配偶者が65歳になったら、逆に私の年金が増える事になったのは… | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは。

年金アドバイザーのhirokiです。
 
 
・まぐまぐ大賞2021語学資格部門2位と知識ノウハウ部門3位のダブルで頂きました(6年連続受賞)
本当にありがとうございました。
https://www.mag2.com/events/mag2year/2021
 

現在の年金制度では、これから年金を貰おうとする人の多くは65歳からの支給となっています。
 
ただし、昭和36年4月1日以前生まれの男性(現在は61歳以上の人)や昭和41年4月1日以前生まれの女性(現在は56歳以上の人)で、1年以上の厚生年金期間(未納期間を除く、全体で10年以上の年金記録がある事)を有してる人は65歳前から老齢厚生年金が受給できたりします。

 
厚生年金は以前は60歳から受給できるものでしたが、昭和61年4月1日の改正以降は65歳からの支給にしますという事が決まって、平成13年度から徐々に引き上げが始まってもうすぐ完全に65歳になろうとしています。
 
 
2030年以降は、原則としてはもう65歳前から新規に老齢の年金を受給できる人は居なくなります。
 
 
さて、65歳からは本格的な年金受給が始まりますが、過去の厚生年金記録により老齢厚生年金と、過去の国民年金加入記録により老齢基礎年金の支給が始まります。
 

それらの年金をベースにして、配偶者が居る人には自分の老齢基礎年金に振替加算というものが付く事があります。
 
振替加算というと自分が65歳になると加算される場合があるという認識が持たれていますが、必ず加算されるわけではありません。


条件として簡単に言いますと、
1.配偶者に配偶者加給年金が付いていた事
2.本人に厚生年金期間(共済期間合わせて)が20年以上無い事
3.65歳到達時に配偶者に生計維持されていた事
4.本人が昭和41年4月1日以前生まれである事
 
という条件が必要です。

例えば夫が65歳で妻が63歳ならば、多くは夫65歳時に老齢厚生年金支給と共に加給年金の支払いが始まります。

その後は、妻が65歳になると夫の加給年金は消滅して、そのタイミングで妻の生年月日に応じた振替加算が自動的に妻の老齢基礎年金に加算されます。

これは基本パターンですが、ちょっと今回は振替加算の1例を見ていきます。

そういえば振替加算が昭和41年4月1日以前生まれの人にしか付かないのは、不公平だ!って言われる事がありますがそこは昭和61年改正から話さないといけないのであらためて有料メルマガ(7月6日分予定)のほうで解説したいと思います^^;
 
 



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1.昭和32年5月生まれのA男さんは現在は65歳となります。

 

・1度マスターしてしまうと超便利!(令和4年版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法。

https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12719286156.html

 

・絶対マスターしておきたい年金加入月数の数え方。

https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12649134483.html?frm_id=v.jpameblo&device_id=7cd95ce704ad47c5b63603dfd93ac9f2
 
 
過去の年金記録は18歳から59歳までの41年間は厚生年金期間とし、120万円の老齢厚生年金を受給。
 
更に20歳から59歳までの39年間で計算した老齢基礎年金758,355円を受給。
 
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※補足
20歳から60歳前月までの40年間はどんな職業の人も国民年金に加入してるので、サラリーマンや公務員などの厚生年金加入者は同時に国民年金に加入しています。
だから、国民年金から老齢基礎年金が支給されます。
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なお、A男さんは33歳(平成2年)の時に結婚した妻B子さんの生計を維持していました。
生計を維持するというのは、生活の面倒を見ているとかいう意味とはやや異なり、住民票が同じでB子さんの前年収入が850万円未満の場合を生計維持していると言います。
 
 
厚年期間も20年以上あったので、A男さんの老齢厚生年金に配偶者加給年金388,900円が加算される予定でした。
 
 
加給年金が加算されれば、65歳からのA男さんの年金総額は2,347,255円です。
加算が無ければ1,958,355円。
 
 
2.次に妻B子さんは昭和28年2月生まれの69歳です。
 
20歳になる昭和48年2月から昭和52年3月までの50ヶ月間は厚生年金に加入して働きましたが、結婚を機に退職しました。
退職したので今まで加入して支払ってきた厚生年金保険料は返還してもらう請求をして返してもらいました。
 
