厚生年金計算時に必ず使用される平均標準報酬月額とか平均標準報酬額という用語は必ず押さえよう。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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年金アドバイザーのhirokiです。

 

・まぐまぐ大賞2020知識ノウハウ部門ダブル受賞と5年連続受賞しました

 

前回の記事が長すぎてしまったので、記事を2分割した分の後半を今回アップします。

記事が長すぎても読む気失くしますよね…^^;

 

記事はできるだけ短めにする事も必要ですね。

 

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では本題です。

 

 

年金額計算をする時の実際に使う給与を見ていきましょう。

 

年金計算では、平均標準報酬月額平均標準報酬額という用語が最重要です。

 

 

 

 

なんか、2つの用語ですがパッと見ると同じようですが、若干違いますよね。

 

 

 

そう!平均標準報酬「月額」と、平均標準報酬「額」となっています。

 

 

 

すごーく似てますけど、違うんですね。

 

 

 

 

 

ちなみに、平均標準報酬月額は平成15年3月までの記録で、平均標準報酬額は平成15年4月以降を言います。

 

 

 

平成15年3月以前と平成15年4月以降の厚生年金加入記録でなんで、平均標準報酬月額と平均標準報酬額と分けてるんでしょうか?

 

 

 

 

これは単純に平成15年4月からは賞与(標準賞与額)も年金額に反映するようになったから。

 

 

 

平成15年3月までは賞与は年金額に反映せずに、標準報酬月額だけを用いていました。

 

 

 

 

 

だから、厚生年金額を算出する際は平成15年3月までの平均標準報酬月額と、平成15年4月以降の平均標準報酬額で分けて計算します。

 

 

 

 

 

「平均」という言葉を使ってるので、実際に老齢厚生年金額を出す際は過去の標準報酬月額や標準賞与額をぜーんぶ足して、全ての厚生年金加入期間で割って平均します。

 

 

 

 

だから標準報酬月額や標準賞与額が高かった人は高い厚生年金額になるし、低かった人は低い厚生年金額になる。

 

 

 

 

 

つまり報酬に比例するわけです。

 

 

 

 

平均を出すのはとんでもない作業なので…日本年金機構や共済組合のコンピュータに任せます(笑)

 

 

 

 

 

例えば平成29年9月から平成30年8月までの12ヶ月は標準報酬月額が40万円でした。

平成29年12月に120万円の標準賞与額でした。

 

 

平成30年9月から令和元年8月までの12ヶ月は標準報酬月額が36万円で、平成30年12月に標準賞与額が100万円と令和元年7月に標準賞与額80万円でした。

 

 

 

平均標準報酬額はいくらになるか。

 

 

 

まずこの24ヶ月の間に、(標準報酬月額40万円×12ヶ月+標準賞与額120万円+標準報酬月額36万円×12ヶ月+標準賞与額100万円+標準賞与額80万円)=12,120,000円ですよね。

 

 

この12,120,000円を24ヶ月で割ると505,000円となり、

つまりは平均標準報酬額が505,000円となります。

 

 

ーーーーーー

 

※補足

過去の低い標準報酬月額や標準賞与額をそのまま使うと年金額が下がってしまうから、

現在の貨幣価値に直すために「再評価率」というのを標準報酬月額や標準賞与額に掛けていつも年金額は算出してます。

 

例えば昭和50年代くらいの標準報酬月額が15万円くらいだったら、この年代の再評価率は約1.3~2.0くらいだから仮に標準報酬月額15万円×再評価率2.0=30万円で標準報酬月額を再評価して、年金額が極端に低下しないように配慮される。

 

厚生年金額を出す時は過去すべての標準報酬月額に再評価率を掛けないといけないから手計算でやるなら気が遠くなる作業(笑)

 

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じゃあ実際に老齢厚生年金額をザッと計算します。

 

 

平成15年3月以前の厚生年金期間は180ヶ月で、平成15年4月以降は160ヶ月でした。

 

 

平均標準報酬月額35万円で、平均標準報酬額が50万円でした。

 

 

 

 

 

老齢厚生年金額はいくらになるか。

 

 

 

・老齢厚生年金(報酬比例部分)→平均標準報酬月額35万円×7.125÷1000×180ヶ月+平均標準報酬額50万円×5.481÷1000×160ヶ月=448,875円+438,480円=887,355円

 

 

 

となる。

 

 

 

 

それにしても、ここで7.125とか5.481って数字が出てきましたよね。

これを給付乗率といいます。

 

 

 

 

でも、見てみると標準賞与額を含むようになった平成15年4月以降の平均標準報酬額に対しては平成15年3月以前の7.125から5.481と低くなってしまいました。

 

 

 

 

 

つまり給付水準を引き下げたような形になっています。

 

 

 

 

 

平成15年4月からは標準賞与額も含むようになったから、そうなると賞与を計算に含まなかった平成15年3月以前の期間より単純に年金額は高くなるって事ですよね。

 

 

こうなると加入した期間平成15年3月までと4月以降の加入期間では年金額の高低が生じるから、標準賞与額を含む前と後で年金水準が概ね平行になるように、7.125から5.481に引き下げたんです。

 

平成15年3月までの期間が多い人は、平成15年4月以降の期間が多い人より少なくなるのは不公平ですよね。

 

 

ちなみに7.125を1.3で割ると5.481という数字が導かれます。

 

 

 

 

これはどういう事かというと、12ヶ月の給与に対して賞与が平均的に3.6ヶ月分支払われると仮定されています。

 

 

 

 

つまり、12ヶ月:3.6ヶ月=1:0.3という事になる。

 

 

 

賞与額を含むと1.3倍高い年金水準になってしまうから、賞与額による増額分を引き下げる意味で1.3で7.125を割っているんです。

 

 

 

これで平成15年3月以前の記録と平成15年4月以降の記録でも厚生年金額が平行になるように設計されてある。

 

 

 

 

でも非正規労働者が30年前の約650万人より、3倍の約2,000万人ほどになった現代では賞与が出ない事も多く、賞与が出ない人にとっては実質的な年金引き下げになってしまうわけですが…^^;

 

 

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