こんにちは。
年金アドバイザーのhirokiです。
・まぐまぐ大賞2021語学資格部門2位と知識ノウハウ部門3位のダブルで頂きました(6年連続受賞)。
本当にありがとうございました^^
https://www.mag2.com/events/mag2year/2021
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65歳から支給される老齢基礎年金と老齢厚生年金は、受給を遅らせる事で年金を増やす事が出来ます。
これを年金の繰下げといいます。
ここ数年は特に話題沸騰ですよね。
遅らせる事が出来るのは65歳から70歳までの60ヶ月間が最大です(現在は)。
65歳から1ヶ月遅らせるごとに0.7%ずつ増えるので、60ヶ月間最大で使えば42%年金が増える事になります。
まあ、65歳時の年金が100万円なら70歳時には142万円という事です。
なお、1ヶ月遅らせれば0.7%ずつ増えるとはいえ最低でも66歳到達日(誕生日の前日)までは必ず待つ必要があります。
65歳から66歳までの1年間は最低でも待つ必要があるという事ですね。
例えば65歳7ヶ月だと7ヶ月間遅らせていますが、7ヶ月間増額させる事はできません。
65歳時に遡って年金が貰えるだけとなります。
さて、令和4年4月1日からは昭和27年4月2日以降生まれの人は最大75歳までの120ヶ月間を繰り下げる事が出来る事になります。
そのため最近はよく話題になっていますよね。
例えば65歳時の100万円の年金が75歳時には184万円になるのでその増額幅は非常に大きいものとなります。
現代は多くの高齢者の人が60歳以上どころか、65歳以降も働く人が多くなりました。
65歳以上の男性の60%近くが働いており、70歳以上の人が40%ほども働いています。
なので、年金世代となってもまだ働いてるから年金はしばらくは必要ないという人が増えてきたというのもあります。
しばらくは年金が必要ないから、その間は年金を貰わずに働こうという人もいるので、好きな時に年金を受給できるようにしたというのもありますね。
65歳から75歳までのうちに好きな時に年金を受給していいですよと。
遅らせた場合はその分増やして受給できるようにしましょうと。
働く高齢者が多くなったので、年金の受給するタイミングもそれぞれ好きな時を選べるようになったわけです。
しかしながら、この年金の繰下げはそもそもそんなに利用できる人は居ませんでした。
全体の2%弱の人しか利用していませんでした。
今は高齢者雇用が盛んなので、働いてる間は受給せずに年金受給を後回しにする人が増えてくるでしょうから、繰下げ受給する人は昔よりも増えるでしょう。
ただ、受給を遅らせるだけと思っていると、期待通りにはいかない事があります。
特に夫婦とも高齢の場合はちょっと気を付けたほうがいいですね。
なぜなら遺族年金が発生しやすい年代だからです。
遺族年金と何が関係あるのかというと、例えば65歳から老齢の年金を繰下げするために遅らせていた人が、その間に配偶者が亡くなって遺族年金が発生するとその時点でもう年金は増やせないからです。
遺族年金を受給できるようになったから、まだしばらくは老齢の年金を貰うのを遅らせて増やそう…と思ってしまいそうですが、そういう事は出来ないんですね。
遺族年金を貰いながら老齢の年金を増やすというのは、年金で年金を増やすような状態になってしまうから(障害年金も同じ)。
よって、配偶者が亡くなった場合の事も頭に入れておく必要があります。
というわけで少し事例。
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1.
