昭和時代まではそこそこ年金保険料を返してもらえたのに、どうして返還不可にされていったのか。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちはー

年金アドバイザーのhirokiです。
 
 
・まぐまぐ大賞2021語学資格部門2位と知識ノウハウ部門3位のダブルで頂きました(6年連続受賞)
本当にありがとうございました。
https://www.mag2.com/events/mag2year/2021
 
山口県阿武町の誤送金事件で、振込金を使った容疑者が逮捕されましたよね。
本当にお金が残ってないのか気になっていましたが、ニュースで公開された口座残高記録を見たらスッカラカンになっていました^^;

たった10日間ほどの間に4600万の大金をギャンブルに使ってしまったようで…

 

いやホントとんでもない人間だなって思いました。

 

やはり大金を持つ器の無い者に大金が振り込まれると、そうもあっさりと使い果たしてしまうんだなって思いました。

結局、器が無ければすぐに湯水のごとくお金が消え去っていく。

 

誤送金なんていうのは今後絶対に起こらないように管理を徹底しないとダメですが、振り込んでしまったのがとても不運な相手であったことが、いろいろ不運が連鎖してしまった形になってしまいましたね。

 

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では本題です。
 
時々、年金なんてアテにしてないとか、どうせ貰えないだろうとかそのような声があったりします。
 
だから今まで払った保険料を返してもらいたいと思う人も居ます。
 
 
それは可能なのかというと、現制度ではよっぽどの例外を除いて不可です。
99.9%くらい不可。
 
現制度ではほぼ不可なんですが、ひと昔前までは割と過去に支払った保険料を返してもらうという事がよくありました。
 
 
でも、もうそういう事は廃止していったんですね。
 
 
 
え?!返してもらえたのなら、今の時代も返せるようにすべきだ!って言われそうですね^^;
 
 
 
しかし、安易に返還できるようにしておくと今の時代では不都合なんです。
 
過去に払った保険料を返還するという事は、将来は年金としては貰わないよ!っていう事ですが、今の時代に年金は貰わないとしたらどうでしょうか。
 
 
男女ともに寿命が80歳以上が平均的であり、そろそろ女子は平均90代に突入しそうなほどの長生きが珍しくないですよね
 
 
いつまで長生きするか本当にわからない。
 
 
 
生きるという事はその間はお金が必ず必要になります。
 
 
 
長生きできるという事は素晴らしい事ですが、反対に長寿化が進むという事は働く事が困難になっていき、収入を得られない事になっていきます。
 
 
そうすると年金が無い中で、どうやって収入を得るのでしょうか。
 
 
 
もちろん中には他に収入があるし貯金もいっぱいあるし、家族も助けてくれるし大丈夫だよ!という人も居るでしょう。
 
 
しかしながらそれは少数派であり、ほとんどの人はそういうわけにはいかない。
 
 
年金収入を得ている人の内、約48%の高齢者が年金のみで暮らしています。
 
 
年金が無ければ生活が成り立たなくなってしまう。
 
 
 
しかしながらどうして、現代は年金が無ければ生活するのが困難な社会になってしまったのか。
 
 
 
それは戦後急速な高度経済成長と共に、核家族化が進んでいったからです。
 
 
 
昔は高齢者は自分の子供が将来は面倒見てくれるという、私的扶養の家庭が一般的でした。
 
 
ところが子供が地方を離れて農業をやらなくなり、都会に出てサラリーマンとして工業に従事していくようになると、残された両親は老後の生活をどうしていいのかわからなくなりました。
 
 
そうすると子供が面倒見てくれないから、代わって国が年金を支給して面倒を見るしかなくなったのであります。
 
 
時代は私的扶養から、社会的扶養に移行していきました。
 
 
 
このような中で、まだ年金がそこまで整備されていないかった昭和30年40年あたりは、今まで支払った保険料を返して将来は年金を貰わないという事もできてはいたんですが、時代が変わろうとしているのに年金が貰えないというのは危険な事であると判断されました。
 
 
高齢になった時に、昔みたいに子供が面倒見てくれるという家庭が少なくなっていく中で、両親が高齢になった場合の収入を確保するためにはしっかり年金として貰えるようにした方がいいと。
 
 
 
よって、支払った保険料を返して年金は諦めるという制度は昭和61年4月以降は大原則として廃止されました。
 
 
 
本当は国民年金が始まった昭和36年4月以降は廃止したかったんですが、保険料を返してもらえない事に反発する人達もいました。
 
 
それは特に女性からです。
 
 
 
女性は昭和といえば結婚したらもう退職して、その後は家庭に専念して再就職はしないというケースがザラにありました。
それが普通の状態だったわけです。
 
 
寿退職すると、将来の年金受給資格期間(現在は最低10年ですが平成29年7月31日までは25年必要だった)を満たさずに退職してしまう女性が多くいました。
 
その後は再就職なんてしないのが普通だったので、年金の受給資格期間を満たさずにそのまま払い損になってしまうわけです。
 
 
 
女性が将来年金を貰うという事は例えば厚生年金なら、約10%ほど(男性は70%くらい)の人しか受給できないものだったので、女性の退職後は今まで支払った保険料を返してもらおうという事が比較的簡単にできるようになっていました。
 
 
割と女性にとっては、退職後にまとまった保険料が退職金のように支払われていたので、有難がられていました。
 
 
 
ところが国としては将来は年金として貰って欲しいので、そういう過去に支払った保険料を返すというのは廃止していく方向にしていきました。
 
 
本当は国民年金が始まった昭和36年4月に廃止する予定だったのが、昭和61年3月31日まで廃止されなかったのは女性からの反発が強かったため当分の間は保険料を返せる制度を残していたわけですね。
 
 
 
 
よって、歴史的な事情から話してみましたが、保険料を返してもらうという事は現在では不可です。
 
今回話したように、だいぶ昔までは保険料を返す仕組みはありましたが、それは主に寿退職した女性のためにあったような制度だったんですね。
 
 
とはいえ、核家族化により老後の面倒を見てくれる子供が都会に行っちゃう時代になっていったから、国がしっかり年金を支払って老後の面倒を見るために保険料を返すような事はやめたという流れがあったわけです。
 
 
 
保険料を安易に返してしまうと、老後がとんでもなく困難な状況になってしまうからですね…^^;

 

 

(昭和36年4月の国民年金が始まった時に、どのようにして年金を貰いやすくしたのかの経緯は詳しくは6月22日の有料メルマガで解説します。そこは今の年金の原点のような部分なので非常に重要)



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5月25日の第243号.単純に行方不明になって生存がわからない場合と、船などの事故で生存が不明な場合の遺族年金の事例。

6月1日の第244号.創設から早い段階で危機に陥った国民年金と、15年かけて国民年金を約4割引き下げた過去(1)

6月8日の第245号. 創設から早い段階で危機に陥った国民年金と、15年かけて国民年金を約4割引き下げた過去(2)

6月15日の第246号は、「昔とは時代が大きく変化したために欠かせないものとなった年金や介護保険と、旧年金制度を絡めた年金事例」

5月4日の第240号は「65歳前後で別物の年金になってしまった経緯と、厚生年金が大幅に増えたり減ったりして驚くケース」を発行しました。

5月11日の第241号は、「年金受給者の退職改定と、65歳以上の人が在職し続ける間の1年ごとの年金額変更」を発行しました。

5月18日の第242号は、「障害基礎年金受給者が老齢の年金受給を遅らせる場合と、繰下げを断念した時の新たな取り扱い」


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