飲水思縁〜台湾華語・台湾茶人文教室準備中 -10ページ目

飲水思縁〜台湾華語・台湾茶人文教室準備中

飲水思源とは中国語の四字熟語で、
水を飲んで、その源に感謝の気持ちを抱くということです。

お世話になっている日本で、
生まれ育った台湾の良さを伝えていくことをライフワークにしています。

華 涵 翠 感想1) 流れる縁を繋ぐ……
華 涵 翠 感想2) おもてなしの勉強……
 
ご縁に感謝するという気持ちと、おもてなしで勉強になったという気持ちをテーマに、これまで華涵翠茶会の感想として記しました。
 
この記事では、華涵翠茶会を機に、茶人のあるべき姿について再考することを目標に書いていきたいです。
 
茶があらゆる表現の中で、異色を放っています。理由はその特性について、茶という媒体を介し、主客が味覚的に共通事項を持つことができることにあります。
 
テーブルのしつらえから、茶芸(いわゆるパフォーマンス)、トークまで、全部が1人の中で一体化にならなければなりません。
 
あとから3人の淹れていたところの写真を見せていただきました。実に見惚れたり、見て身を引き締めさせたりする写真に出会えました。お客様もこう、3人のことを眺めてくださったと思うと、とても嬉しいです。
 
 
    ▲智翠さん。ご参加の方撮。
 
知り合った当時から、智翠さんの茶芸に魅了され続けてきました。この写真も私にとって、芸を見惚れてしまった一枚です。
 
それだけではなく、智翠さんの表情から、淹れ手・茶人であるべき、茶を愛する心も感じました。穏やかで美しい芸を見せてくれて、芸を見る側としても喜びます。
 

 

▲一華さん。小鳥茶楼撮。

 

一華さんも実にファンが大勢いらっしゃる茶人です。美しさと、男前のかっこよさが、所作に満遍なく表れています。

 

茶芸をする前の打ち合わせも感じましたが、目標設定を具体的に考えていらしたところは、全身の力を込めて、茶という表現と向き合っている、と。

 

 

▲私ルハン。小鳥茶楼撮。

 

自分を見ることが恥ずかしいですが、2月主催した写真展を経て、色々手伝ってくれた木月製作さんの言葉を思い出します。「ルハンはいおうとする言葉を真摯に噛み砕いて真剣に茶席を臨んでいる」という話でした。

 

自分のことは、さすがに智翠さんと一華さんを見たように、評価できませんが、周りの力を借りて、考えが寄らなかった自分も見つめてみる、というのは、茶人として、今の自分自身と向き合っていく最適な心構えと考えました。

 

 

私たちにとって、茶淹れは非日常ですが、閒茶さんにとって日常の茶をここまで気を配ってくださり、今回の運営を通して、閒茶さんのことも尊敬しています。茶人の姿もまた一つ見せてくれた気がします。

 

お蔭様で、私はお3方を見習いながら、実りのある感想にたどり着くことができました。是非今回を機に、これからも茶のことを盛り込んでいきましょう!

 

3回に分けた感想文も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

そして、この8月に茶の発信活動が、まだ続いています。

 

華 涵 翠 感想1) 流れる縁を繋ぐ……
 
華涵翠(はなみどりをふくむ)茶会の前編では茶縁に感謝する気持ちを綴りました。この文章で、茶会主催の一員である自分は、この会を通して、どれほどおもてなしのことを見習い、ヒントを得られたかについて、感想をつづりたいと思います。

【閒茶】

素敵な空間と道具を貸してくれた閒茶さんが茶芸館店主としての優しいお人柄にまず感謝したいです。閒茶さんがいなければ、おそらくこの茶会はここまで円満に遂行することができなかったでしょう。
 
閒茶さんの茶会も素敵そうですし、巷で話題な持ち寄り茶会もよく閒茶を貸しきってやっているようです。今、注目の茶芸館ですね。閒茶さんの空間造営や、茶器・茶葉のセレクトを見ながら、色々勉強になった気がします。
 
閒茶店内に、ちょうど三つのテーブルがあります。私はなんとなく窓際のソファ席設営に挙手しました。智翠さんは入り口から入ってすぐ見える大きなテーブルで、一華さんは間の窓辺の中間くらいのサイズのテーブルという場所設定でした。

【智翠席】

事前の打ち合わせは細部のテーブルレーアウトについてまでしていなく、当日になって蓋を開けた感覚でしたが、私は特にスケール感のある智翠さんのしつらえから、所々おもてなしの心を感じました。
 
 
ご参加の客様に撮っていただいた一枚です。

智翠さんの活けた蓮も穏やかなスケール感を見せてくれたし、大きなテーブルだったが、しつらえに無駄なく、色々遊び心を見せてくれました。

おもてなしは特に茶菓子のセレクトと盛り付け方に反映しているように思います。
 


智翠さんのフルーツ羊羹と、夜の湖に泳いでいる魚のお干菓子は、素晴らしい組み合わせでした。

 


第三部、同じ智翠さんの席でこのように練り切りをもてなしてくれました。素敵で智翠さんらしいしつらえでした☆


中国茶はともかく、煎茶道や、和のことも造詣深い智翠さんのしつらえに脱帽しています!


