飲水思縁〜台湾華語・台湾茶人文教室準備中 -12ページ目

飲水思縁〜台湾華語・台湾茶人文教室準備中

飲水思源とは中国語の四字熟語で、
水を飲んで、その源に感謝の気持ちを抱くということです。

お世話になっている日本で、
生まれ育った台湾の良さを伝えていくことをライフワークにしています。

難しい5月でした。6月は頑張れば報われそうですけど、果たして目標まで頑張れますか。
 
学会で青島に行ったのが思わず8ヵ月前になってしまいました。
 
2年に一度のこの学会で、2度目の発表でした。
 
 
テーマは明代茶文化の中の竹でした。

 

 

 
会場から歩いて10分もなくして、この海が目に入ったのもいい思い出でした。

 

 

 
海青茶を見に行きました。

 

 

 
嶗山(青島の地名)茶の試飲もバッチリ!

 

 

 
仲間と惹かれた魯菜、つまり山東料理のレストランへ。

 

 

 
五四広場でも綺麗な夜景を満喫しました。

 

 

 
嶗山太清宮、空気が澄んだ綺麗なところでした。老子像でした。

 

 

 
泰山の巓にて。

 

 

 

茶文化にしては山東省で外せない湧き水の名スポット、趵突泉公園でした。

 

 
その公園で出会った「大碗茶」もほぼ一気飲みで。
 
この学会の思い出は、茶文化研究の貴重な醍醐味です。6月は目標達成できるかどうかわかりませんが、これを思い出し、エネルギーチャージしてまた頑張りたいです!
 

 

あっという間の2019年春です。来日して7年目に突入して、日本の年号の平成も終わり、もうすぐ令和になります。

 

思えば様々な活動で充実な6年間を送った私ですが、博士課程も折り返して、そろそろ博論を本格的に取り込まないといけなくなっています。

 

先日、一氾文学会学会誌『氾文』創刊号の特集「銀」に「明代茶書にあらわれる銀器について」という原稿が掲載されました。発表論文を除いたら大学院で公開した2本目の論文となります。茶淹れ活動の気持ちも入っており、論説として不十分な原稿なので、論文と称するには語弊がありますが、茶の道を歩きたい意志を新たに整理できた点においては自分を満足させた仕事でした。

 

 
 ▲上記論文で言及した石黒光南の銀器急須。
 
この記事は論文の補足ではありませんが、常に自分の中にある問題意識の整理として考えていきたいと思います。
 
本題に入り、論文で陶・磁・錫・銀・銅・鉄を茶書にあらわれる材質として列挙しました。特集のテーマと重なり、銀を取り上げたのはもちろん一つのきっかけですが、もう一つの視点として、茶にまつわる工芸品をより広い視点から見渡してみたいという気持ちも込めています。
 
<陶磁>
 
中国茶道具研究において、やはり宜興の紫砂壺や景徳鎮の磁器は王道と思われます。自分の中の陶磁器研究もまだまだですが、茶を志してからそれがずっと続いてきました。陶土や釉薬などの原料のことか、鑑賞の視点から見る伝承のことなど、あまりにも話題が膨らみそうなので、陶磁器のことについてはまたの機会に譲りたいと思います。
 
<金属>
 
話題は論文の金属に戻ります。ご縁があって、金工作家の個展で3年間茶席を出させていただきました。それで金属の技法は大きく鋳金・鍛金・彫金の三つに分けていると知りました。彫金は飾りつけの技法のようで、茶道具を作る技法ではないようですが、鋳金は型で溶かした金属を成形させて、鍛金は金槌で打って成形させる技法です。
 
台湾茶・中国茶の席と関わる南部鉄器は鋳金に属し、燕三条の鎚起銅器である湯沸しは鍛金に属します。実際、数回か金工作品を目にふれた中、去年、若手金工作家奨励の淡水翁賞を観に行けたのは大きな収穫でした。いきいきとした金属工芸の中で、鈴木成朗さんの鉄瓶や鉄の釜は伝統を受け継ぎながらの新鮮さで印象に残りました。
 
