再婚したり事実婚になると遺族年金は消滅するが、事実婚はこの2つの条件を見る。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは。

年金アドバイザーのhirokiです。
 

コロナが始まってからより気になるようになったというか、世の中はなんだか物事を善と悪で考え過ぎてるんじゃないか?と思いました。

あらゆる事に正しさを決め、その主観的な正しさで、何かが間違ってると決めつける。
多くは社会の常識が善で、そうではないものが悪とみなされる。
 
なんでそんなに他人の都合に足を突っ込んで悪と決めつけるんだろう。
人間の悪いとこやね。
 
昔、西洋が東洋を劣った存在とみなし、東洋を侵略と植民地の対象とした構図の繰り返しになってしまう。
 
 
物事を深く思考できない人はすぐ大衆の声に煽動され、流されてしまう。

 
そういやこのGWも外出を自粛しなければならないとガッカリしてるかもしれないですが、こういう時こそ読書しましょう。
読書しない人はそもそも成長しない。
 

今回おススメなのは嫌われる勇気です。
 
とてもベストセラーになった名著でありますが、すべての悩みは人間関係からくる中で、どのようにこの生きづらい世の中を自分らしく生きるかの答えが詰まっています
 
課題の分離というのがありますが、世の中を見てて他人がどうすべきかの問題なのに、人の課題に介入してくる人が多すぎる。
だからなんでもかんでも善悪を決めつけて、無益な人間関係の争いが絶えない。
 
読みやすいし、非常に勉強になるので何度も何度もしっかり熟読する価値がある。
 
コロナ禍は自粛するだけでなく、学びの時です。
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では本題です。
 
老齢の年金は65歳になるとほとんどの人が貰う事になる年金ですが(4000万人程)、遺族年金も非常に受給者が多い年金です(500万人程)。
 
 
なお、制度的には遺族年金は男性にとても厳しいので、多くは女性が受給者となる事が多い。
 
さらに男性の方が早く亡くなる傾向にあるので、残された妻が貰うという流れになる。
 
 
遺族年金は65歳以降の人が貰う年金というわけではなく、普通に若い世代も受給者になる。
 
 
30代40代あたりで遺族年金を貰ってる人も普通にいる。
 
 
 
さて、若いうちに配偶者を亡くし、遺族年金を受給する場合にやや問題となるのが再婚。
 
 
再婚をすると貰ってる遺族年金が消滅してしまうので時々、再婚を取るか年金を取るか…という悩みが生じる場合もあるようです。
 
じゃあ正式に結婚はせずに事実婚なら大丈夫かというと、事実婚でも遺族年金は消滅する。
 
 
 
ところで事実婚というと同棲みたいなイメージがありますが、同棲=事実婚ではない。
 
 
 
事実婚の定義としては、お互いに結婚する合意があって(婚約してるとか)、かつ、夫婦としての共同生活の事実があると認められるのが事実婚。
 
 
だから婚約はしたけど、夫婦らしい共同生活の実態が無いなら事実婚とならない。
 
 
結婚するつもりが無い同棲や愛人関係などは事実婚にならない。
 
 
お互い結婚しよう!という婚約はしてるけど、それから夫婦共同生活としての実態を持つと事実婚となり、その時点で遺族年金は消滅する。
 
 
 
遺族年金が消滅するとは知らずに、慌てて事実婚を解消してもその事実があった時点で遺族年金は消滅し、その後に復活する事は無い。
 
たとえば年間120万円の遺族年金を貰っていて令和3年5月1日から事実婚が始まったが、その届け出をしてなかったまま令和5年5月分まで貰っていたら、貰い過ぎた240万円は返済してもらう事になる。
 
 
よって遺族年金を受給されてる方はその点も考慮した上で、再婚や事実婚をしましょう。
 
 
ちなみに再婚後に、再婚した夫(または妻)が死亡した時はその再婚した夫(または妻)から新たな遺族年金が発生する事はあります。
 
 
一応簡単な事例を。
 
 
1.昭和49年3月18日生まれの女性(今は47歳)
・(令和3年版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法!
https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12647918035.html?frm_id=v.jpameblo&device_id=7cd95ce704ad47c5b63603dfd93ac9f2

・絶対マスターしておきたい年金加入月数の数え方。
https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12649134483.html?frm_id=v.jpameblo&device_id=7cd95ce704ad47c5b63603dfd93ac9f2
 

