太田 忠司 予告探偵(西郷家の謎)
大戦の傷跡をまだ深く残しつつも、人々が希望を胸に復興をとげてゆく時代―一九五〇年の十二月。それは三百年以上続く由緒ある旧家、西郷家に届いた一通の手紙から始まった。便箋に書かれた“すべての事件の謎は我が解く”の一文。その意味する「謎」とは?壮麗な旧家の屋敷を舞台に繰り広げられるおぞましき人間関係、次々と起こる奇怪な事件。はたして犯人の正体は?そして、その目的は一体何なのか…!?本格推理の名手が“難攻不落のトリック”をひっさげて読者に挑む、新しいエンターテインメント意欲作。
太田 忠司 3LDK要塞 山崎家
木造2階建て、ローンあと20年の建て売り住宅に住む、小学5年生の山崎滋は何不自由のない平穏な生活を送っていた。スーパーで買物中に「家族の幸せ」の貴さにうたれ号泣したり、滋を公園に連れ出し、むりやりキャッチボールをさせようとする「普通の家族」コンプレックスの父、兼智の風変わりな行動を除いては―。しかしそんな日々も、ハイヒールの美女、クミコ・エリス・ハスター率いる戦車隊が、山崎家をつけねらいはじめて一変する―。本格推理あり、アクションありの戦車隊と山崎家の攻防から明るみになる家族の秘密と価値。
太田 忠司 囁く百合
―百合の香りに、誘われてきたんだね。そう、これは山百合。花言葉は、荘厳―。十年前、連続幼児殺人事件の容疑者に捕らわれながら、寸前で助け出された皆瀬早紀は、中学生になっていた。幼き日の記憶。しかしなぜか早紀には、捕らわれたことよりも助け出されたことの方が忌まわしい記憶として残されていた。そんな時、十年前の連続殺人事件と同様の殺人事件が発生する。過去の容疑者・蘇我憂水が舞い戻ったのだろうか!?早紀はいつしか通うようになっていた花屋“レンテンローズ”で、己の記憶と向きあうことになるが…。彼女の見つめる先にあるものとは―。五弁の花咲くレンテンローズより紡がれる。