【一華席】


前編もちらりとご紹介しましたが、一華さんの書マットにたくさんのファンがついています。



今回は私の自作漢詩三首を書にしていただけて、光栄に思っています(*^^*)このスタイルこそが、一華流のおもてなしの一つとして考えられます。なかなか真似することができません。

 


一華さんの盛り付け方も、一華さんならではの独特な雰囲気を醸し出しています。団扇も由来があるそうですが、また今度それについてお伺いすることができればと思います!


一華席のお菓子について、1枚目は蒸しどら焼きで、2枚目はイチジク羊羹です。どちらも美しい姿でありながら、美味しいお菓子でした!


【ルハン席】


少々話が逸れます。


以前、グループ式の合同茶会に参加した時から、こういう茶会は味覚体験になるべく控え目にするほうが、三席回っても飽きが来ないのではないかという配慮だけは、私の中にありました。


今回、私のおもてなしについて、控え目が念頭にあったと思います。


 

 

    ▲琥珀糖。×文山包種茶


    ▲パイナップル羊羹。×日月潭紅茶 紅玉

 


    ▲カカオ羊羹。×阿里山仏手


茶のライナップを先に決めたところ、わりとお菓子もすぐに決めました。

日月潭のイメージで、茶畑訪問が印象深かったので、茶席や服装で出した緑がそれを想いながら作りました。お菓子についても緑という色に合わせられる爽やかな雰囲気を出すことができればと思います。

思惑通りに、感じていただけたのでしょうか。

とにかく、智翠さん、一華さんお二人のサービス精神を目の当たりにして、とても勉強になりました!また、自分自身のことを振り返るのも、これから調整していくための大切な資料を残している気がします。まだまだ勉強中の身ですが、私は今回、自分の仕事に満足し、お二方のお仕事からも色々ヒントを得られました。

繰り返しになりますが、閒茶さん、智翠さん、一華さん、お越しいただいたみなさま、ありがとうございました!この記事を書くにあたり、画像を提供いただいたみなさまにも感謝しています。

この次は最終編で、華涵翠茶会を経て、茶人としてのあるべき姿と心構えについて、考えてみたいと思います。

寒泉 瓦銚 流るる縁を繋ぎ、
筆を弄びて茗を煎じて 蕾を含むが若し。
猫囒幽径 故人を見、
海を隔たり 道を求めて 終に悔やまず。
 
寒泉瓦銚繋流縁、
弄筆煎茗若含蕾。
猫囒幽径見故人、
隔海求道終不悔。
        自作「日月潭詠茶自娯」
 
先日日曜日に一華さん、智翠さんと合同の「華涵翠」(はな みどりをふくむ)茶会を終えました。3部制で、計9回の茶淹れに、お客様のたくさんの笑顔を見せていただき、たくさんの話を交わすことができました。
 
その茶会のために、三人の亭主に対し、私はそれぞれのイメージで漢詩を作りました。冒頭に掲載しているのは、自分のことと日月潭への思いを詠じた詩でした。
 
日本語訳もご紹介します。一句目は「茶を淹れる冷ややかな湧水(寒泉)と陶器の湯沸し(瓦銚)で流れていく縁を繋いでいる」ことを示しました。二句目は「文章力(弄筆)も茶淹れ活動(煎茗)もまだ蕾みのようだ。」三、四句目は「人気の少ない日月潭の貓囒山歩道に新井耕吉郎(故人)の銅像を見て、私も彼のように日本と台湾を跨いで、茶の道を貫く意志を持っている。」と自分の志を日月潭の体験で述べてみました。
 
このブログタイトル「飲水思縁」でもわかるように、茶にまつわるご縁が私にとって大きなテーマです。「流れる縁を繋ぐ」はその延長線上に、漢詩で茶の活動を表現した語句です。今回も30名近くのお客様に台湾茶を振舞うことができて、その表現の余韻を肌で感じました。
 
ご縁というと、自分の中で、主客の間のやり取りが勿論大事ではありますが、今回は茶の専門家のお二方との共同茶会という意味でも、めぐり合ったご縁を強く感じました。
 

 

  一華席。

 

一華さんは中国茶アーティストという肩書きを持っているくらい、その才能溢れた芯の強い表現力に魅了され続けたファンがたくさんいらっしゃいます。

 

お茶席ではいつも漢詩を書にして、ティーマットを作っておられて、それをご自身のテーマとして望んでいらしますが、今回は私が作った三首の漢詩を、そのスタイルでデビューさせました。

 

今回の団扇で納涼させる発想も素晴らしかったです。

 

 

  智翠席。

 

2014年に智翠さんと知り合ってからずっと何か一緒にやりたいと話し合ってきました。企画の段階で、色々考えてくださり、まとめ役をしてくださったことで、すんなり進むことができました。

 

智翠さんが茶を淹れると、穏やかで、どこかかっこよさを感じる一方で、淑やかさも感じています。しかし、またどこか抜けていて、その抜けているところがまたかわいらしさというか、智翠さんのいいところです。

 

今回はお蔭様で3人のコラボレーションを実現できて、とても良かったです。

 

image

 

  ▲ルハン席。

 

9回の茶淹れにたくさんの話題に出会えました。私もお客様たちの感動されたご様子に癒されました!


「流れる縁を繋」いでくれたのは、茶の力ではありませんか。

 

ひとまず、ご一緒の一華さん、智翠さんと、場所・道具を貸していただいた閒茶さんに感謝の意を申し上げます。

 

この最初の感想では縁に感謝する気持ちを綴ってみました。「華涵翠」茶会の話、また続きます☆