昭和28年6月5日生まれのA子さん(現在は68歳)は、65歳から老齢基礎年金50万円と老齢厚生年金30万円を受給できる予定でした。
しかし、65歳以降もパートを続けており、配偶者であるB夫さん(昭和23年8月15日生まれの73歳)もまだ継続雇用として働いていました(70歳以上なので厚生年金には加入できない)。
B夫さんは65歳から老齢基礎年金70万と老齢厚生年金120万円を受給しながら働いている(厚生年金期間は20年以上あり)。
そのためA子さんはすぐに年金が必要というわけではなかったので、年金受給を遅らせている最中(繰下げ待機中)。
出来れば75歳まで遅らせて、年金を84%増額したいと考えている。
その間、令和3年12月4日に夫が私傷病で亡くなる。
A子さんの繰下げてる年金はどうなるのか。
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さて、老齢厚生年金受給者の夫が令和3年12月4日に亡くなったので、残された遺族であるA子さんは遺族厚生年金を受給する事が出来る可能性があります。
遺族厚生年金を受給できる遺族はB夫さん死亡時点で生計維持されていた、配偶者、子、父母、孫、祖父母の順で最優先順位者が請求できます。
遺族はA子さんと、成人してる子2人とします。
ただし、子や孫は18歳年度末未満の年齢でなくてはいけませんし、父母や祖父母は55歳以上でなければならないので、その時点で遺族年金を受給する遺族にならないので、配偶者であるA子さんが請求する。
なお、B夫さん死亡時点で、A子さんとは同居しており年収850万円未満だったので問題なし。
完全に別居で連絡する取ってないような配偶者だと、生計維持とはみなされずに遺族厚生年金は請求できない場合もある。
あと、A子さんの前年収入も850万円未満でなければならない(これ以上の収入の場合は遺族年金を原則として請求できない)。
それらの条件を満たすとして、受給できる遺族厚生年金はB夫さんの老齢厚生年金120万円×3÷4=90万円となります。
あと、A子さんは昭和31年4月1日以前生まれの人であり、亡くなったB夫さんの厚生年金期間が20年以上あるので、経過的寡婦加算58,592円(令和3年度価額)も加算される。
A子さんの遺族厚生年金は90万円+経過的寡婦加算58,592円=958,592円
なお、A子さん自身の老齢の年金は老厚30万円+老基50万円=80万円ですが、遺族厚生年金からA子さん自身の老厚30万円が引かれて支給される。
つまり、遺族厚生年金は958,592円ー30万円=658,592円となる。
よって、繰下げしない場合のA子さんの年金総額は老厚30万円+老基50万円+遺族厚生658,592円=1,458,592円(月額121,549円)
ところで、A子さんは自分自身の老齢の年金をまだ貰っておらず、繰下げ待機中でしたよね。
遺族厚生年金が貰えるし、もう少し頑張って老齢の年金を貰うのを遅らせようと思ったが、遺族厚生年金が発生した(死亡した)令和3年12月4日以降は遅らせる事は出来ない。
よって、65歳到達月(平成30年6月)からB夫さんが死亡する前月(令和3年11月)までの42ヶ月間の繰り下げ増額となる。
42ヶ月×0.7%=29.4%の増額となる。
A子さんの老齢厚生年金は30万円×129.4%=388,200円
老齢基礎年金は50万円×129.4%=647,000円となる。
A子さんの老齢の年金総額は老厚388,200円+老基647,000円=1,035,200円
あと、遺族厚生年金958,592円もありますが、この金額はA子さんの老厚388,200円が引かれて支払われる。
つまり、570,392円が遺族厚生年金となる。
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あれ?せっかく老齢厚生年金を30万円から388,200円に増やしたのに、その分さらに遺族厚生年金から引かれてしまう事になった!
つまり老齢厚生年金は30万円から388,200円に増やしても、遺族厚生年金からその分引かれるから増えた老齢厚生年金を貰う意味が無い。
30万円の時は遺族厚生年金は658,592円となって、総額は958,592円。
年金遅らせて388,200円になったら遺族厚生年金は570,392円となって同じく総額は958,592円。
こんな事なら最初から老齢厚生年金を貰っておくべきだった…という事になりますね^^;
そういう時はもう繰り下げ増額した年金は貰わずに、65歳時点の本来の額の年金を遡って貰う事が出来ます。
そうすると、繰下げしない老齢厚生年金30万円+遺族厚生年金658,592円+繰下げした老齢基礎年金647,000円=1,605,592円(月額133,799円)となる。
老齢基礎年金は遺族厚生年金から引かれる事は無いので、そのまま繰下げ増額を選択。
老齢厚生年金は65歳時点に遡って年額30万円(月額25,000円)で貰うから、42ヶ月間受給してなかった25,000円×42ヶ月=1,050,000円は一時金で貰う。
このように、老齢の年金を貰うのを遅らせている最中に、遺族厚生年金が発生するとその時点以降の繰下げは出来なくなるので注意が必要です。
特に女子の場合は自分の老齢厚生年金より、死亡した夫の遺族厚生年金のほうが高い場合がまだまだ多いので、老齢厚生年金の繰下げの効果が消されてしまう事が多い。
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1月5日第223号は、「年金は万が一の事態の大切な命綱!妻が遺族年金を貰い始めてから、妻が死亡するまで」
1月12日の第224号.「老齢の年金基礎事例による復習5つ」(いつもと違う形式の事例を用いました)
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