昭和16年4月1日以前生まれの人は少ない月数でも多めの年金が貰える謎。 | 年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

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僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
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一緒に年金について考えてみませんか?

おはようございます。

年金アドバイザーのhirokiです。
 
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あのー…毎回記事書く時悩む事があります。
 
それはタイトルですね^^;
 
記事書き終わってから正式なタイトルを決めますが、タイトル決める際にう~ん…としばらく考えてしまう。
何年も書いてるのにいまだに普通に悩む(笑)
 
皆さんはタイトル考える時はどうしてるんでしょうか汗
 
では本題です。
 
国民年金ができたのは昭和36年4月からであり(無拠出タイプのは昭和34年4月)、そこから将来の老齢基礎年金の額に反映する期間となります。
 
 
昭和36年4月以降の、20歳から60歳までの40年間(480ヵ月)を国民年金強制加入期間とし、40年完璧に保険料を納めたら満額の老齢基礎年金780,100円(月額65,008円)が支給されます。
 
 
なお、昭和61年4月に基礎年金制度が導入された時に60歳から65歳までの60ヶ月間は国民年金に任意加入する事ができます。
なので、480ヵ月に足りなくて満額受け取る事ができない人は最大60ヶ月間加入して年金を増やす事ができます。
 
 
ただし、厚生年金に加入中とか、65歳前に老齢基礎年金を繰り上げて貰う年金の繰り上げをしてる人は60歳以降の任意加入はできない。
 
 
あと、65歳以降も70歳までは任意加入できる人が居ますが、65歳以降の国民年金任意加入は老齢の年金を貰うための年金受給資格期間最低10年に足りない人が10年に満たるまで加入できるものとなっています。
 
 
 
さて、20歳から60歳まではどんな人であれ、サラリーマンだろうが公務員だろうが国民年金に強制加入する事になります。
 
 
ところが、不可抗力で480ヵ月加入したくても加入できない人がいます。
 
 
480ヵ月加入できないなら満額の老齢基礎年金貰えないから損する人が居るって事キョロキョロと思われたかもしれませんね。
 
例えば昭和7年度生まれの人ならどうでしょうか。
 
 
昭和7年度というと、国民年金が始まった昭和36年度にすでに29歳になる人ですよね。
 
 
じゃあ、昭和7年度生まれの人は29歳から60歳までの31年間しか加入できずに、満額の年金貰うための40年より9年少ない年金になってしまうのか。
 
 
実はそうはなりません。
 
 
 
年金というのは、法律ができた時に本人の責任によらない事態が発生する事があるので、そういう場合は救済措置のような事をやります。
 
 
先ほどの昭和7年の人なら初めて国民年金に加入するのが29歳からなので、29歳から60歳までの31年(372ヵ月)で満額の老齢基礎年金を保障しましょうという事をやります。
 
 
こういう31年(372ヵ月)を加入可能年数とか加入可能月数といいます。
 
 
この措置をやってるのは昭和16年4月1日以前の人に限るので、ひと昔前生まれの人の年金額には注意を要します。
なぜ昭和16年4月1日以前生まれの人かというと、国民年金が始まった昭和36年4月1日時点ですでに20歳を超えるからです。
 
 
昭和16年4月1日生まれの人なら、前日の昭和36年3月31日(つまり3月が誕生月)に20歳を迎えるので昭和36年4月1日ではすでに20歳を1ヵ月超えてしまう。
 
国民年金保険料は誕生日到達月分から保険料納付義務が生じますが、3月分はこれじゃ払えないから480ヵ月より1ヵ月足りない事になる。
 
というわけで少しだけこの加入可能年数を使った年金計算を見ていきましょう。
 

1.昭和13年7月18日生まれの男性(今は81歳)
 
20歳になるのは昭和33年7月17日ですが、国民年金はまだ始まっておらず、厚年や共済にも加入しておらず何も年金には加入してなかった。
 
 
その後、昭和36年4月1日から厚生年金や共済等に加入してない人は国民年金に強制加入となった。
 
 
昭和36年4月時点は家の事業を手伝っていて、平成5年8月までの389ヶ月間は国民年金保険料を納めた。
 
 
なお、昭和45年10月から付加年金制度が始まり、付加保険料を同時に平成5年8月まで納めた(当時は月額保険料が350円だった。昭和49年1月から今の月保険料400円になる)。
 
平成5年9月から平成6年8月までの12ヶ月間は未納。
 
 
平成6年9月から60歳前月の平成10年6月までの46ヶ月間は厚生年金に加入した。
この46ヶ月間の平均給与(平均標準報酬月額)は54万円とします。
 
 
さて、この人の生年月日だと60歳から厚生年金、65歳から老齢基礎年金が貰える人。

 
今回は従前保障額で計算してますので改定率や乗率がいつもと異なってます。
 

60歳からの老齢厚生年金(報酬比例部分)→54万円×8.41(生年月日により定められた乗率)÷1000×46ヵ月×0.998(従前保障改定率)=208,487円

 
60歳からの老齢厚生年金(定額部分)→1,626円(令和元年度定額単価)×1.286(生年月日により定められた乗率)×46ヵ月=96,188円
 
 
60歳からの老齢厚生年金合計額は、報酬比例部分208,487円+定額部分96,188円=304,675円(月額25,389円)
 
 
次に、65歳になると国民年金からの老齢基礎年金が発生する。
 
 
・老齢基礎年金→780,100円(令和元年度満額)÷444ヵ月(37年)×435ヵ月(←国年389ヵ月+厚年46ヵ月)764,287円
 
・付加年金→200円×275ヵ月=55,000

 
さらに、定額部分は老齢基礎年金に移行して差額加算という年金になる。
定額部分は65歳で消滅。

 
老齢厚生年金(差額加算)→1,626円×1.286×46ヵ月ー780,100円÷444ヵ月×46ヵ月(昭和36年4月以降の20歳から60歳までの厚生年金期間)=96,188円ー80,821円=15,367円
 
 
老齢基礎年金を計算する時は、780,100円÷480ヵ月…とするところを、この男性は444ヵ月(年だと37年)になってますよね。
 
 
生年月日が昭和13年度生まれなので、国民年金が始まった昭和36年度時点ではもう23歳になってしまう人です。
 
 
これじゃあ23歳から60歳までで480ヵ月なんて納めたくても無理だから、20歳から3年オーバーしてる分を引いて加入可能年数を37年としてるわけです。
 


分母が普段は480ヵ月(40年)だけど、444ヵ月(37年)に短縮されてるから、年金額が急激に低くなる事が避けられている。
 
 
よって、65歳からの年金総額は、老齢厚生年金(報酬比例部分208,487円+差額加算15,367円)+老齢基礎年金764,287円+付加年金55,000円=1,043,141円(月額86,928円)
 
 
もし妻に配偶者加給年金が付いていたならこの男性の老齢基礎年金に振替加算152,660円(この男性の生年月日による)も付いている。
 
 
※追記
この男性は昭和13年7月生まれですが、昭和36年4月から国民年金に加入すると60歳前月の平成10年6月までの447ヵ月は加入できますよね。
 
加入可能月数上限は444ヵ月ですが、加入しようと思えば447ヵ月加入できる。
 
しかし、もし3ヵ月オーバーして国民年金保険料を納めていた場合は還付する事になる。
 
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