最新式の家電まで、ミラルカの気に入ったものがあればすぐに購う。
それでもどこか浮かない顔をしていて、セレブ仲間の家に泊まってくることがよくあった。
しかしこの家では、ミラルカは何も買わなくても、洗い物に掃除、釣りや土いじりまでして、魚や野菜をあの男やお前の恋人の婆ぁに料理させられても、とても楽しそうなのだ!」
ヴラド「それは、お前さんが間違っている」
死神「何だと?」
ヴラド「Windenburgの家を豪華に飾り立て、ミラルカに何もさせず、ゴーストをこき使うのは最悪の手だ」
死神「では、どうすれば……!」
ヴラド「ゴーストたちを放り出して家を売り払い、別の街でミラルカと新しい生活を始めるのが正解にきまっておろう。
あの家にまつわるミラルカの記憶は、母の訃報、父の死、復讐のためにシムを殺めたこと。
自ら手にかけたゴーストの気配があって、一日何もすることがなく、それでも笑っていられるのは『シムを殺めるのが趣味』という異常者ぐらいであろう。
死神はゴーストや死との距離が近すぎるからな。最初から、ミラルカとお前さんの価値観に違いがありすぎたのじゃよ」
イヴィー「すげえ。さすがマッチメーカーのトップ」
ヴラド「貴様、いつからここにおったのじゃ!」
ミラルカ「そちらの死神さんのせいで、死神さん全員がキューピッド・コーナーに出禁を喰らいかけたあたりからかしら」
死神「ミラルカ!」
ミラルカ「始祖のおっしゃる通りですわ。
あの家は唯一父が私に遺してくれたものですけれど、辛い記憶しかない。
だから私、何度もあなたに『安値でいいからこの家を売り、ヘンフォードあたりでのんびり暮らしませんか』と言ったのに、あなたはいつも『考えておこう』でおしまい」
死神「冗談だと思っていたのだ。あれくらいのことで、おまえほどのヴァンパイアが参るはずがないと!」
イヴィー「『お前、マジで徹底的にとことんクソなバカだな。
ヴラドの爺さんの話が何一つ頭に入ってない。ミラルカの気持ちが、何一つわかってない!!」
ミラルカ「もういいわ。行きましょう、イヴィーさん。死神さん、あの家はゴーストたちにくれてやって。そして二度と私の前に現れないで。
始祖、申し訳ありませんが、助力をお願いいたします」
ヴラド「あいわかった。死神、その場を動くな。
一歩でも動いたら、塵にしてやるからな」
死神「ミラルカ……!」
ミラルカ「火や水には気を付けて参りますわ。
私には永遠の生命がありますもの、事故に遭わなければ、二度と顔を見ずに済むはず。
それでは、どうぞお元気で」
ミラルカが階段を足早に降りていくと、イヴィーが待ち構えていました。
イヴィー「これでいいのか?」
ミラルカ「ええ」
ミラルカ「私の説明不足を補ってくださって、ありがとう。これはお礼」
イヴィー「これっぽっちじゃ、足りねえな」
ミラルカ「欲張りさんね」
イヴィー「悪のキューピッドだからな」
二人は熱い抱擁を交わし、何度も何度も口づけを交わしました。
死神「……」
ミラルカ「もう2時よ。明日の仕事に支障が出るわ」
イヴィー「そうだな。おやすみ」
イヴィーは寝室へ行き、ミラルカ一人が執務室に残されました。
ミラルカ「……私が学校に行けなくなって、棺で眠り続けている間、夢うつつに疲れ切ったお父様の声がかすかに聞こえたことがあった。
『ミラルカ。
誰とも交わらず、ただ一人で生きていけば、傷つくことも面倒なこともないのだと、ずっと前から私は知っていた。
それなのに、どうして私は友を作り、恋人を愛し、結婚し、子供を作ったのだろう。
そして、今もなお、お前の母を探し続けているのだろう……』
ミラルカは寝室に駆け込み、顔を覆いました。
ミラルカ「お父様……!お母様……!
会いたい……会いたい……!
どうして人間になり、逝ってしまわれたの。
私を置いて、灰になってしまわれたの……」
次回に続く。
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