<ガラス>
 
茶淹れとほぼ無縁なガラス工芸も私は注目しています。
 
 
 ▲今から5年前の夏に出会った沖縄のおおやぶみよさんの吹きガラスです。アクセサリーをいれる置物のようだったが、茶入れとしていくつかの茶席で使っていました。
 
「作家で、耐熱ガラスを作っている方はほとんどいません」とある器を取り扱っている店主さんがおっしゃいました。たしかに、おおやぶさんの作品もそうです。ガラスのお皿も手元にありますが、それを茶船として使っている時は気をつけながら、お湯をこぼさない蓋碗の下に敷いています。
 
茶席では単なる飾りになりそうですが、ガラスの工芸品は陶磁器と一味違って眺めているだけでも心が躍ります。
 
<手漉き紙・その他>
 
茶席で落水紙(水を落として紙に穴を開ける技法)や、うるし紙に手を伸ばしてみたこともあります。古から大事なメディアでもある紙は日々文字を書いている私たちにとって、身近でとても魅力的な工芸品です。
 

 

 ▲2016年の「無事 卒業茶会」のルハン席でした。地面に光っているのがうるし紙です。

 

<参考書>

 

 

たまたま手元にあったこの本を最近愛読しています。「民藝の教科書」シリーズで、「民藝」の弁明に力が入っていると伺えます。

 

嬉しいことに金工・ガラス・紙の作り方や産地訪問がちょうどこの一冊に収まっています☆

 

最後は少し反省として、興味が色々なところにある自分ですが、そのような性格も文章に反映している気がします。こんな時に座右の銘にもなっている蘇軾の言葉を思い出します。
 
「博観而約取、厚積而薄発」
(広く知識を読み漁っては自分のものにするのを制限し、
厚く蓄積しては薄く発信する)
 
気持ちだけこの記事に綴り、学問の修業がまだ続きます。
 
 
<関連リンク>
「明代茶書にあらわれる銀器について」→
 
 
「而立」は『論語』に由来した言葉で、「吾十五にして学に志し、三十にして立つ」という孔子の自伝句から取りました。

「而立の年 茶の写真展」は2月初旬に無事開催し、終了しました。延べ百名の来場者数がとても嬉しかったです。

企画した段階で、「なぜ写真展を?」とよく聞かれました。最初は展示構成・写真の構図・インスタレーションの勉強のために、この写真展のイメージが頭に浮かびました。それにしても、結果的にもっと純粋な感動を得られたので、この場を借りてそれを綴りたいと思います。


    ▲初日(2/7)の茶席風景です。写っているのは私ですが、初日の茶席は山川幸代さんの甚大なご協力をいただきました。

初日のトップバターで茶席を持ちました。それは30代に突入した私にとっては、ありがたいスタートでした。

今回の写真展に、茶席は欠かせない要素だと考えていました。無事に全ての茶席を運ぶことができたことにも、ご協力いただいた皆さまに感謝しています。


    ▲2日目(2/8)の茶席風景です。×木月製作


    ▲3日目(2/9)の茶席風景です。麗茶×白茶果工作室


    ▲4日目(2/10)の茶席風景です。by新井宗利


写真展期間中に、沢山のご来場が嬉しかった一方で、ご来場の皆さま1人1人のご感想が気になっていました。

そんな不安もある中、たまに出会ったこの風景は、沢山のご縁が運んでくれた幸せを代表してくれたものです。

この2人の素敵な笑顔は、展示を通して沢山のご縁を繋げた私自身の感動の気持ちを蘇らせます。


    ▲会期中に茶道具を出品してくださった木月製作と写真を取り合っていましたw

写真の力に目覚めたのはごく最近のことです。シャッタースピードと絞りを調整していく楽しさを覚えました。

芸術写真のレベルではなく、私は記録と宣伝という目的で写真を考えていますが、自分らしさを出せる写真は撮りたいです。まだまだです。



    ▲芳名帳はsaorinさんのご指導によって作りました!

最後に、写真企画室 ホトリという空間と、室長saorinさんのご活動がなければ、ここまで形にできなかったと思います。写真関係で会期中にいらしていただいた八木香保里さんとナダールギャラリーの早苗先生にもお世話になりました。巡り会いに感謝しています。


沢山の感動はこのシャッターとともに、心の中に閉じていました。

それをこれからどう活かすかは、日々の課題です。