20歳になる平成6年3月から国民年金強制加入となり、国民年金保険料納付義務が始まった。
 
平成14年8月までの102ヶ月間は国民年金保険料を全額免除していたが、平成14年9月にサラリーマンの男性と婚姻した。
 
そのため、平成14年9月から国民年金第三号被保険者になった。
 
 
平成21年12月31日に夫が交通事故で他界し、加害者からは損害賠償金(保険金)が支給され、年金機構からは遺族年金が請求により支給される事になった。
なお、遺族年金と損害賠償金は二重保障になるので、事故日から一定の期間(最長2年。平成27年10月以降の事故は3年)は遺族年金が停止される。
 

交通事故と遺族年金の調整事例は5月19日の有料メルマガで発行。
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妻の国民年金第三号被保険者期間は平成14年9月から、死亡日の翌日の属する月の前月までである平成21年12月までの88ヶ月。
 
 
夫死亡時点の遺族はこの妻と、6歳の子一人。
夫は厚生年金加入中に死亡してるので遺族厚生年金が支給となり、18歳年度末未満の子が居るので国民年金から遺族基礎年金も支給
 
なお、死亡までの夫の過去の平均給与は40万円とし、厚年期間は15年とする。
 
・妻への遺族厚生年金→40万円×5.481÷1000×300ヶ月(最低保障月数)÷4×3=493,290円
 
・妻への遺族基礎年金→780,900円+子の加算金224,700円=1,005,600円
 
 
平成21年12月31日受給権発生の遺族年金合計は、遺族厚生年金493,290円+遺族基礎年金780,900円+子の加算金224,700円=1,498,890円(月額124,907円)
 
令和元年10月からは遺族基礎年金受給者に遺族年金生活者支援給付金年額60,360円(月額5,030円)が支給。
 
令和3年3月に子が高校を卒業し、令和3年4月分からの遺族基礎年金780,900円+子の加算金224,700円+支援給付金60,360円=1,065,960円が消滅する。
 
 
よって令和3年4月分からは遺族厚生年金493,290円のみですが、亡くなった夫が厚生年金加入中であり、子の遺族基礎年金が消滅した時に妻は40歳以上だったので中高齢寡婦加算585,700円(令和3年度価額)が65歳まで給付となる。
 
 
なので令和3年4月からは遺族厚生年金493,290円+中高齢寡婦加算585,700円=1,078,990円(月額89,915円)
 
中高齢寡婦加算は遺族基礎年金が消滅する事による急激な年金の低下を防ぐために設けられている。
 
 
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さて、令和3年時点でこの妻は47歳ですが、お付き合いしていた男性Aさんが居た。
 
子供が高校を卒業した事で、Aさんとお互いに結婚を考えていたが、令和3年6月中に婚約する。
 
結婚すると遺族年金は無くなるという事を知っていたが、まだ婚約だけの段階なので遺族年金は消滅しない。
 
 
正式にまだ婚姻届けは出さずに、令和3年7月から同居し始めた。
 
 
 
婚姻届けを出さなければまだ遺族年金は出ると思っていたが、令和4年10月にようやく正式な婚姻となった。
 
 
ここで再婚を理由に遺族年金についての消滅手続きをした時に、実は「婚姻の合意と、かつ、夫婦としての共同生活の実態」が令和3年7月からすでに始まっていたので本当は令和3年7月に遺族年金を消滅させなければならなかった。
 
 
 
よって、令和3年7月から令和4年10月までの16ヶ月分の遺族厚生年金89,915円×16ヶ月=1,438,640円は年金機構に返済する事になる。
 
 
この人の返済は納付書による。
 
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5月5日の第188号は「遺族年金を貰いながら頑張って働いても、年金の増え方が圧縮されてしまう事例」

5月12日の第189号は「労災が起こった場合の遺族給付と日本年金機構からの遺族厚生年金との併給。」

5月19日の第190号は、「交通事故で被害者やその家族に発生する損害賠償と年金の変則的支払い。」

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4月7日の第184号は「初めて厚年に加入する人の在職老齢年金と、年金財政を救うための高齢者と女子の雇用促進」

4月14日の第185号.60歳以降に貰う給与がコロコロ変化すると給付金も変化するのに、年金の停止は変わらない理由。

4月21日の第186号は、「自己都合退職と会社都合退職時の失業手当と年金のもらい方の計算と、年金が停止される事によるメリット」を発行しました。
 
4月28日の第187号は、「高齢化と共に急増する行方不明事案!行方不明者の年金を止め、死亡とみなして遺族年金を請求する」


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