▲お茶会にいらしたお客様にお渡ししたお土産。ツバメおこわさんからは干しバナナと手作りの緑豆ケーキ。私からは白鷺紅茶とマジック棒。
ツバメおこわ店内で一回目の茶会を経た後は、ほぼ閉店までいました。店内にある、店主Hさん一押しの『無能の人』を完読しました。
インタビューもざっくり読んだけど、ただ唐木順三の『無用者の系譜』から影響を受けていることは、確かに目にとどまりました。改めて、文人気質や文人墨客について、考えさせてくれました。
かといって、「文人」は、日本と中国、それぞれ時代ごとに、違ったイメージで捉えられています。
煎茶道の言葉で、文人茶という語が日本語に存在してます。修士論文も「文人の茶」を取り上げたのは、中国茶文化が日本人の中で、文人趣味に連想させることは多い気がしてきたからです。
かといって、「文人」は、日本と中国、それぞれ時代ごとに、違ったイメージで捉えられています。
煎茶道の言葉で、文人茶という語が日本語に存在してます。修士論文も「文人の茶」を取り上げたのは、中国茶文化が日本人の中で、文人趣味に連想させることは多い気がしてきたからです。
まとまりのある知識・スタイルへは模索中なんですけど、とりあえず、今回のお茶会で、茶文化のことも触れてみました。
まずは『雲林遺事』の蓮茶に関する記載です。
倪雲林ことだった倪瓉は元代の有名な文人画家でした。変人で潔癖症だった人であり、また有名な茶人・グルメでした。彼の発明した蓮茶の飲み方がベトナムに伝わり、今も継承されています。
日本と中国もそうですが、ベトナムと中国も古くから文化を共有してきたことに、何らかのご縁を感じました。
そして、ベトナムの有名な愛国詩人である阮廌(グエン・チャイ)「乱後到崑山感作」をご紹介しました。
崑山は現在のハイズオン省にある地名です。ハイズオン省は現在のハノイまで50キロくらいのところで、阮廌の故郷でもあります。
がん聯(3,4句目)は、
「林泉有約那堪負、塵土低頭只自憐。」
(山林に隠棲する誓いを、破るつもりはないが、
結局は俗世間で生きながらえてきたことを、我ながら哀れに思う。)
とありますように、阮廌のこの詩には、隠逸思想と愛国思想が一体化になっていることを、面白く感じました。
Hさんの手の空いているとき、ベトナム語で詩を読んでもらいました。
僅かだけど、ベトナム語と現代中国語の共通性も感じます。
さらに、文徴明の「虎丘春遊詞十首、その六」をちらりとご紹介しました。
明代では、虎丘が有名な茶産地とともに、文人たちの集う文化スポットでした。
最後に、連横の「茶、その一」を取り上げたんだけど、茶文化への入門する詩といえるものでしょう。
後半は、
「衆中陸羽今何在、把臂同來辨渭涇。」
(仲間に陸羽のような人物が居たならば、
手をたずさえて、水の善し悪しを判定しに行きたいものだ。)
と、陸羽が名水をランク付けたことについて書かれました。陸羽は『茶経』を書いたことで有名だけど、『茶経』の中で名水のランクが見えません。それは張又新の『煎茶水記』に、陸羽が口述したランクが伝えられてます。
以上の漢文訳は、大学院でお世話になっている高橋忠彦先生が添削してくださったものです。
お茶会一回目の8月15日は、ちょうど70周年の終戦記念日でした。偶々だったんですけど、この会で茶文化を通して、台湾とベトナムの似た運命も感じました。
うまく言葉にできないけど、私は日本、中国、台湾のことを考えるだけでなく、このご縁をきっかけに、これからベトナムも視野に入れて考えるようになりました。
▲最初の文章は何度も読んでいて、やっと消化できた論文集。バリバリと修論を仕上げます。
今は本業の学問のことを考えるたびに、弱気になってる私です。だけど、長い人生の座標軸で考えれば、修論は27歳を迎える一つの点に過ぎないのではないんでしょうか。
今の私は、「茶文化から見た文人意識」、だけに注目すればいいです。
いつか、私は単純な一直線で進めなくなるかもしれません。
その時にも、学問への好奇心は長い人生の座標軸みたいで、終わらないことを覚えなくてはいけません。
今、家族や色んな人に支えてもらえることは、幸せで贅沢さえ感じた気持ちも決して忘れられません。
ツバメおこわの店主Hさん、漢文訳を助けてくださった高橋先生、素敵な画像をくださった村上さん、ご参加の皆様、ありがとうございました!
*茶譜×メニュー*
序 ベトナムの蓮茶×台湾産蓮の実の砂糖漬け
一 2015杉林渓烏龍 春茶×バイン・イット・チャン(bánh ít trần)
二 2013原始林烏龍 冬茶×ミルキーチェー(chè khúc bạch)
三 2014蜜香紅茶 瑞穂郷公所コンテスト銅牌賞×南国バナナのもち米包み焼き(chuối bọc nếp nướng)
*茶文化プログラム*
序 『雲林遺事』(蓮茶)
一 阮廌「乱後到崑山感作」
二 文徴明「虎丘春遊詞十首、其六」
三 連横「茶、其一」
*BGM(二回目のみ)*
Suede - Dog Man Star
*ツバメおこわ さんのご報告*
お茶会一回目のご報告☆→♪
☆お茶会のご報告☆→♪♪
*Special Thanks*
高橋忠彦先生(東京学芸大学大学院教授・漢文訳の添削)
村上清子さん(ツバメおこわのお客様・蓮の写真提供)
*茶会にいらしてくださった方の記事をリンクさせていただきます!ご参加いただき、ありがとうございました。
おうち茶館
文字の力に憧れている茶友です。茶文化について考えて思ったことを共感できて、嬉しかったです。
俳茶居
知的なセンスに満ちたベテラン茶友です。今回ご紹介した人物について、さらに調べてくださいました!

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