女子の昭和53年5月30日までの退職の場合は、2年以上の厚年期間があれば納めた保険料は返還してもらえました。
 
この50ヶ月はカラ期間。
 
 
昭和52年4月から昭和58年6月までの75ヶ月間はサラリーマンの専業主婦になり、国民年金保険料を強制的に納める必要はありませんでした(カラ期間)。
 
 
昭和58年7月に当時の夫が亡くなり、厚生年金から遺族年金を平成2年5月までの83ヶ月間受給しました。
遺族年金を受給した昭和58年7月から昭和61年3月までの33ヶ月間は任意加入でしたが、加入せず(カラ期間)。
昭和61年4月からは強制加入となりましたが、平成2年5月までは未納とします。
 
平成2年6月にA男さんとの再婚で遺族年金は消滅し、A男さんが59歳で退職する平成28年4月までの311ヶ月は国民年金第3号被保険者期間となりました。
 

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※参考
昭和61年3月までの厚年からの遺族年金受給者をなぜ国民年金に強制加入させなかったのか?
昭和61年3月までの年金制度は、厚年や共済からの遺族年金を受給できるならばわざわざ国民年金に加入させて年金の保障をする必要は無いと考えられていたから。

しかし、遺族年金は再婚などすると消滅するので、昭和61年4月になると確実に自分の年金を貰えるように遺族年金受給者であろうと国民年金に強制加入とした。
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B子さんは69歳現在は老齢基礎年金を受給しています。
 
 
・B子さんの老齢基礎年金→777,800円÷480ヶ月×311ヶ月=503,950円(月額41,995円)
 
年金は偶数月に前2ヶ月分を支払うので、偶数月の15日に83,990円の振り込み。
 
 
ちなみに昔、厚年に加入した期間は保険料を一時金で返してもらっているので年金にはなりません。
50ヶ月+75ヶ月+33ヶ月=158ヶ月のカラ期間は年金には反映しません。
 
 
さて、B子さんはもうずっとこの年金額であると思っていましたが、何やら加算するから手続きしてくださいという通知がA男さんが65歳になって以降に来ました。
 
 
すると令和4年5月の翌月である6月分からは、B子さんの老齢基礎年金に振替加算68,707円(B子さんの生年月日による)が加算される事になりました。
 
振替加算は昭和41年4月1日以前生まれの人にのみ付く加算。
 
※加給年金と振替加算額(日本年金機構)
 
そのため、令和4年6月分からの年金は老齢基礎年金503,950円+振替加算68,707円=572,657円(月額47,721円)となりました。
 
偶数月の振り込みも95,442円にアップです。
 
 
 
このように、自分自身が65歳になると本格的に年金が請求により受給開始となりますが、配偶者が65歳になる事でそのタイミングで年金が増加したりするので夫婦お互いの年齢も気にしておいた方がいいですね^^
 
 
※追記
前年収入+公的年金収入≦781,200円であり、非課税世帯の場合は令和元年10月以降に年金生活者支援給付金が支給されるようになりました。
ただし、B子さんは住民税非課税世帯ではなかったものとして、加算は付けていません。
 
もし年金生活者支援給付金が付くのであれば、5020円÷480ヶ月×311ヶ月=3,253円(年額39,036円)が加算されます。
 
給付金は毎年所得審査をして、10月分以降に給付金額が変更されたりします。
 
※年金生活者支援給付金(日本年金機構)
 
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まぐまぐ大賞2020・2021受賞。
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6月1日の第244号.創設から早い段階で危機に陥った国民年金と、15年かけて国民年金を約4割引き下げた過去(1)

6月8日の第245号. 創設から早い段階で危機に陥った国民年金と、15年かけて国民年金を約4割引き下げた過去(2)


6月15日の第246号は、「昔とは時代が大きく変化したために欠かせないものとなった年金や介護保険と、旧年金制度を絡めた年金事例」

6月22日の第247号は、「年金は比較的貰いにくいものだったのに、どのように変化しながら貰いやすくしていったのか」。


6月29日の第248号は、「そんなに年金保険料を納めていないのに、こんな事で貰える資格を満たした事例3つ」

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※2022年5月発行分

5月4日の第240号は「65歳前後で別物の年金になってしまった経緯と、厚生年金が大幅に増えたり減ったりして驚くケース」を発行しました。

5月11日の第241号は、「年金受給者の退職改定と、65歳以上の人が在職し続ける間の1年ごとの年金額変更」を発行しました。

5月18日の第242号は、「障害基礎年金受給者が老齢の年金受給を遅らせる場合と、繰下げを断念した時の新たな取り扱い」を発行しました。

5月25日の第243号.認知症などで家族が失踪してしまった場合と、船の事故で生存がわからなくなった場合の遺族年金事例。

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