本来の年金支給開始年齢より早く年金貰い始めて、更に在職し続ける場合。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは!(^^)

年金アドバイザーのhirokiです。
 
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ブログ歴が11月で11年目になります。
毎日書いてた時もありましたが、めんどくさくなって毎日はやめました^^;
 
もともとは単に呟きを書いていただけでしたが、ついでに年金の事を書き始めて今に至ります。
まあ…我ながら随分続きました。
 
では本題です。
 
年金貰う年齢が上がっていき、昔と違って60歳以降に無年金期間が生じるようになりました。
 
 
それ故に無年金期間を継続雇用で補って、完全な年金生活まで働くというスタイルが普通になってきました。
 
なお、65歳以降も働くという傾向が多くなってきたので、65歳以降も年金を貰わずに更に年金受給を遅らせるという選択も一つの形になってきました。
 
 
65歳以降の年金受給を遅らせると、その結果として年金を増やす(年金の繰り下げ)というメリットはあります。
1ヵ月遅らせるごとに年金が0.7%増えていきます。
 
最大65歳から70歳まで60ヵ月使えるので、42%の年金を増やす事ができる。
 
しかし、年金の繰り下げは何かと制約が多く、うまく年金が増えている人は稀です。
年金の繰り下げ自体を使ってる人もほとんどいない。
 
ただ、65歳以降の年金を貰うのを遅らせて我慢するだけですが、利用者は2%未満。
 
ところで、60歳以降に無年金期間が生じるので、貯蓄または働くという事が必要にはなってきますが、60歳になれば請求によりさっさと年金を受給する事は可能です。
 
 
今までも何回か取り上げてきた年金の繰り上げを行えば、本来は無年金期間となる期間でも受給する事ができる。
 
しかし、ペナルティとして年金は永久に一定率引き下げられた状態となる。
 
1ヵ月早く貰うごとに0.5%年金がカットされる。
60歳から繰り上げて、最大60ヶ月間早く貰うと60ヵ月×0.5%=30%もの減額となってしまう。
 
 
というわけで、今回は繰り上げをやった人がそのまま働き続けた場合の年金の変化を見ていきましょう。
 

1.昭和33年10月13日生まれの男性(今は61歳)
 
 
この男性は年金受給資格期間10年以上で、厚年期間と共済期間合わせて1年以上を満たしていれば63歳から年金受給が可能な人。
 
 
60歳時点で63歳(令和3年10月12日受給権発生)から受給できる見込み額。
厚年期間は20年以上ありとする。
 
63歳から老齢厚生年金(報酬比例部分)50万円(月額41,666円)。
65歳から老齢厚生年金(差額加算)12,000円(月額1000円)
65歳から配偶者加給年金390,100円の予定。
 
65歳から老齢基礎年金満額60万円(月額5万円)受給。
 
 
合計年金額1,502,100円(月額125,175円)
 
 
 
なお、この男性は60歳以降も継続雇用で働く。
 
月給与(標準報酬月額)は32万円とし、賞与は7月と12月に60万円ずつ。
これが65歳まで続くとします。
 
 
この男性は最初の年金支給開始は63歳ですが、月の収入をもうちょっと増やしたくて、61歳になって年金の繰り上げを行う事にした。
 
 
厚生年金は63歳から支給ですが、それを24ヵ月早く61歳から受給。
 
基礎年金と差額加算は65歳から支給ですが、それを48ヵ月早く61歳から受給となる。
 
 
どうなるのか。
 
 
 
老齢厚生年金は50万円×(100-24ヵ月×0.5)%=44万円
 
差額加算は12,000円×(100-48ヵ月×0.5)%=9,120円
ただし、差額加算の減額分12,000円ー9,120円=2,880円は当分の間、報酬比例部分から差し引く事になっているため、差額加算自体は12,000円支払う。
 
 
老齢基礎年金は60万円×(100-48ヵ月×0.5)%=456,000円
 
 
よって、61歳からは老齢厚生年金(44万円ー2,880円=437,120円)+差額加算12,000円+老齢基礎年金456,000円=905,120円(月額75,426円)
 
 
それと、月給与(標準報酬月額)32万円と年二回それぞれ60万円。
 
 
さて、本来63歳から貰うのを61歳から貰うようにしましたよね。
 
 
ですが、この男性はまだ在職中です。
 
 
という事は月給与と年金額によっては年金の停止がかかる在職老齢年金が適用される。
 
 
年金は停止されるのか。
 
 
まず、老齢基礎年金は停止の対象外なので、老齢厚生年金のみが停止の対象。
 
 
老齢厚生年金(報酬比例部分437,120円+差額加算12,000円)=449,120円(月額37,426円)
 
この37,426円と、月給与(標準報酬月額)32万円と年間の賞与の合計120万円を直近1年で割って月換算した額10万円で判定する。
 
 
なお、標準報酬月額32万円と月換算した賞与10万円の合計を総報酬月額相当額という。
 
 
年金停止額→{(総報酬月額相当額42万円+年金月額37,426円ー停止基準額28万円)÷2}=88,713円の停止。
年間88,713円×12ヵ月=1,064,556円の停止額。
 
つまり、老齢厚生年金(報酬比例部分437,120円+差額加算12,000円)<停止額1,064,556円なので、支給される老齢厚生年金は無い。
 
差額加算は本来は停止の対象にはならないですが、65歳未満に支給される場合は停止対象となる。
 
61歳から63歳まで支給される年金は老齢基礎年金456,000円(月額38,000円)のみ。
 
 
さて、65歳まで働くつもりだったが、62歳で懲戒解雇される事になった(失業手当はこの記事では考慮してません)。
 
 
62歳(令和2年10月)からは厚生年金から外れて翌月11月分の年金から停止額は無くなる。
 
令和2年11月分から、老齢厚生年金(報酬比例部分437,120円+差額加算12,000円)+老齢基礎年金456,000円=905,120円(月額75,426円)に戻る。
 
 
ところで、61歳から62歳までの12ヶ月間は月給与32万円と年2回の賞与合計120万円貰いましたよね。
この12ヶ月分の年金が増える事になる。
 
 
普通は退職月の翌月から年金額が変更(退職時改定)されるが、この男性は本来の年金支給開始年齢が63歳なので、63歳で変更される。
 
 
・61歳から62歳までの平均標準報酬額→(32万円×12ヵ月+60万円×2回)÷12ヵ月=42万円
 
増える年金額は、平均標準報酬額42万円×5.481÷1000×12ヵ月=27,624円
 
 
よって、63歳からの年金総額老齢厚生年金(報酬比例部分437,120円+27,624円+差額加算12,000円)+老齢基礎年金456,000円=932,744円(月額77,728円)
 
 
じゃあ、65歳になると年金は増えるのかというと、配偶者加給年金390,100円と差額加算が少々。
 
・差額加算→12,000円+1,626円(令和元年度定額単価)×12ヵ月(61歳から62歳までの)=31,512円
 
 
よって、65歳時点の年金総額は老齢厚生年金(報酬比例部分437,120円+27,624円+差額加算31,512円)+配偶者加給年金390,100円+老齢基礎年金456,000円=1,342,356円(月額111,863円)
 
 
※補足
配偶者加給年金は繰り上げて年金を貰っても、本来の65歳からの支給となり、減額もされない。
 
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